こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、「一生モノの能力を養う食育」についてさまざまな実践法を提案しています。
食欲の秋。おいしい魚を子どもと一緒に食べることを考えています。前編では日常の食卓に魚料理を無理なく取り入れるための心構えやコツをお伝えしましたが、今回は実践編。魚をどう食べるか? ということを考えていきましょう。
子どもに魚をキレイに食べる方法を教えたい。うまく教えるポイントはあるか?」という主旨のご質問。その真意を聞いてみたたところ、魚料理は準備するだけでも一苦労なのに、食べ方を教えるとなると面倒くさいと感じている。賢い工夫法はないか? ということでした。確かに、魚って難しいと感じる方がいて当然だと私は思います。
しかしながら一度キレイな食べ方をマスターできてしまえば、一生役立つノウハウでもありますから、良い工夫法があればうれしいはず。
私は小学3年生の子どもを育てる母親として無理ない食育を実践している中で、カトラリーの扱い方や魚の食べ方を褒めていただく機会が多いことに気がつきました。
子どもの個性や好みはひとりひとり違いますから、全員の正解ではないと思いつつ、少しでも参考になりそうな基本ルールやコツを整理してみました。
◆実は大人も知らない!? 焼き魚のキレイな食べ方
魚を食べるシーンとしてイメージしやすいのが、焼き魚。食べ方によって印象が大きく変わってくるケースとも言えます。実は食べ方には決まりがあり、その知識・ノウハウを習得しておけばきちんとした食事の場でも安心です。
基本ルールは、魚を上身から下身の順で左から右に向かって食べるというもの。骨や皮などは魚の向こう側(奥)など1か所にまとめておくのがスマートです。
最初にすべて骨を取り除いてから食べる、身をひっくり返すのは正しいとは言えません。食べる順序は決して難しくありませんから親子でゆっくり確認しながら食べ方の練習を進めるのが良いでしょう。
このルールは切り身魚や煮魚でも基本的には同じと考えて大丈夫ですから、箸を動かす流れは上から下、左から上であることを覚えておくと安心です。
◆魚を食べる基本の手順は、この4ステップ!
①ヒレを取る
左手で頭を押さえて、箸で背ビレ、胸ビレを取り魚の向こう側に置く。
②上身を頭側から食べる
上身のエラ後ろ、左上部分から食べ始める。背側から腹側に移動しながら、尾っぽ部分の右側に食べ進めていく。
③骨をはずす
上身を食べ終わったら左手で頭部を持ち、箸を使って中骨を身からはずす。骨は①とおなじ場所に置く。
④下身も頭側から食べる
骨が取り除かれて残った下身を頭側から尾へ、背から腹の順に食べる。すべて食べ終わったら、残ったヒレや骨はひとまとめにしておく。
◆骨取りの練習は、干物がオススメ
次に骨のある魚を上手に食べ進める練習について考えてみましょう。
我が家ではいろいろ実践をしていますが、骨をはずす、骨をよけて食べる上で最も取り組みやすかったのが、ホッケの干物。
大きなサイズで箸を入れやすく、骨が見分けやすいのが大きな理由ですが、子どもがおいしいと感じる魚を選んで練習してあげることも大切です。
◆骨取り魚はNGなのか?
最近スーパーなどでよく見かけるのが、“骨取り魚”。魚の食べ方を教える上では登場させたくないと考える人もいるかもしれません。
個人によって価値観はさまざまですが、私は骨取りタイプも積極的に食卓に出して良いのでは? と考えています。
魚は骨付きの焼き魚や煮魚がすべてではありませんし、手軽に安全に栄養価の高い青魚を食べたい、身をほぐす練習をしたいという人もいるでしょう。骨取り魚を食べさせることが、骨のついた魚を嫌がる決定打にはならないと思います。
むしろ考え方を変えて、野菜などの他の食材と一緒に食べやすい状態だと捉えてみるのはいかがでしょうか? 我が家では野菜と一緒にフライパンで蒸し煮を作るのが定番で、魚をキレイに食べること以上に、魚を野菜と一緒においしく味わうことを大切にしながら、楽しく食体験を重ねています。
以上いかがでしたか?「こんなこと言われなくても、うちは魚食べてるよ!」という方は読み飛ばしていただいてかまいません。もっと魚を気軽に食べるヒントとして、魚に自信がない人にとってのきっかけとして、お読みいただけたら嬉しく思います。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
食欲の秋。おいしい魚を子どもと一緒に食べることを考えています。前編では日常の食卓に魚料理を無理なく取り入れるための心構えやコツをお伝えしましたが、今回は実践編。魚をどう食べるか? ということを考えていきましょう。
子どもに魚をキレイに食べる方法を教えたい。うまく教えるポイントはあるか?」という主旨のご質問。その真意を聞いてみたたところ、魚料理は準備するだけでも一苦労なのに、食べ方を教えるとなると面倒くさいと感じている。賢い工夫法はないか? ということでした。確かに、魚って難しいと感じる方がいて当然だと私は思います。
しかしながら一度キレイな食べ方をマスターできてしまえば、一生役立つノウハウでもありますから、良い工夫法があればうれしいはず。
私は小学3年生の子どもを育てる母親として無理ない食育を実践している中で、カトラリーの扱い方や魚の食べ方を褒めていただく機会が多いことに気がつきました。
子どもの個性や好みはひとりひとり違いますから、全員の正解ではないと思いつつ、少しでも参考になりそうな基本ルールやコツを整理してみました。
◆実は大人も知らない!? 焼き魚のキレイな食べ方
魚を食べるシーンとしてイメージしやすいのが、焼き魚。食べ方によって印象が大きく変わってくるケースとも言えます。実は食べ方には決まりがあり、その知識・ノウハウを習得しておけばきちんとした食事の場でも安心です。
基本ルールは、魚を上身から下身の順で左から右に向かって食べるというもの。骨や皮などは魚の向こう側(奥)など1か所にまとめておくのがスマートです。
最初にすべて骨を取り除いてから食べる、身をひっくり返すのは正しいとは言えません。食べる順序は決して難しくありませんから親子でゆっくり確認しながら食べ方の練習を進めるのが良いでしょう。
このルールは切り身魚や煮魚でも基本的には同じと考えて大丈夫ですから、箸を動かす流れは上から下、左から上であることを覚えておくと安心です。
◆魚を食べる基本の手順は、この4ステップ!
①ヒレを取る
左手で頭を押さえて、箸で背ビレ、胸ビレを取り魚の向こう側に置く。
②上身を頭側から食べる
上身のエラ後ろ、左上部分から食べ始める。背側から腹側に移動しながら、尾っぽ部分の右側に食べ進めていく。
③骨をはずす
上身を食べ終わったら左手で頭部を持ち、箸を使って中骨を身からはずす。骨は①とおなじ場所に置く。
④下身も頭側から食べる
骨が取り除かれて残った下身を頭側から尾へ、背から腹の順に食べる。すべて食べ終わったら、残ったヒレや骨はひとまとめにしておく。
◆骨取りの練習は、干物がオススメ
次に骨のある魚を上手に食べ進める練習について考えてみましょう。
我が家ではいろいろ実践をしていますが、骨をはずす、骨をよけて食べる上で最も取り組みやすかったのが、ホッケの干物。
大きなサイズで箸を入れやすく、骨が見分けやすいのが大きな理由ですが、子どもがおいしいと感じる魚を選んで練習してあげることも大切です。
◆骨取り魚はNGなのか?
最近スーパーなどでよく見かけるのが、“骨取り魚”。魚の食べ方を教える上では登場させたくないと考える人もいるかもしれません。
個人によって価値観はさまざまですが、私は骨取りタイプも積極的に食卓に出して良いのでは? と考えています。
魚は骨付きの焼き魚や煮魚がすべてではありませんし、手軽に安全に栄養価の高い青魚を食べたい、身をほぐす練習をしたいという人もいるでしょう。骨取り魚を食べさせることが、骨のついた魚を嫌がる決定打にはならないと思います。
むしろ考え方を変えて、野菜などの他の食材と一緒に食べやすい状態だと捉えてみるのはいかがでしょうか? 我が家では野菜と一緒にフライパンで蒸し煮を作るのが定番で、魚をキレイに食べること以上に、魚を野菜と一緒においしく味わうことを大切にしながら、楽しく食体験を重ねています。
以上いかがでしたか?「こんなこと言われなくても、うちは魚食べてるよ!」という方は読み飛ばしていただいてかまいません。もっと魚を気軽に食べるヒントとして、魚に自信がない人にとってのきっかけとして、お読みいただけたら嬉しく思います。
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12