2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。
TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
第9回となる本記事では、近所のコンビニでのエピソードを紹介します(以下、アンヌさんの寄稿)。
◆故郷・札幌に大型犬とともに出戻り
いろいろあって、今年、故郷札幌に出戻りし、実家で父親と共に生活をしている私ですが、ゴールデンレトリバーを飼っていると言うと、結構驚かれることがあります。
今でこそ独身の女性がワンちゃんを飼うことは珍しくない現象ではありますが、大型犬はお金もかかるし、力も強いし、お散歩もたくさんしなきゃいけないし、シングル女性が飼育する犬種ではないというイメージが比較的強いのかもしれません。
今年ゴールデンレトリバーを連れて札幌に戻ってきたときは、ご近所の皆様の温かな言葉の数々にどれだけ救われたか。私のことを赤ちゃんの頃から知ってくださっているあるご近所さんは、「かわいいワンちゃんを連れて帰ってきたんだね。最近またテレビに出ていてご活躍だね」と声をかけてくださり、思わず路上で涙を流したことも。
◆セイコーマートの女性店員さんの一言に思わず…
私がいつもお世話になっているセイコーマートの店員さんもその1人です。セイコーマート略してセコマ。北海道を拠点にした地元密着型のコンビニですが、そちらにお一人70代前後と見られるとても感じの良い女性店員さんがいらっしゃり、日ごろからよく買い物のたびに言葉を交わしていました。
ご近所なので、その方は私が大きなワンちゃんを日頃散歩させていることもご存知。お会計中に会話に花が咲くことも時折あるのですが、いよいよ札幌も冬本番かという、朝から気温が1ケタ台と縮み上がるような寒さが襲ったある日のことでした。
私が購入したトイレットペーパーと飲むヨーグルトを袋に詰めながら、その店員さんが、
「いやー寒いね! こんなに寒い季節になってくると、ワンちゃんのお散歩も大変だねぇ!」
といつものごとく満面の笑みでよく通る大きな北海道弁でニコニコと話しかけてくださり、「夜ももうかなり寒いけど、ワンちゃんはどこで寝ているの?」と聞いてくださいました。
私は「同じお布団で寝てますよ! 夏だと暑がって玄関で寝てたりするときもありましたけど、冬だとやっぱり寒いみたいで、ずっと布団の上から動きませんね……」なんて、軽~く返したところ、「一緒に寝てるのかい! それはいいね! 男いらないね!!」と、明るく響きわたるあっけらかんとした声~!
そして「男なんてめんどくさいからさ!! ワンちゃんが最高だよね!」と爽やかに言い放ったのでした。
もしここでテレビのバラエティ番組の収録をしたら、最高の録れ高が見込めるのではないかと思うほどの、清々しいすごすぎる発言!
明るく弾むような北海道弁で「おっとこいらないね!」と元気に言い放たれ、思わずその迫力とカラッとした明るさに度肝を抜かれたものの、なんだか私も「フフフ」と笑ってしまったのでした。
◆そういう発想があったのか!
これまでワンちゃんと一緒に寝ていることに何の疑問も持っていませんでしたが、そういう発想があったのか! と、実は目から鱗というところが正直な感覚。
私が20代のころ、ペットを飼っている独身女性を指して、
「彼女はペットを飼っていて、寂しさが紛れるから結婚しないんだな」
なんて、ヒソヒソと噂話のように呟いてくる人もいたものでしたが、あれだけ明るく健やかに、男いらないね! と言っていただくとむしろ健康的な明るさを感じるというか、なるほど、うちのワンちゃんは自分にとって大切な子どものような存在だと思っていたけれど、実は恋人がわりにもなってくれているのかも……なんてことに気づいてしまったり。
しかもうちは30キロを超えた大型犬。一緒に寝ていても、例えば寝返りを打つことでその体をつぶしてしまうのではないか……という小型犬特有の心配もなく、まるで人間1人とお布団をシェアしているような感覚になります。
ゴールデンレトリバー特有のおっとりとした天真爛漫な優しさがあるのみならず、外で物音が聞こえれば、ものすごいスピードで窓辺まで走って行って、野太い声で吠えてくれる。
◆愛犬は心強いパートナー
正直、夜うちのワンちゃんがいないというのは考えられません。どれだけの安心感を与えてくれていることか。
いろんな意味で本当に心強いパートナーなのです。結婚する/しない、パートナーが欲しい/欲しくない、の選択は100パーセント個人の自由だと私は思いますが、もし体力や環境が許してくれるのだったら、大型犬との生活は、独身女性だからこそオススメだと言いたいです。
私は現在の生活スタイルに満足していますが、もしいつか自分にパートナーができたら……そのときは私よりもむしろ、私の愛犬を大切に可愛がってくれる人がいいなあなんて妄想することもあります。
まぁ妄想ですけどね……だって私のワンちゃんが私の人生のパートナーですから!
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中
TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
第9回となる本記事では、近所のコンビニでのエピソードを紹介します(以下、アンヌさんの寄稿)。
◆故郷・札幌に大型犬とともに出戻り
いろいろあって、今年、故郷札幌に出戻りし、実家で父親と共に生活をしている私ですが、ゴールデンレトリバーを飼っていると言うと、結構驚かれることがあります。
今でこそ独身の女性がワンちゃんを飼うことは珍しくない現象ではありますが、大型犬はお金もかかるし、力も強いし、お散歩もたくさんしなきゃいけないし、シングル女性が飼育する犬種ではないというイメージが比較的強いのかもしれません。
今年ゴールデンレトリバーを連れて札幌に戻ってきたときは、ご近所の皆様の温かな言葉の数々にどれだけ救われたか。私のことを赤ちゃんの頃から知ってくださっているあるご近所さんは、「かわいいワンちゃんを連れて帰ってきたんだね。最近またテレビに出ていてご活躍だね」と声をかけてくださり、思わず路上で涙を流したことも。
◆セイコーマートの女性店員さんの一言に思わず…
私がいつもお世話になっているセイコーマートの店員さんもその1人です。セイコーマート略してセコマ。北海道を拠点にした地元密着型のコンビニですが、そちらにお一人70代前後と見られるとても感じの良い女性店員さんがいらっしゃり、日ごろからよく買い物のたびに言葉を交わしていました。
ご近所なので、その方は私が大きなワンちゃんを日頃散歩させていることもご存知。お会計中に会話に花が咲くことも時折あるのですが、いよいよ札幌も冬本番かという、朝から気温が1ケタ台と縮み上がるような寒さが襲ったある日のことでした。
私が購入したトイレットペーパーと飲むヨーグルトを袋に詰めながら、その店員さんが、
「いやー寒いね! こんなに寒い季節になってくると、ワンちゃんのお散歩も大変だねぇ!」
といつものごとく満面の笑みでよく通る大きな北海道弁でニコニコと話しかけてくださり、「夜ももうかなり寒いけど、ワンちゃんはどこで寝ているの?」と聞いてくださいました。
私は「同じお布団で寝てますよ! 夏だと暑がって玄関で寝てたりするときもありましたけど、冬だとやっぱり寒いみたいで、ずっと布団の上から動きませんね……」なんて、軽~く返したところ、「一緒に寝てるのかい! それはいいね! 男いらないね!!」と、明るく響きわたるあっけらかんとした声~!
そして「男なんてめんどくさいからさ!! ワンちゃんが最高だよね!」と爽やかに言い放ったのでした。
もしここでテレビのバラエティ番組の収録をしたら、最高の録れ高が見込めるのではないかと思うほどの、清々しいすごすぎる発言!
明るく弾むような北海道弁で「おっとこいらないね!」と元気に言い放たれ、思わずその迫力とカラッとした明るさに度肝を抜かれたものの、なんだか私も「フフフ」と笑ってしまったのでした。
◆そういう発想があったのか!
これまでワンちゃんと一緒に寝ていることに何の疑問も持っていませんでしたが、そういう発想があったのか! と、実は目から鱗というところが正直な感覚。
私が20代のころ、ペットを飼っている独身女性を指して、
「彼女はペットを飼っていて、寂しさが紛れるから結婚しないんだな」
なんて、ヒソヒソと噂話のように呟いてくる人もいたものでしたが、あれだけ明るく健やかに、男いらないね! と言っていただくとむしろ健康的な明るさを感じるというか、なるほど、うちのワンちゃんは自分にとって大切な子どものような存在だと思っていたけれど、実は恋人がわりにもなってくれているのかも……なんてことに気づいてしまったり。
しかもうちは30キロを超えた大型犬。一緒に寝ていても、例えば寝返りを打つことでその体をつぶしてしまうのではないか……という小型犬特有の心配もなく、まるで人間1人とお布団をシェアしているような感覚になります。
ゴールデンレトリバー特有のおっとりとした天真爛漫な優しさがあるのみならず、外で物音が聞こえれば、ものすごいスピードで窓辺まで走って行って、野太い声で吠えてくれる。
◆愛犬は心強いパートナー
正直、夜うちのワンちゃんがいないというのは考えられません。どれだけの安心感を与えてくれていることか。
いろんな意味で本当に心強いパートナーなのです。結婚する/しない、パートナーが欲しい/欲しくない、の選択は100パーセント個人の自由だと私は思いますが、もし体力や環境が許してくれるのだったら、大型犬との生活は、独身女性だからこそオススメだと言いたいです。
私は現在の生活スタイルに満足していますが、もしいつか自分にパートナーができたら……そのときは私よりもむしろ、私の愛犬を大切に可愛がってくれる人がいいなあなんて妄想することもあります。
まぁ妄想ですけどね……だって私のワンちゃんが私の人生のパートナーですから!
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中