2025年下半期NHK朝の連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロインに、髙石あかりさんがオーディションで選ばれました。2,892人の中からヒロインの座を勝ち取ったそうです。
髙石さんは映画『ベイビーわるきゅーれ』や、昨年放送されたドラマ『わたしの一番最悪なともだち』(NHK)でもW主演を務めるなど、注目されつつある新進女性俳優ですが、世間的にはまだまだ無名なフレッシュな存在です。朝ドラ主演を足掛かりに、さらなるステップアップが期待されます。
◆キャスティング主流のなか、オーディションで選ばれたヒロイン
NHK朝の連続テレビ小説・通称「朝ドラ」は、新人女性俳優の登竜門として知られています。大竹しのぶさんや山口智子さんなどの大物女優も、新人時代にオーディションを経て朝ドラヒロインの道を辿って来ました。昨今は実績と人気のある若手女優がキャスティングでヒロインに抜擢されるケースも多くなりましたが、やはり朝の爽やかな時間だからこそ、フレッシュな新人の笑顔で癒されたいもの。
最初はつたなくとも、回を追うごとに成長していく姿を見守る楽しみもあります。朝ドラヒロインで知名度や人気を獲得し、さらなる活躍をしていった女優さんは数知れず…。今回は近年の朝ドラでオーディションを経て選ばれたヒロインのその後の活躍をいくつかみてみましょう。
◆能年玲奈(のん):事務所トラブルで改名も実力派として邁進中
2013年の『あまちゃん』で1,953名の応募者の中からヒロイン・天野アキ役を射止めたのは当時19歳の能年玲奈さん。
『あまちゃん』は2013年の新語・流行語大賞の年間大賞を受賞するなど、大ブームを巻き起こしました。出演後は、映画『ホットロード』や『海月姫』で主演を務め、順調な活躍を見せていたものの、所属していた事務所との間で独立トラブルが起こった末に事務所を離れ、16年に現芸名・のんに改名しました。
しばらくは仕事がない状態か続きましたが、映画『この世界の片隅に』の声優で評価を得て第38回ヨコハマ映画祭審査員特別賞。その後も出演本数は目立った数ではないものの、映画『さかなのこ』で第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど、地道に活動を続けています。
しばらく見ない時期があったせいなのか、いまだ見るたびに新鮮な印象を与えてくれるのんさん。露出が限られていた分、希少性や伝説的な存在感があります。地上波ドラマ復帰が待ち望まれますね。
◆土屋太鳳:バラエティから硬派なドラマまでパワフルに出演
石川県輪島などを舞台にした2015年の『まれ』のヒロインは2,020人の中から選ばれた土屋太鳳さん。2014年の『花子とアン』にも出演し、撮影中に『まれ』のオーディションを受けていたということはお馴染みのエピソードです。
『まれ』は朝ドラの中でも他に比べ、話題になることは少ない作品でしたが、土屋さんはその後、胸キュン系映画の数々や、バラエティ『ぐるナイ』(日本テレビ系)のコーナー・ゴチになります!のレギュラー、ドラマでも主演・助演に関わらず途切れなく活躍しています。
出し惜しみしない事務所と体育大学出身の彼女のタフさがあいまって、今に至る確固たる地位が築かれたのでしょう。今年は『Shrink-精神科医ヨワイ』(NHK)や『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)にも出演。2023年に結婚と出産を経験した彼女ですが、産後とは思えぬパワフルな活動を見せています。
◆趣里:『モンスター』で主演に抜擢。早くも貫禄を見せつける
記憶にも新しい2023年下半期の『ブギウギ』で2,471人の中から主役・花田鈴子(福来スズ子)役に選出された趣里さん。趣里さんは、俳優・水谷豊さんと伊藤蘭さんの娘としても知られ、そもそも演技派女優としての評価は高かった中での選出でした。今期は『モンスター』(カンテレ/フジテレビ系)で満を持して初のゴールデン・プライム帯の連続ドラマ主演です。
『モンスター』では、ポーカーフェイスなキャラながらも、テンポのいい展開の中で見せるコミカルさ、時には法廷で声を荒げたり、クライアントに寄り添う優しさなどを、自然に演じており、さすが朝ドラ主演女優!というべき貫禄を見せつけています。
趣里さんにとって朝ドラヒロインは、主演女優に躍進するための単なる通過点にも見えます。今後は主演が中心になっていきそうですが、個人的には『ブラックペアン』(TBS系)の猫田役のような、脇でいい味を出す彼女ももっと見てみたいとも思います。
◆葵わかな:ピュアなイメージとは一変、舞台で力強く熱演
2017年『わろてんか』で、吉本興業の創業者・吉本せいをモデルとしたヒロイン・藤岡てん役を演じたのは2,378人の候補者の中からヒロインに選出された葵わかなさん。朝ドラヒロインらしい笑顔の似合うピュアな魅力を発揮しました。その後は、コンスタントにドラマ、映画、舞台に幅広い活躍を見せていますが、『わろてんか』を超える名刺代わりになる作品には出会えていないような気がします。
この秋は舞台『セツアンの善人』でかつては松たか子も演じた一人二役を演じ分ける主役にも挑戦し、今までのイメージとは違う力強い熱演を見せました。今後は朝ドラ女優の殻から脱皮した、幅広い活躍と演技派女優としてさらなる活躍を期待します。
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他、最近では『半分、青い』の永野芽衣さん、『舞いあがれ!』福原遥さんなども、オーディション組のヒロインですね。朝ドラ後、出演作がひっきりなしに途切れず息の長い女優さんとなっていくヒロインが多い一方で、しばらくすると名前を聞かなくなってしまう女優さんもいます。
「朝ドラヒロイン」という歴史に残る肩書をいかに生かせるかは、本人のポテンシャルと共に、その後いかにいい作品に恵まれるか、そして事務所の戦略や手腕によるものが大きいのかもしれません。
高宮あかりさんの朝ドラ放映まではまだまだ先ですが、このヒロイン抜擢によって、彼女の元にすでに様々なオファーが届いているとか。高宮さんの今後の飛躍に期待しましょう。
<文/小政りょう>
【小政りょう】
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
髙石さんは映画『ベイビーわるきゅーれ』や、昨年放送されたドラマ『わたしの一番最悪なともだち』(NHK)でもW主演を務めるなど、注目されつつある新進女性俳優ですが、世間的にはまだまだ無名なフレッシュな存在です。朝ドラ主演を足掛かりに、さらなるステップアップが期待されます。
◆キャスティング主流のなか、オーディションで選ばれたヒロイン
NHK朝の連続テレビ小説・通称「朝ドラ」は、新人女性俳優の登竜門として知られています。大竹しのぶさんや山口智子さんなどの大物女優も、新人時代にオーディションを経て朝ドラヒロインの道を辿って来ました。昨今は実績と人気のある若手女優がキャスティングでヒロインに抜擢されるケースも多くなりましたが、やはり朝の爽やかな時間だからこそ、フレッシュな新人の笑顔で癒されたいもの。
最初はつたなくとも、回を追うごとに成長していく姿を見守る楽しみもあります。朝ドラヒロインで知名度や人気を獲得し、さらなる活躍をしていった女優さんは数知れず…。今回は近年の朝ドラでオーディションを経て選ばれたヒロインのその後の活躍をいくつかみてみましょう。
◆能年玲奈(のん):事務所トラブルで改名も実力派として邁進中
2013年の『あまちゃん』で1,953名の応募者の中からヒロイン・天野アキ役を射止めたのは当時19歳の能年玲奈さん。
『あまちゃん』は2013年の新語・流行語大賞の年間大賞を受賞するなど、大ブームを巻き起こしました。出演後は、映画『ホットロード』や『海月姫』で主演を務め、順調な活躍を見せていたものの、所属していた事務所との間で独立トラブルが起こった末に事務所を離れ、16年に現芸名・のんに改名しました。
しばらくは仕事がない状態か続きましたが、映画『この世界の片隅に』の声優で評価を得て第38回ヨコハマ映画祭審査員特別賞。その後も出演本数は目立った数ではないものの、映画『さかなのこ』で第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど、地道に活動を続けています。
しばらく見ない時期があったせいなのか、いまだ見るたびに新鮮な印象を与えてくれるのんさん。露出が限られていた分、希少性や伝説的な存在感があります。地上波ドラマ復帰が待ち望まれますね。
◆土屋太鳳:バラエティから硬派なドラマまでパワフルに出演
石川県輪島などを舞台にした2015年の『まれ』のヒロインは2,020人の中から選ばれた土屋太鳳さん。2014年の『花子とアン』にも出演し、撮影中に『まれ』のオーディションを受けていたということはお馴染みのエピソードです。
『まれ』は朝ドラの中でも他に比べ、話題になることは少ない作品でしたが、土屋さんはその後、胸キュン系映画の数々や、バラエティ『ぐるナイ』(日本テレビ系)のコーナー・ゴチになります!のレギュラー、ドラマでも主演・助演に関わらず途切れなく活躍しています。
出し惜しみしない事務所と体育大学出身の彼女のタフさがあいまって、今に至る確固たる地位が築かれたのでしょう。今年は『Shrink-精神科医ヨワイ』(NHK)や『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)にも出演。2023年に結婚と出産を経験した彼女ですが、産後とは思えぬパワフルな活動を見せています。
◆趣里:『モンスター』で主演に抜擢。早くも貫禄を見せつける
記憶にも新しい2023年下半期の『ブギウギ』で2,471人の中から主役・花田鈴子(福来スズ子)役に選出された趣里さん。趣里さんは、俳優・水谷豊さんと伊藤蘭さんの娘としても知られ、そもそも演技派女優としての評価は高かった中での選出でした。今期は『モンスター』(カンテレ/フジテレビ系)で満を持して初のゴールデン・プライム帯の連続ドラマ主演です。
『モンスター』では、ポーカーフェイスなキャラながらも、テンポのいい展開の中で見せるコミカルさ、時には法廷で声を荒げたり、クライアントに寄り添う優しさなどを、自然に演じており、さすが朝ドラ主演女優!というべき貫禄を見せつけています。
趣里さんにとって朝ドラヒロインは、主演女優に躍進するための単なる通過点にも見えます。今後は主演が中心になっていきそうですが、個人的には『ブラックペアン』(TBS系)の猫田役のような、脇でいい味を出す彼女ももっと見てみたいとも思います。
◆葵わかな:ピュアなイメージとは一変、舞台で力強く熱演
2017年『わろてんか』で、吉本興業の創業者・吉本せいをモデルとしたヒロイン・藤岡てん役を演じたのは2,378人の候補者の中からヒロインに選出された葵わかなさん。朝ドラヒロインらしい笑顔の似合うピュアな魅力を発揮しました。その後は、コンスタントにドラマ、映画、舞台に幅広い活躍を見せていますが、『わろてんか』を超える名刺代わりになる作品には出会えていないような気がします。
この秋は舞台『セツアンの善人』でかつては松たか子も演じた一人二役を演じ分ける主役にも挑戦し、今までのイメージとは違う力強い熱演を見せました。今後は朝ドラ女優の殻から脱皮した、幅広い活躍と演技派女優としてさらなる活躍を期待します。
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他、最近では『半分、青い』の永野芽衣さん、『舞いあがれ!』福原遥さんなども、オーディション組のヒロインですね。朝ドラ後、出演作がひっきりなしに途切れず息の長い女優さんとなっていくヒロインが多い一方で、しばらくすると名前を聞かなくなってしまう女優さんもいます。
「朝ドラヒロイン」という歴史に残る肩書をいかに生かせるかは、本人のポテンシャルと共に、その後いかにいい作品に恵まれるか、そして事務所の戦略や手腕によるものが大きいのかもしれません。
高宮あかりさんの朝ドラ放映まではまだまだ先ですが、このヒロイン抜擢によって、彼女の元にすでに様々なオファーが届いているとか。高宮さんの今後の飛躍に期待しましょう。
<文/小政りょう>
【小政りょう】
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦