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トイザらス「買わないのに行くの?」「営業妨害」ネット論争について本社を直撃。話題を集めた“公式見解”の舞台裏を明かす

女子SPA! 2024年11月19日 8時47分

 先日、あるママさんによる「息子とトイザらスに行くたびに何か買わされてしんどすぎる」というXでの投稿が話題になりました。イヤイヤ期の我が子に「今日は買わないよ」と言っても伝わらず、泣き叫ばれて結局小さなおもちゃを買ってしまう……。

 そんな投稿に対して、「買わないのにトイザらスに行くの?」「まず商品で遊ぶ時点で営業妨害では?」などの厳しい声が相次ぎました。

 その数日後、トイザらスの公式アカウントが「トイザらスではじっさいに商品を手に取って楽しんでいただけるよう、おもちゃのサンプルをご用意しています。お子さまと一緒に「見る・触る・遊ぶ」をお気軽にご体験ください」(文面のより一部抜粋)といった公式見解を投稿。

 さらに、縦読みをすると「いくじおつかれさま」というメッセージが隠されており、温かい心遣いが話題となりました。

 トイザらスの公式SNSを担当する、Eコマース本部デジタルコミュニケーションストラテジー課のマネージャー・宮田静子さんに、投稿内容に込めた思いや、お客さんへの思いを聞きました。

◆買わないのに遊ばせるのはアリ?

――Xのメッセージは、なぜ投稿することになったのでしょうか。

宮田静子さん(以下、宮田):ユーザーさん同士でさまざまな意見が交わされていた中で、弊社の公式アカウントに「子どもがおもちゃのサンプルを触ることに対して、トイザらスの見解はどうなんですか?」といったご質問をいくつかいただいたんです。そこで、弊社としての考え方を発信したほうが皆さんに安心してお店に来ていただけるかなと思いました。

――投稿内容は誰が考えたのですか?

宮田:おもちゃで遊んでいただくことについての公式見解は、社内の各部署にも確認したのですが、縦読みを含め文面自体は私が作りました。SNSに関しては、基本的に私のチームに任せてもらっているので関係部署と連携しながら自由にやらせてもらっています。

◆宮田さんにも“まったく同じ経験”が!

――メッセージには、どんな思いを込めたのでしょうか。

宮田:店頭でぜひおもちゃを触っていただきたいですし、お客様同士でゆずり合って遊んでいただく分にはまったく問題ないことをお伝えしたいと思いました。

私自身も2人の子どもがいて、下の子が3、4歳くらいの頃に「おもちゃ買って!」とトイザらスの床に寝そべって駄々をこねられたことがあります。最終的に根負けして小さなおもちゃを買って帰るという、投稿者の方とまったく同じような経験をしたことがあったんです(笑)。長女はまったくそういうことをしたことがなかったので、同じように育てていても子どもによって性格が全然違うんだなと痛感しました。

ですから最初に投稿された方の気持ちも分かりますし、それに対して批判的な投稿をした方も、もしかしたら、買おうとしていたおもちゃがあったのに、他のお客様がサンプルで遊んでいたために試せなかったりなど、大変な思いをされたことがあるのかもしれません。

育児をしているときは、誰もがいっぱいいっぱいで頑張っているのだと思います。そんな親御さん方に「育児おつかれさま」という応援の気持ちを込めて伝えさせていただきました。

◆店舗スタッフからは感謝の声も

――投稿に対して、どんな反響がありましたか?

宮田:他部署の人やお取引先様など、予想外にいろいろなところから「見ましたよ!」と声をかけていただきました。特に店舗のスタッフからの反響が大きく、「私たちの気持ちを代弁してくれてありがとう」と言ってもらえたことが嬉しかったです。

――店舗のスタッフさんも、同じ気持ちなんですね。

宮田:現場のスタッフはみんな子ども好きなので、「遠慮せずにおもちゃに触って遊んで、どんどんお店に来てほしい」という思いが特に強いと思います。その日はお買い物をしないということであっても、お誕生日やクリスマスなどに買っていただければと思いますので、何回でもお店に来ていただきたいです。

――実際に、お店で子どもがサンプルで遊ぶことで、トラブルが発生したりお店側に迷惑をかける事例はあるのですか?

宮田:正直、あまり聞いたことがないんです。私も店舗に行くことがあるのですが、お子さんたちは譲り合って遊んでくれていますし、知らない子同士でも自然に一緒に遊んだりしている様子が見られます。保護者の方がうまくお子さんを誘導したり、他のおもちゃに興味を持たせたりして、譲り合って遊べるよう見守ってくださっていると思います。

◆「触って、動かして、遊べる」実店舗ならではの良さ

――いつ頃から、おもちゃのサンプルを置くようになったのですか?

宮田:国内でトイザらスの1号店がオープンしたのが1991年なのですが、勤続年数の長い社員に確認した限りでは95年にはサンプルがあったという話なので、おそらく最初からあったのではないかと思います。

おもちゃは実際に触って遊んでみないと気に入るかどうかわからないので、なるべく触れて遊んでいただけるように店舗作りをしています。サンプルを置くテーブルも、お子さんに遊んでもらいやすいように配慮したり、下から2段目の棚はお子さんが触るのにちょうどいい高さなので、商品は置かずにサンプルで遊んでもらうために使ったりしています。

――最近はECサイトでおもちゃを購入する人が増えていると思うのですが、実店舗の良さについてどう考えていますか?

宮田:今はメーカーさんの商品サイトが充実していて、YouTubeなどでもいろいろな方がレビューをされているので、おもちゃの情報がネットでたくさん得られると思います。でも、実際にお子さん自身が触ったり、動かしたりして遊んでみて初めてわかることもあるのかなと。「うちの子にはまだ早かったんだ」とか、「意外にキャラクターものが好きなんだな」といったお子さんの反応を見られるのは、ECでは再現できないところですね。

これは私の実体験でもあるのですが、特に子どもが小さい頃は、親が買ってあげたいものを選びがちなんですよね。また、「ほしいものないの?」と聞いても、はっきりとした答えが出ない子もいるのではないでしょうか。そういう時はぜひお店に来て、お子さんに自由にお店を探検してもらって、本当に好きなもの、興味があるものを発見していただきたいと思います。

◆おもちゃの電池が切れてしまっていたら…

――これからクリスマスの時期ですが、混雑時の注意点や親御さんへのアドバイスはありますか?

宮田:混雑時は、おもちゃのサンプルの電池切れがどうしても起きやすいので、もしお気づきの際は、ご遠慮なくお近くのスタッフに教えていただければ電池交換させていただきます。

――電池交換をお願いするの、なんだか悪いなという気がしてたので、そう言っていただけると心強いです……!

宮田:店舗では11月8日から「サンタポスト」を設置していますので、サンタさんに何をお願いするのか、お子さんと相談する際にご活用いただければと思います。

早めにクリスマスプレゼントを購入されると、お子さんのほしいものが変わってしまうのも、親御さんの悩みの種かなと思います。その場合は、トイザらス・ベビーザらスのポイントカード会員の方は購入後60日、非会員の方は30日以内でしたら購入時のレシートがあれば返品が可能です。

◆「スタッフはいつも“応援したい”という気持ちで見守っています」

――最後に、子育てに奮闘している親御さんたちにメッセージをお願いします。

宮田:お子さんと一緒におもちゃ屋さんに行くという経験は、お子さんが小さい頃の貴重な経験だと思います。私の子ども2人はもう高校生と小学校高学年なので、「小さい頃の育児って本当に一瞬だったな」という懐かしさがあります。駄々をこねられたり、大変なこともあると思いますが、店舗のスタッフはいつも応援したいという気持ちで見守っています。

また、最近は「キダルト(Kidult)」(子どもの心を忘れない大人)向けのおもちゃも展開しています。例えば、花や名画を作ることができるLEGOの商品や、「ワニワニパニック」や「エアホッケー」などの懐かしいおもちゃなどが人気です。「ファービー」「たまごっち」なども新しくなって登場していたり、大人の方にも楽しんでいただけるおもちゃをたくさん取り扱っています。

大きくなったお子さんと一緒に来ていただいたり、大人が1人で来ても楽しめると思いますので、ぜひ遊びに来てください。

<取材・文/都田ミツコ>

【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。

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