11月19日、俳優の岡田将生さんと高畑充希さんがそれぞれのInstagramにて結婚を発表しました。2人が初共演したドラマ『1122』(PrimeVideo)配信時に行った、高畑充希さんのインタビューを再掲載します。(公開日は2024年06月30日)
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現在、NHK大河ドラマ『光る君へ』の中宮定子役も好評の高畑充希さん(32歳)。
主演ドラマ『1122 いいふうふ』の配信が、Prime Videoにてスタートしました。岡田将生さんと初共演となった本作では、30代夫婦のリアルでいびつな姿が描かれていきます。
セックスレス、夫の婚外恋愛、女性向け風俗と、気になるエピソードが連続する物語で、“いいふうふ”を見つめた高畑さんに話を聞きました。
◆女子会シーンの会話に「あるある過ぎる」
――もともと渡辺ペコさんの原作コミックを読まれていたとか。
高畑充希さん(以下、高畑)「原作がすごく好きで、ドラマになったらすごく面白いだろうなと思ってました。“ドラマになったら”といつも考えているわけではないですけど、この『1122 いいふうふ』に関しては強く思ったんです。人間臭くて、生身の人間が演じるのを見られたらって。
ただ当時は、自分が20代だったので、自分自身が演じるという発想はありませんでした。それに性的なトピックも結構あるので、地上波では無理だろうなとも思ってました。そこから月日が経って配信も普及して、自分に一子(いちこ)役がめぐってきて、すごく縁を感じました」
――いちこが友達と話している女子会も面白いです。
高畑「あるある過ぎる、分かるなと思ってました。ああいう女子会って、芯を食ってる感じがあって、センシティブな会話でもシリアスになりすぎずに、それをどこか面白がって喋ってる。
女性って男性よりむしろドライだし、現実主義者のところもあると思うし、私自身、年齢的にも女友達と妊活の話とか、性に関する話も普通にするので、そういう女子会を聞かれてたんじゃないかなというくらいのセリフでした(笑)」
◆婚外恋愛と風俗、どっちのほうが許せる?
――「地上波では無理だろう」と思ったとのことですが、“おとやん”こと夫の二也(おとや)がいちこ公認の「婚外恋愛」をしたり、いちこが女性向け風俗に興味を持ったりと、たしかに際(きわ)どいピソードが満載です。
高畑「いろんな世代のお友達と話す機会があると、本当にいろんな夫婦がいて、独身の方でもいろんな考え方があるので、私はいろんな関係に否定的ではありません。ただ実際に、いちことおとやんのような出来事があって、夫婦が成立するのかなというのは考えました。
でも私世代が年下の男の子を買うと聞くと、センセーショナルに感じがちだけど、そこに至るまでの過程が丁寧に描かれているし、この物語が面白いのは、そもそもみんな自分の正義で動いているのが、こんがらがってくるところなんですよね」
――ちなみに感覚としては、婚外恋愛と風俗では、どちらのほうが許せますか?
高畑「たぶん男性からすると、風俗に行かれるほうが嫌なのかなと。おとやんみたいに引いたり。
自分なら、自分の夫や彼氏が外でガチ恋愛するなら、お金を払っての関係の方がましですかね。相手もプロだから。気持ちを持っていかれるほうが傷つくんじゃないかなと思います」
◆「楽しくやろうぜ」の高畑充希と、考えるタイプの岡田将生
――おとやんを演じる岡田将生さんとは初共演ですね。
高畑「最初は、岡田さんと二也って印象が違うのかなって思ったんです。“おとやんっているかいないか分かんない”みたいなセリフもありますが、岡田さんはとても存在感のある俳優さんなので。でもいざ本読みをやってみたら、おとやんがそこにいました。
あと、岡田さんと今泉力哉監督(『愛がなんだ』『からかい上手の高木さん』)がすごく考える方なので、私はあまり考えないでいようと。そのバランスでやってました」
――岡田さんと今泉監督は、高畑さんとはタイプが違いました?
高畑「おふたりがすごく考えるタイプなんです。“なんでそんなにポジティブなんですか”と何度言われたか分からないくらいでした。今回は特に監督と岡田さんが理論的に考えていくタイプだったので、私は“明るく、楽しくやってこ~”くらいのテンションで、ちょうどいいチームワークだったかなと思います」
◆1回結婚して離婚したくらいの疲れを感じた
――ずばり、タイトルにもある“いい夫婦”とは? いちことおとやんを見て感じたことでも。
高畑「ふたりがいい夫婦だなと思ったのは、話し合うことから逃げないことです。話し合うのって面倒くさい事もあるし、なあなあにしておけばラクな事もあると思うんです。でもふたりは食卓を囲んででも、絶対に話し合う。まあ、話し合い過ぎてああなっちゃったんじゃないかというところも、ちょっとありますけど(笑)。
でも話し合うイコール相手にちゃんと興味があって、すり合わせようとする意識があるということですよね。
20代のときって、トキメキとかかっこいいだけで完了できていたけど、年齢を重ねてくると、問題が起きたときに、お互いすり合わせられるかどうかの人間性に重きを置くようになってくると思うんです。そんなことを考えていたところに、今回の作品での経験がすごくリンクしました」
――ただ今回の疑似体験には、しんどいところもなかったですか?
高畑「とてもしんどかったです(笑)。1回結婚して離婚したくらいの疲れを感じたので、結婚はしてみたいけど、離婚はしたくないなと思いました」
◆仕事のペース感や考え方が変わってきた
――ちょうど1年前くらいにお話を伺ったときに、「自分自身への興味が薄いので、もっと自分に興味を持ちたい」とおっしゃっていました。変化はありましたか?
高畑「去年、ドラマ『unknown』(テレビ朝日)が終わったくらいから休みを取って旅行に行ったり、いい感じにリセットされたと思います。家でゆっくり過ごすという生活もしているので、前よりは自分に興味が向いているかなと。
頑張らなきゃいけないタイミングは絶対にあるんですけど、頑張れないことを無理に増やさないようにはなったかもしれません。仕事のペース感や考え方が変わってきた気がします」
――それはキャリアや年齢が関係しているのでしょうか。
高畑「20代はノリと勢いで生きている部分があったし、それが苦ではなかったんですけど、30代に入って、ひとつひとつのことに丁寧に向き合うようになりました。自分自身のいいペースが出来はじめているのかなと」
――現在、大河ドラマ『光る君へ』での定子役も大評判です。
高畑「大河はゆっくり撮っていたので。ちゃんと自分のバランスを見ていきたいと思うようになったし、それが出来はじめていると思います。ここからまた自分が変わっていける時期なのかなって」
◆今の自分にフィットする役を求めている
――2005年のデビューから、もう少しでキャリア20年です。
高畑「なんだかんだで続いているのはすごくありがたです。気づいたら20年という感じですが、毎回現場に行くと新入生みたいな気持ちになります。
役に関しては、年々変わっていくし、それを心地よく感じています。たとえば20代前半だったら絶対やりたいと思った役でも、今だと“自分より合う人がいるな”と思います。今の自分にフィットする役をすごく求めている感覚がありますね。特に今は、若くも見えるし、上にも見えて、いろんな年代の役ができるタイミングですし。
それこそ大河もそうですけど、若い頃から年齢を重ねるまでひとりで演じる役が増えていて、その人の人生をしっかりやれるのがすごく面白いです。もっと年を重ねたら、またその年に応じた役と出会えるでしょうし、これからもステキな役に会いたいと思っています」
――楽しみにしています。今回はいちこと出会いました。最後に、高畑さんの思ういちこの好きなところを教えてください。
高畑「ちょっと滑稽(こっけい)なところが好きです。文学的じゃないというか。なんでそんなことやっちゃうかな、でも分かる分かるみたいな。
自分を大きく見せようとしてないし、かといって小さく見せようとしているわけでもない。原作はコミックですが、人が見える作品だと思います。私はここに登場する人物は、みんな好きですね。みんなが本当に頑張っているから好きです」
<取材・文・撮影/望月ふみ>
(C) 渡辺ペコ/講談社 (C) murmur Co., Ltd.
Prime Videoにて世界独占配信
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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現在、NHK大河ドラマ『光る君へ』の中宮定子役も好評の高畑充希さん(32歳)。
主演ドラマ『1122 いいふうふ』の配信が、Prime Videoにてスタートしました。岡田将生さんと初共演となった本作では、30代夫婦のリアルでいびつな姿が描かれていきます。
セックスレス、夫の婚外恋愛、女性向け風俗と、気になるエピソードが連続する物語で、“いいふうふ”を見つめた高畑さんに話を聞きました。
◆女子会シーンの会話に「あるある過ぎる」
――もともと渡辺ペコさんの原作コミックを読まれていたとか。
高畑充希さん(以下、高畑)「原作がすごく好きで、ドラマになったらすごく面白いだろうなと思ってました。“ドラマになったら”といつも考えているわけではないですけど、この『1122 いいふうふ』に関しては強く思ったんです。人間臭くて、生身の人間が演じるのを見られたらって。
ただ当時は、自分が20代だったので、自分自身が演じるという発想はありませんでした。それに性的なトピックも結構あるので、地上波では無理だろうなとも思ってました。そこから月日が経って配信も普及して、自分に一子(いちこ)役がめぐってきて、すごく縁を感じました」
――いちこが友達と話している女子会も面白いです。
高畑「あるある過ぎる、分かるなと思ってました。ああいう女子会って、芯を食ってる感じがあって、センシティブな会話でもシリアスになりすぎずに、それをどこか面白がって喋ってる。
女性って男性よりむしろドライだし、現実主義者のところもあると思うし、私自身、年齢的にも女友達と妊活の話とか、性に関する話も普通にするので、そういう女子会を聞かれてたんじゃないかなというくらいのセリフでした(笑)」
◆婚外恋愛と風俗、どっちのほうが許せる?
――「地上波では無理だろう」と思ったとのことですが、“おとやん”こと夫の二也(おとや)がいちこ公認の「婚外恋愛」をしたり、いちこが女性向け風俗に興味を持ったりと、たしかに際(きわ)どいピソードが満載です。
高畑「いろんな世代のお友達と話す機会があると、本当にいろんな夫婦がいて、独身の方でもいろんな考え方があるので、私はいろんな関係に否定的ではありません。ただ実際に、いちことおとやんのような出来事があって、夫婦が成立するのかなというのは考えました。
でも私世代が年下の男の子を買うと聞くと、センセーショナルに感じがちだけど、そこに至るまでの過程が丁寧に描かれているし、この物語が面白いのは、そもそもみんな自分の正義で動いているのが、こんがらがってくるところなんですよね」
――ちなみに感覚としては、婚外恋愛と風俗では、どちらのほうが許せますか?
高畑「たぶん男性からすると、風俗に行かれるほうが嫌なのかなと。おとやんみたいに引いたり。
自分なら、自分の夫や彼氏が外でガチ恋愛するなら、お金を払っての関係の方がましですかね。相手もプロだから。気持ちを持っていかれるほうが傷つくんじゃないかなと思います」
◆「楽しくやろうぜ」の高畑充希と、考えるタイプの岡田将生
――おとやんを演じる岡田将生さんとは初共演ですね。
高畑「最初は、岡田さんと二也って印象が違うのかなって思ったんです。“おとやんっているかいないか分かんない”みたいなセリフもありますが、岡田さんはとても存在感のある俳優さんなので。でもいざ本読みをやってみたら、おとやんがそこにいました。
あと、岡田さんと今泉力哉監督(『愛がなんだ』『からかい上手の高木さん』)がすごく考える方なので、私はあまり考えないでいようと。そのバランスでやってました」
――岡田さんと今泉監督は、高畑さんとはタイプが違いました?
高畑「おふたりがすごく考えるタイプなんです。“なんでそんなにポジティブなんですか”と何度言われたか分からないくらいでした。今回は特に監督と岡田さんが理論的に考えていくタイプだったので、私は“明るく、楽しくやってこ~”くらいのテンションで、ちょうどいいチームワークだったかなと思います」
◆1回結婚して離婚したくらいの疲れを感じた
――ずばり、タイトルにもある“いい夫婦”とは? いちことおとやんを見て感じたことでも。
高畑「ふたりがいい夫婦だなと思ったのは、話し合うことから逃げないことです。話し合うのって面倒くさい事もあるし、なあなあにしておけばラクな事もあると思うんです。でもふたりは食卓を囲んででも、絶対に話し合う。まあ、話し合い過ぎてああなっちゃったんじゃないかというところも、ちょっとありますけど(笑)。
でも話し合うイコール相手にちゃんと興味があって、すり合わせようとする意識があるということですよね。
20代のときって、トキメキとかかっこいいだけで完了できていたけど、年齢を重ねてくると、問題が起きたときに、お互いすり合わせられるかどうかの人間性に重きを置くようになってくると思うんです。そんなことを考えていたところに、今回の作品での経験がすごくリンクしました」
――ただ今回の疑似体験には、しんどいところもなかったですか?
高畑「とてもしんどかったです(笑)。1回結婚して離婚したくらいの疲れを感じたので、結婚はしてみたいけど、離婚はしたくないなと思いました」
◆仕事のペース感や考え方が変わってきた
――ちょうど1年前くらいにお話を伺ったときに、「自分自身への興味が薄いので、もっと自分に興味を持ちたい」とおっしゃっていました。変化はありましたか?
高畑「去年、ドラマ『unknown』(テレビ朝日)が終わったくらいから休みを取って旅行に行ったり、いい感じにリセットされたと思います。家でゆっくり過ごすという生活もしているので、前よりは自分に興味が向いているかなと。
頑張らなきゃいけないタイミングは絶対にあるんですけど、頑張れないことを無理に増やさないようにはなったかもしれません。仕事のペース感や考え方が変わってきた気がします」
――それはキャリアや年齢が関係しているのでしょうか。
高畑「20代はノリと勢いで生きている部分があったし、それが苦ではなかったんですけど、30代に入って、ひとつひとつのことに丁寧に向き合うようになりました。自分自身のいいペースが出来はじめているのかなと」
――現在、大河ドラマ『光る君へ』での定子役も大評判です。
高畑「大河はゆっくり撮っていたので。ちゃんと自分のバランスを見ていきたいと思うようになったし、それが出来はじめていると思います。ここからまた自分が変わっていける時期なのかなって」
◆今の自分にフィットする役を求めている
――2005年のデビューから、もう少しでキャリア20年です。
高畑「なんだかんだで続いているのはすごくありがたです。気づいたら20年という感じですが、毎回現場に行くと新入生みたいな気持ちになります。
役に関しては、年々変わっていくし、それを心地よく感じています。たとえば20代前半だったら絶対やりたいと思った役でも、今だと“自分より合う人がいるな”と思います。今の自分にフィットする役をすごく求めている感覚がありますね。特に今は、若くも見えるし、上にも見えて、いろんな年代の役ができるタイミングですし。
それこそ大河もそうですけど、若い頃から年齢を重ねるまでひとりで演じる役が増えていて、その人の人生をしっかりやれるのがすごく面白いです。もっと年を重ねたら、またその年に応じた役と出会えるでしょうし、これからもステキな役に会いたいと思っています」
――楽しみにしています。今回はいちこと出会いました。最後に、高畑さんの思ういちこの好きなところを教えてください。
高畑「ちょっと滑稽(こっけい)なところが好きです。文学的じゃないというか。なんでそんなことやっちゃうかな、でも分かる分かるみたいな。
自分を大きく見せようとしてないし、かといって小さく見せようとしているわけでもない。原作はコミックですが、人が見える作品だと思います。私はここに登場する人物は、みんな好きですね。みんなが本当に頑張っているから好きです」
<取材・文・撮影/望月ふみ>
(C) 渡辺ペコ/講談社 (C) murmur Co., Ltd.
Prime Videoにて世界独占配信
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi