「再ブレイク」と評しては失礼かとは思いますが、事実、今年は2本の連続ドラマ主演、1本のSPドラマ主演と、大ブレイク中の若手俳優や脂の乗った30代俳優ばりに引っ張りだこになっています。
――知命(ちめい)の50歳、反町隆史さんのことです。
◆今年は1月期と10月期にGP帯の主演連ドラ
反町さんは今年1月期の連ドラ『グレイトギフト』(テレビ朝日系)に主演し、4月にはSPドラマとして復活した『GTOリバイバル』(フジテレビ系)に主演。
そして現在放送中の10月期の連ドラ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)に、杉野遥亮さんとダブル主演しているのです。
アラフィフにして年間2本のGP(ゴールデン・プライム)帯の新作連ドラに主演とは、最旬の俳優並みのフル稼働ぶりと言えるでしょう。
そこで今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、反町隆史さんの“現在地”について解説していきます。
◆全盛期の90年代に『ビーチボーイズ』と『GTO』
反町さんが“落ち目”になっていたという時代はありませんが、誤解を恐れずに言うなら、90年代の全盛期と比べると勢いに陰りが出ていた時期があったのはたしかです。
1994年の『毎度ゴメンなさぁい』(TBS系)でドラマデビューし、翌年の1995年にレギュラー出演した『未成年』(TBS系)が大ヒット。
続いて竹野内豊さんとダブル主演した1997年の『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)で大ブレイクし、人気主演俳優の仲間入りを果たしました。
『ビーチボーイズ』の最大の魅力は、なんといっても20代半ばとは思えないほどドバドバ溢れていた、反町さんと竹野内さんの圧倒的な男の色気。反町さんはたびたび上半身裸になって、鍛えられた褐色の筋肉質ボディを惜しげもなく披露しつつ、屈託ない少年のような笑顔で髪をかき上げ、世の女性たちを魅了していました。
反町さんの単独主演の代表作『GTO』(フジテレビ系)が1998年に放送。暴走族あがりの破天荒教師が、赴任した高校の生徒たちの問題に命がけで向き合い、学校全体を変えていくというストーリーで、全話平均が28.5%、最終回が35.7%という驚異の視聴率(世帯平均視聴率/関東地区)を獲得。伝説を打ち立てたのです。
そんな『GTO』が26年の年を経て今年『GTOリバイバル』として復活したのは、感慨深さがハンパなく、胸アツでした。
◆『グレイトギフト』で新境地の主人公に挑戦
ただ『ビーチボーイズ』、『GTO』以降、スマッシュヒットした主演ドラマはありましたが、社会現象を起こすほどの大ヒット作には恵まれなかった反町さん。
その後、2015年から2022年までの7シーズンに渡りご長寿刑事ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)で、水谷豊さんの4代目相棒を務めたことが復活の転機となります。
『相棒』を経て円熟した「イケオジ俳優」へと脱皮し、今年の八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍に繋がるのです。
今年1月期放送の『グレイトギフト』は、完全犯罪を可能にする殺人球菌「ギフト」をめぐるノンストップサバイバル医療ミステリーで、反町さんが新境地を開拓した作品となりました。
反町さん演じる主人公はこれまでのパブリックイメージとは真逆で、コミュ力が低めで優柔不断、同僚たちから見下されているといううだつの上がらない病理医。熱くてヤンチャな役どころや、クールでスマートな役どころのイメージが強い反町さんにとって、ほぼ初めてに近い主人公像だったはずです。
忌憚(きたん)なく言うなら、主人公が序盤から中盤までずっと敵対勢力にハメられて惨敗続きだったため、フラストレーションが溜まる展開だったのですが、その分、終盤の逆襲劇でスカッとしてカタルシスが得られるストーリーとなっていました。
◆『オクラ』ではホットとクールの二面性を表現
そして現在放送中の『オクラ』。反町さんと杉野さんが演じる刑事のバディものとなっています。
“お蔵入り”になってしまった未解決事件を扱う「特命捜査情報管理室」は、警視庁内で無能や荒くれ者と判断された警官たちが集められた“刑事の墓場”。
そんな掃きだめのようなところに所属する人情に厚く「捜査は足で稼ぐ」が信条の昭和刑事(反町さん)と、新たに配属されたインテリジェンスを漂わせるクールな令和刑事(杉野さん)が、風化寸前の未解決事件に挑んでいくというストーリーです。
反町が演じる主人公は、一見すると『ビーチボーイズ』や『GTO』を彷彿させる“陽”の破天荒キャラ。たとえば逮捕令状もないのに容疑者のアパートを訪れ、部屋のドアを殴る蹴るで破壊して侵入するという“GTO味”のあるシーンもありました。
しかし、今作の主人公はそんな“陽”の一面だけではなく、裏の顔としてダークヒーロー的な“陰”の面も持ち合わせていたのです。
そのため『オクラ』は「ホットな反町隆史」と「クールな反町隆史」の両方を堪能できる、“一粒で二度美味しい”作品と言えるでしょう。『ビーチボーイズ』、『GTO』、『相棒』といった代表作の経験が、ひとつの作品で二面性を表現する今作の糧になっているに違いありません。
◆「日曜劇場」主演の可能性も充分アリ?
――現在の民放ドラマ枠の最高峰のひとつはTBSの「日曜劇場」ではないでしょうか。
綾野剛さん主演の日曜劇場『オールドルーキー』(2022年)にて、反町さんは貫禄のボス役で出演していましたので、その際の貢献ぶりや今年の活躍が評価され、そう遠くない将来、反町さんが日曜劇場主演を果たす可能性も充分あるように思えます。
もしかしたら役者・反町隆史のキャリアハイは、これから来るのかもしれません。
<文/堺屋大地>
【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。
――知命(ちめい)の50歳、反町隆史さんのことです。
◆今年は1月期と10月期にGP帯の主演連ドラ
反町さんは今年1月期の連ドラ『グレイトギフト』(テレビ朝日系)に主演し、4月にはSPドラマとして復活した『GTOリバイバル』(フジテレビ系)に主演。
そして現在放送中の10月期の連ドラ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)に、杉野遥亮さんとダブル主演しているのです。
アラフィフにして年間2本のGP(ゴールデン・プライム)帯の新作連ドラに主演とは、最旬の俳優並みのフル稼働ぶりと言えるでしょう。
そこで今回は年間・約100本寄稿するドラマ批評コラム連載を持つ筆者が、反町隆史さんの“現在地”について解説していきます。
◆全盛期の90年代に『ビーチボーイズ』と『GTO』
反町さんが“落ち目”になっていたという時代はありませんが、誤解を恐れずに言うなら、90年代の全盛期と比べると勢いに陰りが出ていた時期があったのはたしかです。
1994年の『毎度ゴメンなさぁい』(TBS系)でドラマデビューし、翌年の1995年にレギュラー出演した『未成年』(TBS系)が大ヒット。
続いて竹野内豊さんとダブル主演した1997年の『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)で大ブレイクし、人気主演俳優の仲間入りを果たしました。
『ビーチボーイズ』の最大の魅力は、なんといっても20代半ばとは思えないほどドバドバ溢れていた、反町さんと竹野内さんの圧倒的な男の色気。反町さんはたびたび上半身裸になって、鍛えられた褐色の筋肉質ボディを惜しげもなく披露しつつ、屈託ない少年のような笑顔で髪をかき上げ、世の女性たちを魅了していました。
反町さんの単独主演の代表作『GTO』(フジテレビ系)が1998年に放送。暴走族あがりの破天荒教師が、赴任した高校の生徒たちの問題に命がけで向き合い、学校全体を変えていくというストーリーで、全話平均が28.5%、最終回が35.7%という驚異の視聴率(世帯平均視聴率/関東地区)を獲得。伝説を打ち立てたのです。
そんな『GTO』が26年の年を経て今年『GTOリバイバル』として復活したのは、感慨深さがハンパなく、胸アツでした。
◆『グレイトギフト』で新境地の主人公に挑戦
ただ『ビーチボーイズ』、『GTO』以降、スマッシュヒットした主演ドラマはありましたが、社会現象を起こすほどの大ヒット作には恵まれなかった反町さん。
その後、2015年から2022年までの7シーズンに渡りご長寿刑事ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)で、水谷豊さんの4代目相棒を務めたことが復活の転機となります。
『相棒』を経て円熟した「イケオジ俳優」へと脱皮し、今年の八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍に繋がるのです。
今年1月期放送の『グレイトギフト』は、完全犯罪を可能にする殺人球菌「ギフト」をめぐるノンストップサバイバル医療ミステリーで、反町さんが新境地を開拓した作品となりました。
反町さん演じる主人公はこれまでのパブリックイメージとは真逆で、コミュ力が低めで優柔不断、同僚たちから見下されているといううだつの上がらない病理医。熱くてヤンチャな役どころや、クールでスマートな役どころのイメージが強い反町さんにとって、ほぼ初めてに近い主人公像だったはずです。
忌憚(きたん)なく言うなら、主人公が序盤から中盤までずっと敵対勢力にハメられて惨敗続きだったため、フラストレーションが溜まる展開だったのですが、その分、終盤の逆襲劇でスカッとしてカタルシスが得られるストーリーとなっていました。
◆『オクラ』ではホットとクールの二面性を表現
そして現在放送中の『オクラ』。反町さんと杉野さんが演じる刑事のバディものとなっています。
“お蔵入り”になってしまった未解決事件を扱う「特命捜査情報管理室」は、警視庁内で無能や荒くれ者と判断された警官たちが集められた“刑事の墓場”。
そんな掃きだめのようなところに所属する人情に厚く「捜査は足で稼ぐ」が信条の昭和刑事(反町さん)と、新たに配属されたインテリジェンスを漂わせるクールな令和刑事(杉野さん)が、風化寸前の未解決事件に挑んでいくというストーリーです。
反町が演じる主人公は、一見すると『ビーチボーイズ』や『GTO』を彷彿させる“陽”の破天荒キャラ。たとえば逮捕令状もないのに容疑者のアパートを訪れ、部屋のドアを殴る蹴るで破壊して侵入するという“GTO味”のあるシーンもありました。
しかし、今作の主人公はそんな“陽”の一面だけではなく、裏の顔としてダークヒーロー的な“陰”の面も持ち合わせていたのです。
そのため『オクラ』は「ホットな反町隆史」と「クールな反町隆史」の両方を堪能できる、“一粒で二度美味しい”作品と言えるでしょう。『ビーチボーイズ』、『GTO』、『相棒』といった代表作の経験が、ひとつの作品で二面性を表現する今作の糧になっているに違いありません。
◆「日曜劇場」主演の可能性も充分アリ?
――現在の民放ドラマ枠の最高峰のひとつはTBSの「日曜劇場」ではないでしょうか。
綾野剛さん主演の日曜劇場『オールドルーキー』(2022年)にて、反町さんは貫禄のボス役で出演していましたので、その際の貢献ぶりや今年の活躍が評価され、そう遠くない将来、反町さんが日曜劇場主演を果たす可能性も充分あるように思えます。
もしかしたら役者・反町隆史のキャリアハイは、これから来るのかもしれません。
<文/堺屋大地>
【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。