今年もジュノンボーイが決まったが、第37回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞した佐藤倖斗と肩を並べて注目されている存在がいる。
フォトジェニック賞を受賞した谷原七音である。谷原章介が父であることを審査中から公言していた彼は、なかなか野心的な人物なのだ。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、ジュノンボーイの真打ち登場かと感じる谷原七音を解説する。
◆2024年は二世俳優の“黄金期突入”イヤーだった!?
イケメン・サーチャーとして、さまざまなイケメン俳優に熱い眼差しをそそぐ中で、2024年は、いわゆる二世俳優たちの活躍が特に際立つ1年になったように感じられた。
代表的なところだと、浅野忠信とCHARAの息子である佐藤緋美が、西島秀俊主演の『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS、2024年)で演じたチェロ奏者役はあざやかな朴訥(ぼくとつ)さが魅力的だった。市村正親と篠原涼子の長男である市村優汰も活躍の場を模索しながら、着実に注目を集め始めている。
出世頭は、沢村一樹の息子・野村康太である。松本まりか演じる主人公がもうひとつ家庭を持つ夫に復讐する『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京、2024年)がブレイクまでの強固な足がかりになり、続く『その着せ替え人形は恋をする』(MBS、2024年)で勢いをとどめない。彼らの怒涛の活躍を見ると、2024年は二世俳優の“黄金期突入”イヤーだったのではないかと思うのだ。
◆アイデンティティーとして表明するスタイル
どうやら令和の二世俳優たちには、誰々の息子であるという事実を隠すことなく、むしろ自分のアイデンティティーとして潔く表明するスタイルが傾向としてあるようである。
今年で第37回を数えるジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞を受賞した谷原七音は、谷原章介の長男(実父はいしだ壱成)として審査期間中にすでに話題だったが、受賞を受けてInstagram上で「生まれをアイデンティティとして誇りに思う」と言葉にしている。そこに葛藤をみいださず、使えるものは使う。
ファイナリスト15人発表時のプロフィールには、「貪欲さはこの芸能界において必要不可欠なものだと感じました」と書かれてさえいる。いいじゃないか。二世であることをポジティブな推進力とする谷原七音の「貪欲さ」は清々しい。
◆フォトジェニック賞は“民意による受賞”
谷原七音が受賞したフォトジェニック賞は、過去に三浦翔平(2007年の第20回)が受賞している。1次審査の書類審査で1000人が選ばれ、『JUNON』編集部によって審査されたBEST150を経ていきながら、「フォトジェニック決定戦」でライブ配信や読者投票数などで採点された一番人気に贈られる。
民意による受賞といえるだろう。過去の受賞者を見て、現在まで第一線で活躍し続けているのが三浦翔平だけだとすると、谷原七音には今後三浦と肩を並べるだけの存在になるポテンシャルを十分感じる。
2015年の第28回でグランプリを受賞した飯島寛騎以来、目立つ才能が輩出されていないこと、今年の第37回が2020年代でもっとも応募者総数が少なかったことからも、谷原七音の活躍はコンテスト自体の存在意義と存続につながってくる。
◆ジュノンボーイの真打ち登場か
上述したファイナリストのプロフィールには、コンテストに出場した理由が書かれている。「客観的にみた自分の注目度だけが一人歩きしてしまうと感じ、自分自身が成長しなくてはこの先何年も生き残っていけないと思ったから」というように、谷原七音はこのコンテストを試金石として捉えているところがある。
もはや若手俳優にとっての登竜門的な権威性を保持しているとはいえない同コンテストに対して、それでも出場する意味は単純な力試し以上のものではないからである。
今の自分がどこでどんなことをすれば、実力を試せるのか。彼はそのことをよくわかっている。目標とする俳優としては2008年の第21回でファイナリストになった菅田将暉をあげている。
英プレミアムリーグ所属のサッカーチーム「アーセナル」好きということで、番組ロケをやりたいという具体的な夢もある。アーセン・ベンゲル監督在任中のアーセナルファンだった筆者として、これは応援したい。「貪欲さ」という力強い言葉が裏打ちするスマートなジュノンボーイであり、真打ち登場かという気がする。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
フォトジェニック賞を受賞した谷原七音である。谷原章介が父であることを審査中から公言していた彼は、なかなか野心的な人物なのだ。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、ジュノンボーイの真打ち登場かと感じる谷原七音を解説する。
◆2024年は二世俳優の“黄金期突入”イヤーだった!?
イケメン・サーチャーとして、さまざまなイケメン俳優に熱い眼差しをそそぐ中で、2024年は、いわゆる二世俳優たちの活躍が特に際立つ1年になったように感じられた。
代表的なところだと、浅野忠信とCHARAの息子である佐藤緋美が、西島秀俊主演の『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS、2024年)で演じたチェロ奏者役はあざやかな朴訥(ぼくとつ)さが魅力的だった。市村正親と篠原涼子の長男である市村優汰も活躍の場を模索しながら、着実に注目を集め始めている。
出世頭は、沢村一樹の息子・野村康太である。松本まりか演じる主人公がもうひとつ家庭を持つ夫に復讐する『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京、2024年)がブレイクまでの強固な足がかりになり、続く『その着せ替え人形は恋をする』(MBS、2024年)で勢いをとどめない。彼らの怒涛の活躍を見ると、2024年は二世俳優の“黄金期突入”イヤーだったのではないかと思うのだ。
◆アイデンティティーとして表明するスタイル
どうやら令和の二世俳優たちには、誰々の息子であるという事実を隠すことなく、むしろ自分のアイデンティティーとして潔く表明するスタイルが傾向としてあるようである。
今年で第37回を数えるジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞を受賞した谷原七音は、谷原章介の長男(実父はいしだ壱成)として審査期間中にすでに話題だったが、受賞を受けてInstagram上で「生まれをアイデンティティとして誇りに思う」と言葉にしている。そこに葛藤をみいださず、使えるものは使う。
ファイナリスト15人発表時のプロフィールには、「貪欲さはこの芸能界において必要不可欠なものだと感じました」と書かれてさえいる。いいじゃないか。二世であることをポジティブな推進力とする谷原七音の「貪欲さ」は清々しい。
◆フォトジェニック賞は“民意による受賞”
谷原七音が受賞したフォトジェニック賞は、過去に三浦翔平(2007年の第20回)が受賞している。1次審査の書類審査で1000人が選ばれ、『JUNON』編集部によって審査されたBEST150を経ていきながら、「フォトジェニック決定戦」でライブ配信や読者投票数などで採点された一番人気に贈られる。
民意による受賞といえるだろう。過去の受賞者を見て、現在まで第一線で活躍し続けているのが三浦翔平だけだとすると、谷原七音には今後三浦と肩を並べるだけの存在になるポテンシャルを十分感じる。
2015年の第28回でグランプリを受賞した飯島寛騎以来、目立つ才能が輩出されていないこと、今年の第37回が2020年代でもっとも応募者総数が少なかったことからも、谷原七音の活躍はコンテスト自体の存在意義と存続につながってくる。
◆ジュノンボーイの真打ち登場か
上述したファイナリストのプロフィールには、コンテストに出場した理由が書かれている。「客観的にみた自分の注目度だけが一人歩きしてしまうと感じ、自分自身が成長しなくてはこの先何年も生き残っていけないと思ったから」というように、谷原七音はこのコンテストを試金石として捉えているところがある。
もはや若手俳優にとっての登竜門的な権威性を保持しているとはいえない同コンテストに対して、それでも出場する意味は単純な力試し以上のものではないからである。
今の自分がどこでどんなことをすれば、実力を試せるのか。彼はそのことをよくわかっている。目標とする俳優としては2008年の第21回でファイナリストになった菅田将暉をあげている。
英プレミアムリーグ所属のサッカーチーム「アーセナル」好きということで、番組ロケをやりたいという具体的な夢もある。アーセン・ベンゲル監督在任中のアーセナルファンだった筆者として、これは応援したい。「貪欲さ」という力強い言葉が裏打ちするスマートなジュノンボーイであり、真打ち登場かという気がする。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu