女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「恋愛」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2020年12月21日 記事は取材時の状況)
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誰しも人生には最盛期とドン底期があるものですが、とくにピーク時には本人は気づかないものです。
うらやましがられる最盛期と、ドン底を味わったという女性に話を聞いてみました。
◆オタク系のサークルで姫扱い
筆者が仕事を通じて出会った映子さん(仮名・33歳)は、年齢より若々しく見える上にとても美人。芸能人でいうとSKE48・乃木坂46の元メンバーの松井玲奈に似た感じの女性です。
若い頃はさぞかしモテていただろうと思いましたが、予想通り大学時代は男性にチヤホヤされまくる“姫”のような立ち位置だったそうです。
「ただ、入っていたサークルがいわゆるアニメとかゲームが好きな人ばかりが集まるオタク系のところだったんですよね。今でいうオタサーの姫ってやつですよ(笑)」
◆大切にされ彼氏を作らなかった大学時代
映子さんは中学から高校まで私立の女子校に通っており、男性への免疫がまったくなかったといいます。服装も派手ではなく、髪の毛も染めていない黒髪ストレート。大学入学当時はもう絵に描いたような清楚系の少女だったそう。
そんな彼女を見て、男性陣が色めき立たないわけがありません。それはそれは大切にされ、人生で初めて受ける姫扱いに映子さんは戸惑いつつも悪い気はしていなかったとか。
「OBが来た飲み会なんかだと、周りを現役メンバーが囲んで守ってくれてましたね。ゼミの飲み会でも、同じサークルの男子がいたら他の人を寄せ付けないようにべったり私としゃべってたり。
でも、告白とかはされたことなかったんですよ。アプローチといえば、飲み会でテーブルの下でこっそり手を繋いできたりとか、そんな程度。2人で出かけようとかの誘いもなかったです」
どうやらサークル内には、彼女はみんなの共有財産で誰かひとりが手に入れてはいけないという暗黙の了解に近い協定のようなものが存在していたようなのです。彼女は大切に大切に姫扱いをされた結果、大学時代に彼氏を作ることはありませんでした。
そして、彼女の苦悩は大学卒業後から始まります。
◆彼氏ができないまま30歳に
「就職先が美容系だったのと、オタクの男性以外と接することに苦手意識があって、男性と個人的に親しくなるタイミングがなかったんです。彼氏ができないまま気が付いたら30歳を迎えていました。
もちろん、あの大学時代がすべての原因とは言いませんが、大事にされすぎたことで気が付けば“受け身”体質になっていたり、どこかで『私が好きになることで誰かを傷つけてしまうんじゃ…』なんて勝手な思い込みがブレーキになっていたのは確かです」
そして近年になってサークルのメンバーとの飲み会が開催され、映子さんは久しぶりに顔を出したそうです。しかし、そこで知ったのは自分をチヤホヤしてくれていたはずの男性たちが、みんな結婚してそれぞれ幸せな家庭を築いていたという現実です。
「それこそ奈落の底に落ちるというか……これまでの生き方を完全否定されたような感覚になりましたね。どん底に落ちた気分でした。
奥さんや子供の写真を嬉しそうに見せてくるメンバーに対しても『勝手に持ち上げて勝手に突き放して勝手に幸せになりやがって!』という気持ちが沸き上がってしまって……。もちろん、理性では誰も悪くないこともわかってました。でも、あの時にサークルの誰か一人でもあの均衡を破ってくれていたら……と、今も思ってしまう自分もいたんです」
◆「私はもう姫じゃない、今はただのモテないアラサーだ!」
大学時代から成長し、すっかり変貌を遂げていたサークルメンバー。なのに、映子さんはいまだにその頃にとらわれていることに、ようやく気づきました。
「私はもう姫じゃない、今はただのモテないアラサーだ!」
映子さんは飲み会を終えた後に人知れず開眼。合コンに積極的に参加したり、友達からの紹介も前向きに受け入れるなど、姫体質からの脱却を図りました。現在は婚活アプリにも登録し、自分なりに幸せをつかもうと努力しているそうです。
<文/もちづき千代子 イラスト/カツオ>
【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama
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誰しも人生には最盛期とドン底期があるものですが、とくにピーク時には本人は気づかないものです。
うらやましがられる最盛期と、ドン底を味わったという女性に話を聞いてみました。
◆オタク系のサークルで姫扱い
筆者が仕事を通じて出会った映子さん(仮名・33歳)は、年齢より若々しく見える上にとても美人。芸能人でいうとSKE48・乃木坂46の元メンバーの松井玲奈に似た感じの女性です。
若い頃はさぞかしモテていただろうと思いましたが、予想通り大学時代は男性にチヤホヤされまくる“姫”のような立ち位置だったそうです。
「ただ、入っていたサークルがいわゆるアニメとかゲームが好きな人ばかりが集まるオタク系のところだったんですよね。今でいうオタサーの姫ってやつですよ(笑)」
◆大切にされ彼氏を作らなかった大学時代
映子さんは中学から高校まで私立の女子校に通っており、男性への免疫がまったくなかったといいます。服装も派手ではなく、髪の毛も染めていない黒髪ストレート。大学入学当時はもう絵に描いたような清楚系の少女だったそう。
そんな彼女を見て、男性陣が色めき立たないわけがありません。それはそれは大切にされ、人生で初めて受ける姫扱いに映子さんは戸惑いつつも悪い気はしていなかったとか。
「OBが来た飲み会なんかだと、周りを現役メンバーが囲んで守ってくれてましたね。ゼミの飲み会でも、同じサークルの男子がいたら他の人を寄せ付けないようにべったり私としゃべってたり。
でも、告白とかはされたことなかったんですよ。アプローチといえば、飲み会でテーブルの下でこっそり手を繋いできたりとか、そんな程度。2人で出かけようとかの誘いもなかったです」
どうやらサークル内には、彼女はみんなの共有財産で誰かひとりが手に入れてはいけないという暗黙の了解に近い協定のようなものが存在していたようなのです。彼女は大切に大切に姫扱いをされた結果、大学時代に彼氏を作ることはありませんでした。
そして、彼女の苦悩は大学卒業後から始まります。
◆彼氏ができないまま30歳に
「就職先が美容系だったのと、オタクの男性以外と接することに苦手意識があって、男性と個人的に親しくなるタイミングがなかったんです。彼氏ができないまま気が付いたら30歳を迎えていました。
もちろん、あの大学時代がすべての原因とは言いませんが、大事にされすぎたことで気が付けば“受け身”体質になっていたり、どこかで『私が好きになることで誰かを傷つけてしまうんじゃ…』なんて勝手な思い込みがブレーキになっていたのは確かです」
そして近年になってサークルのメンバーとの飲み会が開催され、映子さんは久しぶりに顔を出したそうです。しかし、そこで知ったのは自分をチヤホヤしてくれていたはずの男性たちが、みんな結婚してそれぞれ幸せな家庭を築いていたという現実です。
「それこそ奈落の底に落ちるというか……これまでの生き方を完全否定されたような感覚になりましたね。どん底に落ちた気分でした。
奥さんや子供の写真を嬉しそうに見せてくるメンバーに対しても『勝手に持ち上げて勝手に突き放して勝手に幸せになりやがって!』という気持ちが沸き上がってしまって……。もちろん、理性では誰も悪くないこともわかってました。でも、あの時にサークルの誰か一人でもあの均衡を破ってくれていたら……と、今も思ってしまう自分もいたんです」
◆「私はもう姫じゃない、今はただのモテないアラサーだ!」
大学時代から成長し、すっかり変貌を遂げていたサークルメンバー。なのに、映子さんはいまだにその頃にとらわれていることに、ようやく気づきました。
「私はもう姫じゃない、今はただのモテないアラサーだ!」
映子さんは飲み会を終えた後に人知れず開眼。合コンに積極的に参加したり、友達からの紹介も前向きに受け入れるなど、姫体質からの脱却を図りました。現在は婚活アプリにも登録し、自分なりに幸せをつかもうと努力しているそうです。
<文/もちづき千代子 イラスト/カツオ>
【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama