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職場いじめで引きこもりになった37歳女性。廃人寸前で救いの手が…/びっくり体験人気記事BEST

女子SPA! 2024年12月13日 15時45分

 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「びっくり体験」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2018年12月8日 記事は取材時の状況)

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「短大を卒業してからずっと派遣で事務の仕事をしていて、気づけば独身のまま37歳。まだ結婚はあきらめていないけど先行きが心配なので、仕事だけでも安定させようと正社員として雇ってくれるところに転職したんです。まさか、そのせいでド貧乏のどん底生活を送るハメになるとは……」と話す安西恵美子さん(仮名・38歳・派遣)。

 安西さんが転職したのは中規模のクリニック。看護師や医療事務の資格は持っていませんでしたが、人手不足のため資格なしでも受付事務として正社員採用してくれたのです。

◆新しい職場で始まった“お局”の嫌がらせ

「人生初の正社員採用が本当にうれしくて。仕事の幅を広げるため、働きながら勉強してひとまず医療事務の資格取得を目指しました」

 そんなやる気に満ち溢れた安西さんでしたが、すぐに暗雲が。勤務歴15年になるアラフィフ先輩事務員Kさんからの嫌がらせが始まったのです。

「Kさんは医師やベテラン看護師には媚びを売りまくりで、新人看護師にはあたりが厳しい、まさに“お局”って感じの人。最初から嫌な予感はしたのですが、私への嫌がらせは相当で……。聞こえないふりをして質問をスルーしたり、医療事務の資格がないことを蔑(さげす)んだりするのは日常茶飯事。

 さらには、頼んでないことを『安西さんに頼んだ』と言い張って私のミスをねつ造したり、書類の保管場所の変更を私にだけ教えくれず手間取って医師に叱られたり。事務員たちの昼食を買い出しに行ってくれたと思ったら私の注文分だけ買い忘れてきて、『今日は上がり時間早いからもつでしょ?』と昼食抜きにさせられたこともありました」

◆イジメを受け続けた結果、体調を崩して引きこもりに

 そのうち、ほかの事務員と談笑するKさんの笑い声を聞くだけで胃が痛むようになり、食欲不振に。

「それでも負けるもんかと仕事を続けていたのですが、今度は抜け毛が増え、部分的に地肌が透けて見えるほどになってしまって。髪を結んでごまかしていましたが、どんどん薄くなる髪に恐怖を感じ始めていたタイミングで、ひどいめまいと吐き気で通勤電車に乗れなくなり……。これはもう限界だと、転職5か月目で泣く泣く退職しました」

 医師の診断は、ストレスと栄養不足による胃炎と脱毛症。「心療内科を紹介しようか」とも提案されたとか。

「いま思えば軽いうつ状態だったと思うので、提案通り心療内科に行くべきだったのでしょうが、見た目的にも気持ち的にも外に出る気になれなくて。当然、再就職活動する気にもなれなくて、なけなしの貯金を切り崩しての引きこもり生活が始まりました」

 引きこもりなので服飾費や交際費はかかりませんが、問題は食費。料理に手をかける気力も失っていた安西さんが食費節約のために取った方法は、“安売り商品の大量買い”でした。

「重宝したのは業務スーパーの1kg600円ぐらいの冷凍から揚げと、近所のスーパーでたまに59円で特売されるハンバーガー。どちらも冷凍庫にブチ込んでおいて食べたいときにレンジでチンするだけだからラクだし、油っぽいからアラフォーには腹持ちも抜群なんですよ。最初はご飯にふりかけ、もやし炒めなどを食べていましたが、すぐにお腹がすくし面倒で……。野菜不足が気になるときはもやしをチンしてポン酢をかけ、その上にから揚げを乗せるというめちゃくちゃなメニューを食べてましたね」

 そんな食生活で体調や薄毛が回復するわけもなく、気持ちもどんどん後ろ向きに。

「お金もないし美容にかける気力もないので、ヘアケア用品もスキンケア用品ももっぱら100均。全身キシキシしてる感じで潤いがなく、でもどうでもよくて、『このまま廃人になるかも』とまで考え始めてました」

 そんなある日のこと、マンションに突然母親がやってきたとか。

「私は自分のこのヤバい状況を地元の親友にしか話していなかったのですが、その親友が『マジでヤバい』と心配して私の母に相談してくれたそうで……。実家は都心から1時間ほどですが、近所に兄夫婦が住んでいるので両親は孫の世話で忙しいし、出戻りは気まずいし、帰ることはあきらめていたんです。でも、『いったん帰っておいで』と言われ、疲れきっていたしありがたく帰ることにしました」

 貯金残高を気にしなくていい安堵感と母親の手料理により、心身ともに徐々に回復していったという安西さん。

「兄夫婦にとってはやっかいな存在だったかもしれませんが、本当に助かりましたね。いまは派遣として社会復帰し、実家近くで一人暮らしも始めました。毛もすっかり生えそろったし、あとは婚活がんばるのみです(笑)」

「もし実家という“命綱”がなかったら……」と考えると恐ろしい安西さんのケース。何が起こるかわからないこの世の中、親は大切にしたいものです。

<文/鈴木うみこ イラスト/真船佳奈>

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