ロマンス詐欺や結婚詐欺など、恋心をもてあそぶ悲しい事件も少なくない昨今。大切な人と何かあったとき、まずは疑ってしまうという人も多いかもしれません。ただ、今回紹介する内田里奈さん(仮名・20代)の経験に照らすと、「慎重に判断することは大事」だといえるでしょう。
◆クリスマス1ヶ月前から「忙しくて会えなくなった」彼氏
付き合って2回目のクリスマスを迎える予定だった里奈さんは、彼氏の翔大さん(仮名・20代)とラブラブな日々を送っていました。ところがクリスマスの1か月前あたりから急に「ちょっと忙しくなった」「クリスマスはゆっくり過ごせるから、待ってて」と言われるように。
「翔大の働いている会社は残業がほとんどない会社だと聞いていたので、忙しくなった理由については何度も問いただしました。でも、そのたびにはぐらかされて『クリスマスにはきちんと話すから』と言うのです。だんだんと不安が募っていきました」
なぜなら、連絡もスムーズに取れなくなっていったから。それまでは、お互いに会社員として働きながらも週に3~4回は会っていたのに、翔大さんから忙しい宣告を受けてからクリスマスまでの約1か月、里奈さんは一度もデートに誘われることはありませんでした。
「まわりの友人たちからは、『クリスマスプレゼントを買うために、こっそりバイトしてるんじゃない?』『ちょっと寂しい思いをさせておいてからのサプライズプロポーズとか?』などポジティブな意見が大半。正直、いろいろと期待してしまいました」
◆ロウソクに照らされたムーディーな彼の部屋で……
そして迎えたクリスマス。里奈さんはプレゼントとして、奮発して買ったブランド物の財布を準備して翔大さんの部屋へ向かったのです。玄関のインターホンを押すと、いつもは玄関まで出てきてくれる翔大さんから「どうぞ。開いてるよ」と、声だけのお出迎え。
「玄関を開けると部屋は暗く、たくさんのロウソクが灯されていました。いつもとは違う幻想的な雰囲気。そして浮かび上がる翔大の姿に、ますます期待が高まりました。ところが次の瞬間翔大が取り出したのは、1本のエレキギターだったのです」
それはピカピカで、新品のようでした。そのギターを手に持ち、「実はちょっと前に友だちから誘われて、音楽はじめたんだ。初めて作った曲を、どうしてもクリスマスにプレゼントしたくて」と翔大さん。
そしてアンプにつなぐと、自分で作ったというオリジナルソングの演奏をはじめました。
◆プレゼントは自作ラブソングのみ……浮気を疑いはじめる
「お世辞にも上手とは言えないヘンテコなラブソング。しかも、『ギターを買ったから、今年はケーキもレストランの予約もプレゼントも用意できなくて』と言うのです」
そのため、近所のコンビニで買ったという惣菜とスイーツを2人で食べてクリスマスは終了。「昨年は数万円もするかわいいアクセサリーをくれたのに……」とショックを受けた里奈さんは落ち込み、女友だちに相談することにしました。
「すると今度は友人たちから、『クリスマスに0円プレゼントはあり得ない』『プレゼントもディナーもナシは浮気相手がいるってこと。ギターじゃなくて、浮気相手に貢いでお金がなくなったはず』『絶対に別れたほうがいい』と、別れを勧めるアドバイスの嵐だったのです」
◆彼の言うことを信用できず、一方的に別れを告げた
あらためて翔大さんを問い詰めても、「音楽を勉強して、自分が作った初めての曲を里奈にプレゼントしたくて、デートの時間を削ってコッソリと練習に当てていた」と言うばかり。
「そして、時間がないなか初めて作った曲ということもあり、出来がよくなかったことについても謝罪がありました。いったんは許しましたが、そのときにはすでに、まわりの友人たちの反応や意見などから翔大のことが信じられなくなっていたんです」
その後、里奈さんは翔大さんとギクシャク。一方的に別れを告げ、連絡が来ないようブロックしてしまったといいます。
◆数年後に聞いた“真相”とは? 今も後悔しているワケ
それから数年が経ち、翔大さんがインディーズバンドとして活躍していることを知った里奈さんは、翔大さんの友人とバッタリ再会。
「あらためて、翔大がどれほど私のことを好きだったのか、あのクリスマスのあと翔大がどれだけ落ち込んでいたのかを聞かされました。そしてやっと、翔大の話が本当だったということに気づいたのです。でもそのときには、あとの祭りでした」
いまは、新しい彼女とラブラブとのこと。その後は、毎年クリスマスが来るたびに苦い気持ちになっているという里奈さん。つい疑いたくなることも多い世の中ですが、まわりの反応や意見ばかりに流されず、パートナーのことを信じる心も大切にしたいものですね。
<文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。
◆クリスマス1ヶ月前から「忙しくて会えなくなった」彼氏
付き合って2回目のクリスマスを迎える予定だった里奈さんは、彼氏の翔大さん(仮名・20代)とラブラブな日々を送っていました。ところがクリスマスの1か月前あたりから急に「ちょっと忙しくなった」「クリスマスはゆっくり過ごせるから、待ってて」と言われるように。
「翔大の働いている会社は残業がほとんどない会社だと聞いていたので、忙しくなった理由については何度も問いただしました。でも、そのたびにはぐらかされて『クリスマスにはきちんと話すから』と言うのです。だんだんと不安が募っていきました」
なぜなら、連絡もスムーズに取れなくなっていったから。それまでは、お互いに会社員として働きながらも週に3~4回は会っていたのに、翔大さんから忙しい宣告を受けてからクリスマスまでの約1か月、里奈さんは一度もデートに誘われることはありませんでした。
「まわりの友人たちからは、『クリスマスプレゼントを買うために、こっそりバイトしてるんじゃない?』『ちょっと寂しい思いをさせておいてからのサプライズプロポーズとか?』などポジティブな意見が大半。正直、いろいろと期待してしまいました」
◆ロウソクに照らされたムーディーな彼の部屋で……
そして迎えたクリスマス。里奈さんはプレゼントとして、奮発して買ったブランド物の財布を準備して翔大さんの部屋へ向かったのです。玄関のインターホンを押すと、いつもは玄関まで出てきてくれる翔大さんから「どうぞ。開いてるよ」と、声だけのお出迎え。
「玄関を開けると部屋は暗く、たくさんのロウソクが灯されていました。いつもとは違う幻想的な雰囲気。そして浮かび上がる翔大の姿に、ますます期待が高まりました。ところが次の瞬間翔大が取り出したのは、1本のエレキギターだったのです」
それはピカピカで、新品のようでした。そのギターを手に持ち、「実はちょっと前に友だちから誘われて、音楽はじめたんだ。初めて作った曲を、どうしてもクリスマスにプレゼントしたくて」と翔大さん。
そしてアンプにつなぐと、自分で作ったというオリジナルソングの演奏をはじめました。
◆プレゼントは自作ラブソングのみ……浮気を疑いはじめる
「お世辞にも上手とは言えないヘンテコなラブソング。しかも、『ギターを買ったから、今年はケーキもレストランの予約もプレゼントも用意できなくて』と言うのです」
そのため、近所のコンビニで買ったという惣菜とスイーツを2人で食べてクリスマスは終了。「昨年は数万円もするかわいいアクセサリーをくれたのに……」とショックを受けた里奈さんは落ち込み、女友だちに相談することにしました。
「すると今度は友人たちから、『クリスマスに0円プレゼントはあり得ない』『プレゼントもディナーもナシは浮気相手がいるってこと。ギターじゃなくて、浮気相手に貢いでお金がなくなったはず』『絶対に別れたほうがいい』と、別れを勧めるアドバイスの嵐だったのです」
◆彼の言うことを信用できず、一方的に別れを告げた
あらためて翔大さんを問い詰めても、「音楽を勉強して、自分が作った初めての曲を里奈にプレゼントしたくて、デートの時間を削ってコッソリと練習に当てていた」と言うばかり。
「そして、時間がないなか初めて作った曲ということもあり、出来がよくなかったことについても謝罪がありました。いったんは許しましたが、そのときにはすでに、まわりの友人たちの反応や意見などから翔大のことが信じられなくなっていたんです」
その後、里奈さんは翔大さんとギクシャク。一方的に別れを告げ、連絡が来ないようブロックしてしまったといいます。
◆数年後に聞いた“真相”とは? 今も後悔しているワケ
それから数年が経ち、翔大さんがインディーズバンドとして活躍していることを知った里奈さんは、翔大さんの友人とバッタリ再会。
「あらためて、翔大がどれほど私のことを好きだったのか、あのクリスマスのあと翔大がどれだけ落ち込んでいたのかを聞かされました。そしてやっと、翔大の話が本当だったということに気づいたのです。でもそのときには、あとの祭りでした」
いまは、新しい彼女とラブラブとのこと。その後は、毎年クリスマスが来るたびに苦い気持ちになっているという里奈さん。つい疑いたくなることも多い世の中ですが、まわりの反応や意見ばかりに流されず、パートナーのことを信じる心も大切にしたいものですね。
<文/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。