2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』で吉高由里子さん演じる主人公まひろの友人・さわ役を演じて注目を集めた俳優の野村麻純さん(34歳)。
野村さんは、2011年にデビューし2作目であるテレビ朝日系のドラマ『11人もいる!』のソアラ役で注目を浴び、2021年には映画『空白』で評価を受けるなどして現在も活躍中ですが、俳優としての道は、決して平坦な道のりではなかったと言います。
2024年を振り返るとともに、これまでの軌跡を聞きました。
◆あの時の強い気持ち、今の自分にあるかなって
――今年はNHK大河ドラマ『光る君へ』、最近ではNHK夜ドラ『未来の私にブッかまされる!?』出演と活躍の一年かと思いますが、これまでの道のりを振り返ってみていかがでしょうか?
野村麻純(以下、野村):個人的には「ここまで長かった」という感じです。順風満帆であれば、時間の流れがあっという間に感じると思うんです。でも、自分の中では立ち止まっていた、ウジウジしていたなあ、上手くいかないなと思う時期のほうが多かった。だから振り返るとなると、「ああ、長かったなあ」と思っちゃいますね。
――どのような気持ちで続けてこれたのでしょうか?
野村:今の事務所のオーディションを受けたときの自分を裏切りたくないという気持ちが大きかったように思います。負けず嫌いなんですかね。あのとき、一般企業の内定を蹴り、今の事務所のオーディションを半年間受けていたので、あのときの強い気持ち、今の自分にあるかなって。上手くいかなくてウジウジしていた時期は「がむしゃらだったあの頃のわたしが今のわたしを見たら、悲しいだろうな」なんて思いながら、自分を奮い立たせていました。
――初心にかえるということですね。
野村:20代後半の頃、もう一度初心にかえろうと思いました。30歳までは自分の“底上げ”期間だと思って、嫌なことも全部やろうと、自分から嫌なことに突っ込み、お芝居をもう一度勉強する。いろいろな監督に会い、お芝居を教えてもらい、全部のオーディションを受けに行く。ワークショップにもたくさん通い、毎回泣いてました(笑)。
◆もっと内に秘めているものを出すようなお芝居を
――底上げというのは、基礎固めのことですか?
野村:そうですね。いろいろな役を演じてはきたのですが、もっと内に秘めているものを出すようなお芝居をしたい気持ちが強くなって。でも、急にできるものでもないですし、自分がやりたい役と求められているものも違う。説得力を持ってお芝居を出来るようになりたいので、そのための基礎固め、です。自分で嫌なことでも試しにいく、底上げと決めていたので、ちゃんと底(土台)になっていると自分では思っています。
――今年、明らかに環境が変わったのではないでしょうか?
野村:変わったと思いますし、そう思いたいです。そうなるためにワークショップに行って、自分のお芝居の幅を広げたかった。こういうお芝居もできる、こういうお芝居も求めてもらえると、少しずつですが、変わってきたなと思っています。
――今、お芝居は楽しめていますか?
野村:そうですね。お芝居はみんなで作っていくものだなと改めて思いました。夜ドラ『未来の私にブッかまされる!?』もみんなで掛け合いのセリフがとても多いので、ひとりの間によって話の流れが変わったりするんです。みんなでけんかしているシーンなども、実際にしゃべってみないとわからないことがある。正解がないので、それは楽しいところでもあり、難しいところでもありますね。
◆伯父・沢村一樹との関係性
――また今年は、俳優の沢村一樹さんが伯父であることも話題になりました。普段お芝居のアドバイスなどあるのでしょうか?
野村:アドバイスはまったくないんです(笑)。ただ、頻繁に会い、連絡も取るほど仲がいいけれど、お芝居のアドバイスなどはまったくなく。ただ、今まではわたしの頑張りを見守ってくれるスタンスだったと思いますが、そろそろ公表してもいいのではと伯父がインスタに写真をアップしてくれたんだと思います。そのあとお仕事の話をするようにもなりましたが、芸能界のイロハ? みたいなことはまったく話さないです(笑)。
――また、現事務所には活躍中の俳優さんがたくさんいらっしゃいますが、交流はありますか?
野村:あります。最近は会えてないのですが、先日松本穂香ちゃんの舞台「ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-」を観に行きました。素晴らしかったです。松本ちゃんも素晴らしかったですし、作品そのものもよかったです。わたしは舞台の経験が一度しかないので、すごいなと感動しました。
あとは戸田恵梨香さんもすごく面倒見がよい方で、「困ったことがあればいつでも連絡してね!」と言ってくださるので、心強いです。吉瀬さんもとても話しやすく、いつもとてもフランクに接してくださいます。
――吉瀬さんは今年インタビューさせていただきましたが、本当に気さくな方で。どういう話をするのですか?
野村:美容の話を聞いたりします。事務所の中で吉瀬さんとふたりきりで美容の話をしました。あんなにお綺麗なら、すべて教えてほしいですよね(笑)。
◆韓国へお芝居の留学をしたい
――美容のほかに日々大切にしていることはありますか?
野村:健康第一です。自炊もします。30代になり、食育インストラクターの資格を取ったんです。20代は無理なダイエットをしてリバウントを繰り返していたので、30代は増減なく暮らしたいと思って、食べものに気をつけようと思いました。
――仕事の面では、どんな30代を送りたいですか?
野村:現事務所のオーディションのときもそうでしたが、何かに迷ったとき、人生は1回きりなのでやりたことは全部やると決めているんです。経験したことがないことは、つらいことでも経験しておきたいと思うタイプですね。マネージャーさんと新しいお仕事の話をしていて、とても不安が多いお仕事の話だとしても、やったことがないからやってみたいというスタンスなので、今後もやっていないことはトライしたいと思います。
――いま、ひとつ挙げるとすれば、何を新しく始めたいですか?
野村:韓国の映画やドラマ好きなので、韓国に留学したいです。韓国の俳優さんはトレーナーを付けていると聞いていて、みなさんどんなふうにお芝居と向き合っているのか知りたいですね。海外には演劇法もあるので、韓国のお芝居の留学ができるのであれば、そこでお芝居を学びたいとずっと思っています。感情が持っていかれるようなお芝居のやり方を勉強したい気持ちはずっとあります。
――そして2025年、どこを目指して頑張りますか?
野村:NHK大河ドラマ『光る君へ』でわたしのことを知っていただいた方も多いと思うのですが、「この人が出ているからこの番組を観たい」と思ってもらえるような俳優になりたいです。このお仕事をしている以上、お芝居をすることに責任を持ってやってはいるので、「野村麻純が出ているからこのドラマを観たい」と思ってくださる方が少しずつ増えたらうれしいです。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
野村さんは、2011年にデビューし2作目であるテレビ朝日系のドラマ『11人もいる!』のソアラ役で注目を浴び、2021年には映画『空白』で評価を受けるなどして現在も活躍中ですが、俳優としての道は、決して平坦な道のりではなかったと言います。
2024年を振り返るとともに、これまでの軌跡を聞きました。
◆あの時の強い気持ち、今の自分にあるかなって
――今年はNHK大河ドラマ『光る君へ』、最近ではNHK夜ドラ『未来の私にブッかまされる!?』出演と活躍の一年かと思いますが、これまでの道のりを振り返ってみていかがでしょうか?
野村麻純(以下、野村):個人的には「ここまで長かった」という感じです。順風満帆であれば、時間の流れがあっという間に感じると思うんです。でも、自分の中では立ち止まっていた、ウジウジしていたなあ、上手くいかないなと思う時期のほうが多かった。だから振り返るとなると、「ああ、長かったなあ」と思っちゃいますね。
――どのような気持ちで続けてこれたのでしょうか?
野村:今の事務所のオーディションを受けたときの自分を裏切りたくないという気持ちが大きかったように思います。負けず嫌いなんですかね。あのとき、一般企業の内定を蹴り、今の事務所のオーディションを半年間受けていたので、あのときの強い気持ち、今の自分にあるかなって。上手くいかなくてウジウジしていた時期は「がむしゃらだったあの頃のわたしが今のわたしを見たら、悲しいだろうな」なんて思いながら、自分を奮い立たせていました。
――初心にかえるということですね。
野村:20代後半の頃、もう一度初心にかえろうと思いました。30歳までは自分の“底上げ”期間だと思って、嫌なことも全部やろうと、自分から嫌なことに突っ込み、お芝居をもう一度勉強する。いろいろな監督に会い、お芝居を教えてもらい、全部のオーディションを受けに行く。ワークショップにもたくさん通い、毎回泣いてました(笑)。
◆もっと内に秘めているものを出すようなお芝居を
――底上げというのは、基礎固めのことですか?
野村:そうですね。いろいろな役を演じてはきたのですが、もっと内に秘めているものを出すようなお芝居をしたい気持ちが強くなって。でも、急にできるものでもないですし、自分がやりたい役と求められているものも違う。説得力を持ってお芝居を出来るようになりたいので、そのための基礎固め、です。自分で嫌なことでも試しにいく、底上げと決めていたので、ちゃんと底(土台)になっていると自分では思っています。
――今年、明らかに環境が変わったのではないでしょうか?
野村:変わったと思いますし、そう思いたいです。そうなるためにワークショップに行って、自分のお芝居の幅を広げたかった。こういうお芝居もできる、こういうお芝居も求めてもらえると、少しずつですが、変わってきたなと思っています。
――今、お芝居は楽しめていますか?
野村:そうですね。お芝居はみんなで作っていくものだなと改めて思いました。夜ドラ『未来の私にブッかまされる!?』もみんなで掛け合いのセリフがとても多いので、ひとりの間によって話の流れが変わったりするんです。みんなでけんかしているシーンなども、実際にしゃべってみないとわからないことがある。正解がないので、それは楽しいところでもあり、難しいところでもありますね。
◆伯父・沢村一樹との関係性
――また今年は、俳優の沢村一樹さんが伯父であることも話題になりました。普段お芝居のアドバイスなどあるのでしょうか?
野村:アドバイスはまったくないんです(笑)。ただ、頻繁に会い、連絡も取るほど仲がいいけれど、お芝居のアドバイスなどはまったくなく。ただ、今まではわたしの頑張りを見守ってくれるスタンスだったと思いますが、そろそろ公表してもいいのではと伯父がインスタに写真をアップしてくれたんだと思います。そのあとお仕事の話をするようにもなりましたが、芸能界のイロハ? みたいなことはまったく話さないです(笑)。
――また、現事務所には活躍中の俳優さんがたくさんいらっしゃいますが、交流はありますか?
野村:あります。最近は会えてないのですが、先日松本穂香ちゃんの舞台「ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-」を観に行きました。素晴らしかったです。松本ちゃんも素晴らしかったですし、作品そのものもよかったです。わたしは舞台の経験が一度しかないので、すごいなと感動しました。
あとは戸田恵梨香さんもすごく面倒見がよい方で、「困ったことがあればいつでも連絡してね!」と言ってくださるので、心強いです。吉瀬さんもとても話しやすく、いつもとてもフランクに接してくださいます。
――吉瀬さんは今年インタビューさせていただきましたが、本当に気さくな方で。どういう話をするのですか?
野村:美容の話を聞いたりします。事務所の中で吉瀬さんとふたりきりで美容の話をしました。あんなにお綺麗なら、すべて教えてほしいですよね(笑)。
◆韓国へお芝居の留学をしたい
――美容のほかに日々大切にしていることはありますか?
野村:健康第一です。自炊もします。30代になり、食育インストラクターの資格を取ったんです。20代は無理なダイエットをしてリバウントを繰り返していたので、30代は増減なく暮らしたいと思って、食べものに気をつけようと思いました。
――仕事の面では、どんな30代を送りたいですか?
野村:現事務所のオーディションのときもそうでしたが、何かに迷ったとき、人生は1回きりなのでやりたことは全部やると決めているんです。経験したことがないことは、つらいことでも経験しておきたいと思うタイプですね。マネージャーさんと新しいお仕事の話をしていて、とても不安が多いお仕事の話だとしても、やったことがないからやってみたいというスタンスなので、今後もやっていないことはトライしたいと思います。
――いま、ひとつ挙げるとすれば、何を新しく始めたいですか?
野村:韓国の映画やドラマ好きなので、韓国に留学したいです。韓国の俳優さんはトレーナーを付けていると聞いていて、みなさんどんなふうにお芝居と向き合っているのか知りたいですね。海外には演劇法もあるので、韓国のお芝居の留学ができるのであれば、そこでお芝居を学びたいとずっと思っています。感情が持っていかれるようなお芝居のやり方を勉強したい気持ちはずっとあります。
――そして2025年、どこを目指して頑張りますか?
野村:NHK大河ドラマ『光る君へ』でわたしのことを知っていただいた方も多いと思うのですが、「この人が出ているからこの番組を観たい」と思ってもらえるような俳優になりたいです。このお仕事をしている以上、お芝居をすることに責任を持ってやってはいるので、「野村麻純が出ているからこのドラマを観たい」と思ってくださる方が少しずつ増えたらうれしいです。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。