2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。
TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
第14回となる本記事では、アンヌ遙香さんの「今年の漢字」について綴ります(以下、アンヌさんの寄稿)。
◆新聞やテレビ・ラジオが「オールドメディア」と呼ばれるように
毎年恒例の今年の漢字。オリンピックの金メダルから政治の裏金問題まで、さまざまな意味合いが込められての「金」でしたが、私が個人的に選んだのは「聞」と言う字。
新聞、テレビラジオを見聞きする、先人の話をしっかり聞く、という意味で勝手にセレクトさせて頂きました。
今年は兵庫県知事選挙等で新聞やテレビ、ラジオといったマスコミが「オールドメディア」というような表現を一部でされ、YouTubeといったSNSが、多くの人々の言論や情報判断に対して非常に大きな影響を与えた件が印象的でした。
もちろんSNSの影響の大きさは昨今に始まった事ではありません。しかしここまで大きなウェーブを政治の世界に与えた事に対し、新聞やテレビ、ラジオ界隈は動揺を隠せなかったという現実が確かにありました。
今後の選挙活動のあり方等に関して、なお一層の分析や精査が必要だとは言われていますが、今回はその点には触れません。
◆新聞やテレビ・ラジオにむしろ感じる“可能性”
さて、一部には、新聞社やテレビ、ラジオ局が作る情報は既得権益の塊であり、これは信用ならん!という声をあげている方がいらっしゃいますが、最近の私としてはむしろ、新聞やテレビ、ラジオといった元来のメディアの可能性に関して、非常に明るいものを感じているのです。
私は北海道でテレビコメンテーターをしている関係上、紙媒体の新聞を買ってカバンに入れて持ち歩き、喫茶店で広げて読むという生活を送っています。
実はお恥ずかしいことに、紙媒体の新聞からはテレビ局を辞めてから離れていた時期があったのですが、今年になって頻繁に新聞を買うようになり、改めて感じることがあるのです。
政治経済、事件、文化、芸術、地元の農業、漁業のこと、自然との共生を考える連載まであったり……! これだけの情報量がおよそ30ページに渡ってぎゅーっと凝縮されているこの新聞という存在。毎日私はコンビニで180円で買っています。
正直、これだけの情報、価値のあるものが180円で買えるってかなり破格ではないかと個人的に感じるのです。しかも毎日発行!
さらに、テレビやラジオは、民放に関しては、完全に無料のメディアです。気が向いたときにテレビのスイッチ(表現が昭和ですみません)を入れれば、常にあれだけのものが無料で提供されるのです。ニュースに限らず天気予報だって、ドラマだって、映画だって見放題なんですよ!?
中には、テレビの報道は政府のプロパガンダに過ぎないだろう! なんていう見方をされる方もいらっしゃるようですが、自分が必要とする情報をうまく取捨選択していくのが社会人として今求められる力だと思います。
ご自身の判断力、大切にした上で情報に触れてください。
◆YouTubeを見ていると…
私は講師業もしていますが、最近は、子どもにYouTubeは見せるけれども、テレビは見せないなんてご家庭が一定数ある印象。正直これってどうなのかなぁなんて個人的に感じたりしています。
今地上波で夜7時前後で子どもに見せたくない番組って正直あんまりないと思うんです。一方で、これは私見ですが、私はYouTubeもSNSも大好きですが、時折子どもには見せられないようなおかしな広告がいきなり流れたりすることがありませんか?
スマホで情報を集めている際に犯罪系の漫画の広告等が出てくると、大人である私も眉をひそめたくなるような表現があったりしますが。
もちろんそれぞれのご家庭の方針がありますが、YouTubeは安全だけどテレビは有害だというのは、こういう点からも当てはまらないのでは? と感じたり。
もちろん、私はもともとテレビ局員でしたから、かなり贔屓目にみる部分もあることは確かですが、ただ、一つ言えるのは、私は子どもの頃から家族と一緒にテレビを観ていた時間があったからこそ、今の自分の職業選択にもつながっている現実が確かにあるということ。
◆「オールドメディア」を良い意味で捉える
TBS系『世界ふしぎ発見!』を流して家族でああだこうだ話す時間が大好きでした。吉村作治先生、よかったなあ。この番組の影響で、私は日本美術史という分野を大学大学院で勉強し、そして今でもそれがずっと私の核となっています。
自分が知る由もなかったさまざまな世界を教養として与えてくれたのがテレビだと今でも感じますし、その本質は現在も変わらないと私は考えています。
最近のテレビは食べ物ばかり? 衝撃映像の垂れ流しばかり? チャンネルを回していけば(またまた古い表現)雪の小樽をそぞろ歩きする旅番組に心癒されることだってあるはず。
オールドメディア? 私は良い意味で捉えております。
なぜなら私は歴史あるものに価値を見出す人間だから。いろんなご意見が出そうな今回のコラムですが、私は個人的にテレビやラジオが大好きで、そして新聞を毎日読みたい人間です。
さて、皆さんの「今年の漢字」は?
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中
TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
第14回となる本記事では、アンヌ遙香さんの「今年の漢字」について綴ります(以下、アンヌさんの寄稿)。
◆新聞やテレビ・ラジオが「オールドメディア」と呼ばれるように
毎年恒例の今年の漢字。オリンピックの金メダルから政治の裏金問題まで、さまざまな意味合いが込められての「金」でしたが、私が個人的に選んだのは「聞」と言う字。
新聞、テレビラジオを見聞きする、先人の話をしっかり聞く、という意味で勝手にセレクトさせて頂きました。
今年は兵庫県知事選挙等で新聞やテレビ、ラジオといったマスコミが「オールドメディア」というような表現を一部でされ、YouTubeといったSNSが、多くの人々の言論や情報判断に対して非常に大きな影響を与えた件が印象的でした。
もちろんSNSの影響の大きさは昨今に始まった事ではありません。しかしここまで大きなウェーブを政治の世界に与えた事に対し、新聞やテレビ、ラジオ界隈は動揺を隠せなかったという現実が確かにありました。
今後の選挙活動のあり方等に関して、なお一層の分析や精査が必要だとは言われていますが、今回はその点には触れません。
◆新聞やテレビ・ラジオにむしろ感じる“可能性”
さて、一部には、新聞社やテレビ、ラジオ局が作る情報は既得権益の塊であり、これは信用ならん!という声をあげている方がいらっしゃいますが、最近の私としてはむしろ、新聞やテレビ、ラジオといった元来のメディアの可能性に関して、非常に明るいものを感じているのです。
私は北海道でテレビコメンテーターをしている関係上、紙媒体の新聞を買ってカバンに入れて持ち歩き、喫茶店で広げて読むという生活を送っています。
実はお恥ずかしいことに、紙媒体の新聞からはテレビ局を辞めてから離れていた時期があったのですが、今年になって頻繁に新聞を買うようになり、改めて感じることがあるのです。
政治経済、事件、文化、芸術、地元の農業、漁業のこと、自然との共生を考える連載まであったり……! これだけの情報量がおよそ30ページに渡ってぎゅーっと凝縮されているこの新聞という存在。毎日私はコンビニで180円で買っています。
正直、これだけの情報、価値のあるものが180円で買えるってかなり破格ではないかと個人的に感じるのです。しかも毎日発行!
さらに、テレビやラジオは、民放に関しては、完全に無料のメディアです。気が向いたときにテレビのスイッチ(表現が昭和ですみません)を入れれば、常にあれだけのものが無料で提供されるのです。ニュースに限らず天気予報だって、ドラマだって、映画だって見放題なんですよ!?
中には、テレビの報道は政府のプロパガンダに過ぎないだろう! なんていう見方をされる方もいらっしゃるようですが、自分が必要とする情報をうまく取捨選択していくのが社会人として今求められる力だと思います。
ご自身の判断力、大切にした上で情報に触れてください。
◆YouTubeを見ていると…
私は講師業もしていますが、最近は、子どもにYouTubeは見せるけれども、テレビは見せないなんてご家庭が一定数ある印象。正直これってどうなのかなぁなんて個人的に感じたりしています。
今地上波で夜7時前後で子どもに見せたくない番組って正直あんまりないと思うんです。一方で、これは私見ですが、私はYouTubeもSNSも大好きですが、時折子どもには見せられないようなおかしな広告がいきなり流れたりすることがありませんか?
スマホで情報を集めている際に犯罪系の漫画の広告等が出てくると、大人である私も眉をひそめたくなるような表現があったりしますが。
もちろんそれぞれのご家庭の方針がありますが、YouTubeは安全だけどテレビは有害だというのは、こういう点からも当てはまらないのでは? と感じたり。
もちろん、私はもともとテレビ局員でしたから、かなり贔屓目にみる部分もあることは確かですが、ただ、一つ言えるのは、私は子どもの頃から家族と一緒にテレビを観ていた時間があったからこそ、今の自分の職業選択にもつながっている現実が確かにあるということ。
◆「オールドメディア」を良い意味で捉える
TBS系『世界ふしぎ発見!』を流して家族でああだこうだ話す時間が大好きでした。吉村作治先生、よかったなあ。この番組の影響で、私は日本美術史という分野を大学大学院で勉強し、そして今でもそれがずっと私の核となっています。
自分が知る由もなかったさまざまな世界を教養として与えてくれたのがテレビだと今でも感じますし、その本質は現在も変わらないと私は考えています。
最近のテレビは食べ物ばかり? 衝撃映像の垂れ流しばかり? チャンネルを回していけば(またまた古い表現)雪の小樽をそぞろ歩きする旅番組に心癒されることだってあるはず。
オールドメディア? 私は良い意味で捉えております。
なぜなら私は歴史あるものに価値を見出す人間だから。いろんなご意見が出そうな今回のコラムですが、私は個人的にテレビやラジオが大好きで、そして新聞を毎日読みたい人間です。
さて、皆さんの「今年の漢字」は?
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中