Infoseek 楽天

2024年「良かったドラマ」ベスト10。大号泣の恋愛ドラマに、“何もかも強烈すぎた”医療ドラマも外せない<前編>

女子SPA! 2024年12月30日 8時46分

2024年も多くのドラマが放送されました。年間100本近くのドラマをチェックするアラフォー女性の筆者。今回“地上波”で放送された作品のなかから勝手に選んだ“今年よかったドラマ10選”をご紹介します。まずは前編、10位~6位です。

◆10位:君が心をくれたから

今年を振り返って、一番泣いた作品は『君が心をくれたから』(フジテレビ系)だったと思います。ヒロイン・雨(永野芽郁)が、事故に遭ってしまった大好きな太陽(山田裕貴)のために“心=五感”を差し出すという過酷な設定が物議を醸しました。

週頭の月曜日から救いのない展開に、観るのが苦しくなって離脱した視聴者も多いでしょう。しかし筆者としては、誰もがもっている“奇跡”を丁寧に描いた作品として心に残っています。味覚を失い、嗅覚を失い、触角を失い、最後には視覚も聴覚も失う――それは、当たり前に他者と繋がり、自分がそこに存在する“心”そのものであることを私たちに教えてくれました。

「互いの存在を認め、必要とし、愛し愛されること」という“奇跡”を、永野芽郁と山田裕貴が繊細に表現しています。ふたりの演技に、美しい映像と音楽が重なって生まれたた珠玉のラブストーリーを、ぜひ全話通して観返したい作品です。

◆9位:おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!

「2024ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に、「ふてほど」=『不適切にもほどがある!』(TBS系)が選ばれました。ですが同じく“令和の価値観”に焦点を当てた作品として、さらに強く印象に残ったのが、『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』=通称『おっパン』(東海テレビ・フジテレビ系)です。

“昭和の価値観”に凝り固まったアラフィフ男・沖田誠(原田泰造)が、家族や会社で居場所を失うことに危機感を覚え価値観を“アップデート”していく物語です。主人公を一方的に悪者として描かなかったところも秀逸。20代の娘に10代の息子、そして同い年の妻も、主人公に影響されて“アップデート”していったことも印象的でした。

否定せずに“令和の価値観”も“昭和の価値観”どちらも認め合い、大切な人たちと刺激し合いながら、世代も性別も関係なく登場人物たちが成長していく姿に、勇気や希望がもてる作品でした。

◆8位:西園寺さんは家事をしない

令和の時代の多様な生き方を描いた作品として、夏に放送された『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)も楽しめました。徹底して家事をしない主人公・西園寺一妃(松本若菜)と、年下の訳ありシングルファーザー・楠見俊直(松村北斗/SixTONES)とその娘・ルカ(倉田瑛茉)が“偽家族”として、風変わりな同居生活をはじめる物語。

女優・松本若菜のチャーミングな魅力が炸裂した西園寺さんのキャラが最高でした。仕事ができて、明るくポジティブでコミュ力も高い。「やりたいことをやる、やりたくないことはやらない」主義を貫くも、ズボラ・ルーズなのではなく「やらないための戦略」もしっかり練るという、今っぽい設定のキャラクターでした。

周囲を大切にしながらも、自分の“心沸き立つ”生き方に一生懸命な西園寺さんに、励まされた視聴者は多かったのではないでしょうか。

◆7位:家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

昨年BSで放送されて、今年7月から地上波でも放送された、通称“かぞかぞ”こと『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合ほか)も大好き! 作家・岸田奈美氏が自身の家族について綴ったエッセイを原作としたドラマです。

主人公が、急逝した父(錦戸亮)、突然車いすユーザーとなった母(坂井真紀)に、ダウン症の弟(吉田葵)ら家族と、そして自分自身と向き合う日常を描いた作品。家族の死、障がい、そして不治の病を描いた物語ですが、決して悲劇的ではない。人間が抱える面倒くさい感情や、どうしようもない葛藤、そして何よりも愛おしさが、ユーモアを交えて表現されています。

また主人公・七実を演じたのは、前出のドラマ『不適切にもほどがある!』や映画『あんのこと』で注目を集めた河合優実。彼女の豊かな心情表現が光る、笑いあり、涙ありの名作です。

◆6位:新宿野戦病院

「ふてほど」に加え、ドラマ『季節のない街』(Disney+/テレビ東京系)、スペシャルドラマ『終りに見た街』(テレビ朝日系)と、今年は宮藤官九郎脚本が多くて嬉しい1年でした。なかでも好きだったのは、『新宿野戦病院』(フジテレビ系)。破天荒な元軍医・ヨウコ(小池栄子)と、気取った美容皮膚科医・亨(仲野太賀)を中心に、新宿歌舞伎町にある「聖まごころ病院」の救急外来で起こる悲喜こもごもが描かれました。

強烈な登場人物たちを魅力的に描きながら、いまの時代を絶妙に切り取るクドカン作品。本作では“多様性”という言葉ですべてを許容しているかにみえるイマに蔓延る“違和感=不平等感”を物語のなかで浮き彫りにしていました。

不平等な世の中だけど、小池栄子が「命は平等」と“雑~に”寄り添ってくれる面白さがクセに。そして最後の2話では、未知のウイルス・ルミナとの戦いを、真正面から描きました。現実世界の“コロナ禍”と重なる描写――その重みとリアリティは強烈で、忘れられない作品に。

<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

この記事の関連ニュース