2025年に入り、続々と冬クールドラマがスタートしています。年間100本以上の国内ドラマをチェックするアラフォー筆者。この冬、地上波のプライム帯(19~23時放送)で放送される作品の中から“おすすめ5選”をご紹介します。
◆ホットスポット
まず見逃せないのが、バカリズム氏脚本の『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜よる10時30分~)。2023年に人気を博したドラマ『ブラッシュアップライフ』の制作チームによるオリジナル作品です。
主人公は富士山麓のとある町のビジネスホテルに勤める41歳のシングルマザー・遠藤清美。民放の連続ドラマ初主演となる市川実日子が演じます。
情報が解禁され“ひょんなことから宇宙人と遭遇する物語”の一文には一抹の不安を覚えましたが、『ブラッシュアップライフ』においても“タイムリープ”という設定で見事にバカリズム氏らしい会話の応酬で面白おかしく描いていたのだから、きっと今回もやってくれるはず!『ブラッシュアップ~』同様、主人公の幼馴染がふたり登場することにも妙に安心。ふたりを演じるのが鈴木杏、平岩紙というのも楽しみです。
『ブラッシュアップ~』にも出演していた夏帆、木南晴夏、田中直樹、野呂佳代が続投し、さらに角田晃広、坂井真紀、菊地凛子、池松壮亮、小日向文世などの実力派たちも登場するというから、ますます期待が膨らみます。ゆる~くもワクワクしてしまうバカリズムワールドは今回も必見!
◆御上先生
松坂桃李が主演を務める日曜劇場『御上先生』(TBS系、日曜よる9時~)も完全オリジナルストーリー。東大卒のエリート文科省官僚の御上孝(みかみ/松坂)が、出向を命じられ私立高校の教師になるという物語です。松坂が、制度を作る側である“官僚”と、制度に苦しめられる側である“教師”の両方を兼ねる“官僚教師”という役柄をどのように演じるのか。そして、令和の高校生をどのような方法で導くのかが見どころになりそうです。
また、学園ドラマはやはり若手俳優たちが切磋琢磨する様子もドラマの重要なカギを握ります。まず2025年後期の朝ドラ『ばけばけ』のヒロインにも抜擢された髙石あかりには期待しかありません。ドラマ『わたしの一番最悪なともだち』や映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズでも圧倒的な存在感で、観る者を魅了。真面目で控えめな性格という生徒役をどう演じるのか?!
他にも、奥平大兼に、蒔田彩珠、窪塚愛流、上坂樹里などすでに頭角をあらわしている若手が多く出演します。学園ドラマが得意なイメージが強いTBSテレビ。しかも日曜劇場枠からまた新たなスター俳優が生まれる予感しかありません。
◆東京サラダボウル
『東京サラダボウル』(NHK総合ほか、火曜よる10時~)は、異色のコンビにハマりそうな予感。『クロサギ』などで知られる黒丸氏による原作漫画の実写化です。
昨今“外国人犯罪・外国人事件”という言葉をよく目にします。しかし犯罪が起きる事実はあっても、一部に偏見や差別を生んでいることも事実。本作は“事件”と一括りにせず、様々な事情で日本に暮らす外国人居住者の暮らしや人生に光を当て、そこに向き合う刑事と警察通訳人の目線で、異国で生きる葛藤に出会っていく物語です。
主人公の鴻田(こうだ)は、東新宿署・国際捜査係の警察官。鮮やかな緑色の“レタス頭”で、日本人にも外国人にも隔たりなくぐいぐいコミュニケーションをとっていく彼女を、奈緒が演じます。鴻田とコンビになる警視庁・通訳センターの中国語通訳をする有木野(ありきの)を演じるのは松田龍平。破天荒さだけではない心情表現が得意な奈緒と、悲しい出来事で警察官を辞めて心を閉ざすという設定がハマりすぎる松田の掛け合いには期待大!
現代社会が抱える問題に、ドラマというエンタメ性をもたせながら描くのが得意なNHKが、日本に生きる外国人にどう光を当てるのかも見どころになりそうです。
◆日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった
香取慎吾が約11年ぶりにフジテレビ系の連続ドラマで主演を務めることが話題となっている『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系、木曜よる10時~)も注目。
人生崖っぷちに追い込まれた、家族嫌いで子ども嫌いの最低男・大森一平(香取慎吾)が、選挙に当選するためにシングルファーザーの義弟・小原正助(志尊淳)とその子どもたちとともに暮らすことになるという展開。香取、志尊に加え、冨永愛、橋本じゅん、安田顕、そして第1話ゲストに草彅剛と超豪華な出演陣が名を連ねています。
筆者が本作を推すもう一つの理由が、この完全オリジナル作品を生み出す脚本家陣です。まずは、個人的に2022年のベスト映画だった『ハケンアニメ!』や、ドラマ『晩酌の流儀』シリーズを手がける政池洋佑氏。そして昨年話題になったドラマ『あの子の子ども』『舟を編む~私、辞書つくります~』の蛭田直美氏に、セックスレス夫婦を描いたドラマ『あなたがしてくれなくても』のおかざきさとこ氏と、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』や『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』の三浦駿斗氏。彼らがどんなホームドラマを描くのかにも注目です。
◆クジャクのダンス、誰が見た?
そして筆者がこの冬、最も楽しみにしている作品は『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系、金曜よる10時~)。原作は『イチケイのカラス』で知られる浅見理都氏による同名漫画です。クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘・山下心麦(広瀬すず)が、遺された手紙を手がかりに真相に迫るヒューマンクライムサスペンス。
実は筆者、原作の大ファンなのです。月刊漫画雑誌「Kiss」にて連載中で、宝島社「このマンガがすごい!2024」オンナ編第4位にランクインするなどの注目作。現在と過去の2つの事件が複雑に錯綜し、息もつかせぬ展開で続きが気になって気になってしかたない秀逸な作品です。未完の、しかも大好きな漫画の実写化には、色々と思うところはありますが――小麦とバディを組み、真相を追う弁護士・松風義輝を松山ケンイチが演じるというからには観ないわけにはいきません。しかも事件を追う記者・神井孝は磯村勇斗! 松山・磯村が出る作品は間違いないというのが筆者の持論です。
脚本を務めるのが、日曜劇場『半沢直樹』やNetflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』などを手掛ける金沢知樹氏というのも安心です。大好きな父が、なぜ殺されてしまったのか。苦悩しながら父を信じて突き進むヒロイン・心麦を広瀬すずが演じきってくれることを切に願いながら、1月24日の放送開始を心待ちにしたいと思います。
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気になる作品はありましたか? 深夜帯や配信限定のドラマなど、この冬も数多くのドラマが放送されます。皆さんがどっぷりハマれる良作にめぐり合えますように。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201
◆ホットスポット
まず見逃せないのが、バカリズム氏脚本の『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜よる10時30分~)。2023年に人気を博したドラマ『ブラッシュアップライフ』の制作チームによるオリジナル作品です。
主人公は富士山麓のとある町のビジネスホテルに勤める41歳のシングルマザー・遠藤清美。民放の連続ドラマ初主演となる市川実日子が演じます。
情報が解禁され“ひょんなことから宇宙人と遭遇する物語”の一文には一抹の不安を覚えましたが、『ブラッシュアップライフ』においても“タイムリープ”という設定で見事にバカリズム氏らしい会話の応酬で面白おかしく描いていたのだから、きっと今回もやってくれるはず!『ブラッシュアップ~』同様、主人公の幼馴染がふたり登場することにも妙に安心。ふたりを演じるのが鈴木杏、平岩紙というのも楽しみです。
『ブラッシュアップ~』にも出演していた夏帆、木南晴夏、田中直樹、野呂佳代が続投し、さらに角田晃広、坂井真紀、菊地凛子、池松壮亮、小日向文世などの実力派たちも登場するというから、ますます期待が膨らみます。ゆる~くもワクワクしてしまうバカリズムワールドは今回も必見!
◆御上先生
松坂桃李が主演を務める日曜劇場『御上先生』(TBS系、日曜よる9時~)も完全オリジナルストーリー。東大卒のエリート文科省官僚の御上孝(みかみ/松坂)が、出向を命じられ私立高校の教師になるという物語です。松坂が、制度を作る側である“官僚”と、制度に苦しめられる側である“教師”の両方を兼ねる“官僚教師”という役柄をどのように演じるのか。そして、令和の高校生をどのような方法で導くのかが見どころになりそうです。
また、学園ドラマはやはり若手俳優たちが切磋琢磨する様子もドラマの重要なカギを握ります。まず2025年後期の朝ドラ『ばけばけ』のヒロインにも抜擢された髙石あかりには期待しかありません。ドラマ『わたしの一番最悪なともだち』や映画『ベイビーわるきゅーれ』シリーズでも圧倒的な存在感で、観る者を魅了。真面目で控えめな性格という生徒役をどう演じるのか?!
他にも、奥平大兼に、蒔田彩珠、窪塚愛流、上坂樹里などすでに頭角をあらわしている若手が多く出演します。学園ドラマが得意なイメージが強いTBSテレビ。しかも日曜劇場枠からまた新たなスター俳優が生まれる予感しかありません。
◆東京サラダボウル
『東京サラダボウル』(NHK総合ほか、火曜よる10時~)は、異色のコンビにハマりそうな予感。『クロサギ』などで知られる黒丸氏による原作漫画の実写化です。
昨今“外国人犯罪・外国人事件”という言葉をよく目にします。しかし犯罪が起きる事実はあっても、一部に偏見や差別を生んでいることも事実。本作は“事件”と一括りにせず、様々な事情で日本に暮らす外国人居住者の暮らしや人生に光を当て、そこに向き合う刑事と警察通訳人の目線で、異国で生きる葛藤に出会っていく物語です。
主人公の鴻田(こうだ)は、東新宿署・国際捜査係の警察官。鮮やかな緑色の“レタス頭”で、日本人にも外国人にも隔たりなくぐいぐいコミュニケーションをとっていく彼女を、奈緒が演じます。鴻田とコンビになる警視庁・通訳センターの中国語通訳をする有木野(ありきの)を演じるのは松田龍平。破天荒さだけではない心情表現が得意な奈緒と、悲しい出来事で警察官を辞めて心を閉ざすという設定がハマりすぎる松田の掛け合いには期待大!
現代社会が抱える問題に、ドラマというエンタメ性をもたせながら描くのが得意なNHKが、日本に生きる外国人にどう光を当てるのかも見どころになりそうです。
◆日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった
香取慎吾が約11年ぶりにフジテレビ系の連続ドラマで主演を務めることが話題となっている『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系、木曜よる10時~)も注目。
人生崖っぷちに追い込まれた、家族嫌いで子ども嫌いの最低男・大森一平(香取慎吾)が、選挙に当選するためにシングルファーザーの義弟・小原正助(志尊淳)とその子どもたちとともに暮らすことになるという展開。香取、志尊に加え、冨永愛、橋本じゅん、安田顕、そして第1話ゲストに草彅剛と超豪華な出演陣が名を連ねています。
筆者が本作を推すもう一つの理由が、この完全オリジナル作品を生み出す脚本家陣です。まずは、個人的に2022年のベスト映画だった『ハケンアニメ!』や、ドラマ『晩酌の流儀』シリーズを手がける政池洋佑氏。そして昨年話題になったドラマ『あの子の子ども』『舟を編む~私、辞書つくります~』の蛭田直美氏に、セックスレス夫婦を描いたドラマ『あなたがしてくれなくても』のおかざきさとこ氏と、映画『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』や『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』の三浦駿斗氏。彼らがどんなホームドラマを描くのかにも注目です。
◆クジャクのダンス、誰が見た?
そして筆者がこの冬、最も楽しみにしている作品は『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS系、金曜よる10時~)。原作は『イチケイのカラス』で知られる浅見理都氏による同名漫画です。クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘・山下心麦(広瀬すず)が、遺された手紙を手がかりに真相に迫るヒューマンクライムサスペンス。
実は筆者、原作の大ファンなのです。月刊漫画雑誌「Kiss」にて連載中で、宝島社「このマンガがすごい!2024」オンナ編第4位にランクインするなどの注目作。現在と過去の2つの事件が複雑に錯綜し、息もつかせぬ展開で続きが気になって気になってしかたない秀逸な作品です。未完の、しかも大好きな漫画の実写化には、色々と思うところはありますが――小麦とバディを組み、真相を追う弁護士・松風義輝を松山ケンイチが演じるというからには観ないわけにはいきません。しかも事件を追う記者・神井孝は磯村勇斗! 松山・磯村が出る作品は間違いないというのが筆者の持論です。
脚本を務めるのが、日曜劇場『半沢直樹』やNetflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』などを手掛ける金沢知樹氏というのも安心です。大好きな父が、なぜ殺されてしまったのか。苦悩しながら父を信じて突き進むヒロイン・心麦を広瀬すずが演じきってくれることを切に願いながら、1月24日の放送開始を心待ちにしたいと思います。
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気になる作品はありましたか? 深夜帯や配信限定のドラマなど、この冬も数多くのドラマが放送されます。皆さんがどっぷりハマれる良作にめぐり合えますように。
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201