<山下智子さんのメイクレッスン>
雑誌や広告、テレビなどで引っ張りだこのヘアメイク山下智子さん。気さくな人柄と確かな技術で、田中みな実さんや宇垣美里さんなど美容賢者が信頼を寄せる、業界をけん引するヘアメイクアップアーティストのひとりです。
山下さんが個人向けに「m.mode(ムード)」というヘアメイクのレッスンを行っていると聞き、取材を決行! 山下さんとお仕事したこともある私、スタイリスト大日方理子が、今っぽいメイクを教えてもらいました。
元気で機嫌が良く見えるベースメイク編、眉毛編を経て、今回はいよいよアイメイクを教えてもらいます。
◆アイシャドウは「似合う色」より「好きな色」を
――まぶたのくすみが気になっています。似合うアイシャドウが知りたいです。
山下智子さん(以下、山下):まぶたのくすみは気にしなくていいと思っています。わざわざベージュを塗ってから明るい色のアイシャドウを塗ったりするぐらいだから、それはもう天然のアイシャドウなので。
――気にしなくていい!目からウロコです。
山下:ベースやファンデーションでも補正されるから大丈夫。
それと、どんな色のアイシャドウを選んだらいいかわからない人が多いんですよね。私は「どういう色が好きですか?テンションの上がるものを選んでください」って言うようにしているんです。
そもそも、メイクは楽しいもののはず。情報がありすぎてわからなくなっているんですよね。
――どんな色がどんなイメージになるのかわからなくて。
山下:似合う色を教えてもらえる診断を受けに行く人もいますよね。でもそれが自分の好みと合っていないと、結局モヤモヤして帰ってくることになります。だったら、最初から好きなものを選べばいいと思うんです。
レッスンでは本人にテンションの上がる色を選んでもらって、どう塗るとなりたいイメージに仕上がるか伝えています。塗り方によってヘルシーにも、大人っぽくもなるから。
◆「しっかりグラデ+ガツンと締め色」は昔っぽい
●使ったコスメ:RMK(アールエムケー)「シンクロマティックアイシャドウパレット」05ディライトフル
――テンション上がるのはこれかな(と、05デイライトフルを選ぶ)。
山下:では、それを使ってヘルシーに仕上げていきましょう。4色パレットは4色全部を使おうと思わないでください。2色だけの日や1色だけの日があってもいいわけだから。昔と違って、3色4色と使って薄い色から濃い色へグラデーションにする必要もないので。
――アイシャドウ=グラデーションかと思っていました。
山下:何色もグラデーションに重ね塗りして、目の際に濃いブラウンをガツンと塗っているメイクは古く見えるかも。10年ぐらい顔が変わっていない人って、ずっと同じアイシャドウを使っている人じゃないかな。
今はぼんやりとした中間色が集まった、締め色のないアイシャドウパレットが結構あるんですよ。締め色でも透けていたり、ニュアンスカラーだったりする。そこで、今っぽさが出るんですよね。アイシャドウはできれば3年くらいで変えて欲しいですね。あと、ぼんやり塗った方が今っぽいです。
――すごい昔のアイシャドウも家にあります。だって使い終わらないんだもの。
山下:アイシャドウのパレットって質感とか色味が毎年変わってくるんです。今のベージュパレットと、5年前、10年前のベージュパレットは違うんですよ。5年前のアイシャドウパレットを使っていたら5年前の顔になります。
――なるほど。透け感、ニュアンスカラー、ぼんやり塗るのが今っぽい。
山下:そうですね。アイシャドウ用のチップや硬い毛のブラシよりも、柔らかいブラシを使うとぼかしやすいです。
――どこのブラシを買ったらいいのかわからないです…。
山下:高いブラシじゃなくても、柔らかいブラシならいいと思います。お気に入りのメーカーがあればそこで揃えてもいいし、例えばROSY ROSA(ロージーローザ)のアイシャドウブラシセットはドラッグストアでも売ってるところがあります。
◆1)濃い色→薄い色の順で塗っていく
山下:赤とブラウンのカラーをブラシにとって手の甲でなじませてから、二重幅よりも少し細めに、アイラインっぽく目の際に塗っていきます。上まぶたの中心から塗り始めて目尻まで塗って、目頭から中心まで塗ります。
――まず「薄い色をまぶた全体に」塗るのかと思ってました。濃い色が先なんですね。
山下:そう。なんで濃い色を先にのせるかというと、上から淡い色を重ねた方が、濃い色が柔らかく発色してナチュラルに仕上がるし、失敗が少ないからです。
あと、目尻よりも下までアイシャドウを塗ってしまうと目元がたるんで見えちゃうから、下まで塗らないようにしてください。
これに、さっきとは別のブラシを使ってパールピンクのアイシャドウをアイホールにぼかしていきます。ブラシを寝かせてアイシャドウを付けたら、寝かせたままでまぶたにのせてワイパーみたいに左右に動かします。まぶたの皮膚は動きやすいので、もう片方の手で引っ張っておくとやりやすいです。
◆2)下まぶたにも、涙袋の幅まで塗る
山下:下まぶたにも同じピンクのアイシャドウを塗っていきます。アイシャドウで目を囲むのはここ何年かトレンドでもあるけど、下まぶたにもアイシャドウを塗ると、中顔面が短く見えるんです。大人は頬がたるんで中顔面が長く見えやすいのでおすすめです。
――下もしっかり塗るんですね。
山下:下は涙袋の幅まで塗っちゃっていいです。最初にまぶたに塗ったのと同じブラウンとボルドーを混ぜた色を、下の目尻より5㎜ぐらい内側に少し入れると立体感が出ます。
◆3)まつ毛のビューラーは使っても使わなくてもいい
山下:次はビューラーでまつ毛を上げます。大日方さんは普段使わないんでしたっけ?。
――ビューラーは使っていないです。
山下:目の形にもよるし、方向性にもよりますね。縦幅を出して目を大きく見せたいならビューラーでグッとまつげを上げます。大日方さんは目がはっきりしているし、ヘルシーに仕上げたいならそのままでも大丈夫。
◆4)大人のアイラインはさりげなく
●使ったコスメ:Love Liner(ラブ・ライナー)「リキッドアイライナー」モカグレージュ
山下:ではアイラインを描いていきましょう。上まぶたの目尻側3分の1くらいから描きはじめて、横に抜く!もしラインの終わりが太過ぎたら、親指の爪先でスッとなぞれば修正できます。
アイシャドウと同じで、アイラインも下げると目元がたるんで見えるから、下げない方がいいですね。目の際から5㎜くらい出す感じかな。
――さりげなくて、どこにラインが入っているかわからない……。
山下:実はこのLove Linerのアイライナーは、色が透けているんです。だから“アイラインを引きました”って感じにならない。透けているとナチュラルだし描くのも簡単だと思います。
――昔はキャットラインみたいに跳ね上げたアイラインも流行ったけど、今はナチュラルなんですか?
山下:好みによるかな。韓国メイクが好きな若い人は、跳ね上げたアイラインを描いたりしますね。大人が元気にヘルシーに見せたいなら、さりげないラインがいいと思います。
◆5)マスカラは根元にしっかり、毛先は軽く
●使ったコスメ:LUNASOL(ルナソル)「フェザリーディファイニングマスカラ」モカブラウン
――次はマスカラですね。最近の流行りは?
山下:今はボリュームマスカラよりも、ロングマスカラとかセパレートマスカラが人気。太く束になったまつ毛ではなくて、ふわっと柔らかいまつ毛がトレンドです。色は、少し前にブラウンやボルドーなどカラーのマスカラが流行って、またブラックが戻ってきていると思います。
――下まつ毛のマスカラが色落ちしてしまう人におすすめのマスカラはありますか?
山下:ウォータープルーフの方が崩れない人と、お湯落ちするフィルムタイプの方が崩れない人がいます。たぶん、肌質や涙の出やすさで違うので、実際に試してもらうのがいいと思います。
マスカラは根元にしっかり塗って、毛先はふわっと軽く。今日はLUNASOL(ルナソル)のを使いました。
◆6)ダマにならないようコームでとかす
●使ったアイテム:Chasty(チャスティ)マスカラコームメタルN
山下:マスカラを塗ったらコームでとかします。
――とかしやすい!まつ毛がふわふわになる!
山下:このChastyのはコーム部分が金属製で厚みがないから、まつ毛の間に入りやすいんですよ。ダマになったマスカラもきれいになるし。
――これでアイメイクは完成ですね!マスカラを塗る前にティッシュオフもしていなかったし、ダマダマのまつ毛のまま生きてきました…。欲しいものがいっぱいあります。
◎山下智子さん
1979年東京生まれ。ヘアメイクアップアーティスト。女性誌、カタログ、広告、テレビなどで幅広く活躍中。田中みな実さん、宇垣美里さんなど女優やモデルからの支持も厚い。約10年前から個人向けのヘアメイクレッスンを続けており、2023年10月にパーソナルレッスンを行う「m.mood(ムード)」をオープン
Instagram:@tomokoyamashita_hairmake
<文・モデル/大日方理子 撮影/林 紘輝(扶桑社)>
【大日方理子】
(おびなた・りこ)スタイリスト。1979年生まれ、お茶の水女子大学卒。『Ray』などの女性誌やテレビでスタイリストを務める。きれいめからカジュアルまで、今の気分を取り入れたスタイリングが得意。骨格診断アドバイザー。猫背改善で身長149cm→151cmに。中学生の女の子がいる1児の母でもある。公式HP
雑誌や広告、テレビなどで引っ張りだこのヘアメイク山下智子さん。気さくな人柄と確かな技術で、田中みな実さんや宇垣美里さんなど美容賢者が信頼を寄せる、業界をけん引するヘアメイクアップアーティストのひとりです。
山下さんが個人向けに「m.mode(ムード)」というヘアメイクのレッスンを行っていると聞き、取材を決行! 山下さんとお仕事したこともある私、スタイリスト大日方理子が、今っぽいメイクを教えてもらいました。
元気で機嫌が良く見えるベースメイク編、眉毛編を経て、今回はいよいよアイメイクを教えてもらいます。
◆アイシャドウは「似合う色」より「好きな色」を
――まぶたのくすみが気になっています。似合うアイシャドウが知りたいです。
山下智子さん(以下、山下):まぶたのくすみは気にしなくていいと思っています。わざわざベージュを塗ってから明るい色のアイシャドウを塗ったりするぐらいだから、それはもう天然のアイシャドウなので。
――気にしなくていい!目からウロコです。
山下:ベースやファンデーションでも補正されるから大丈夫。
それと、どんな色のアイシャドウを選んだらいいかわからない人が多いんですよね。私は「どういう色が好きですか?テンションの上がるものを選んでください」って言うようにしているんです。
そもそも、メイクは楽しいもののはず。情報がありすぎてわからなくなっているんですよね。
――どんな色がどんなイメージになるのかわからなくて。
山下:似合う色を教えてもらえる診断を受けに行く人もいますよね。でもそれが自分の好みと合っていないと、結局モヤモヤして帰ってくることになります。だったら、最初から好きなものを選べばいいと思うんです。
レッスンでは本人にテンションの上がる色を選んでもらって、どう塗るとなりたいイメージに仕上がるか伝えています。塗り方によってヘルシーにも、大人っぽくもなるから。
◆「しっかりグラデ+ガツンと締め色」は昔っぽい
●使ったコスメ:RMK(アールエムケー)「シンクロマティックアイシャドウパレット」05ディライトフル
――テンション上がるのはこれかな(と、05デイライトフルを選ぶ)。
山下:では、それを使ってヘルシーに仕上げていきましょう。4色パレットは4色全部を使おうと思わないでください。2色だけの日や1色だけの日があってもいいわけだから。昔と違って、3色4色と使って薄い色から濃い色へグラデーションにする必要もないので。
――アイシャドウ=グラデーションかと思っていました。
山下:何色もグラデーションに重ね塗りして、目の際に濃いブラウンをガツンと塗っているメイクは古く見えるかも。10年ぐらい顔が変わっていない人って、ずっと同じアイシャドウを使っている人じゃないかな。
今はぼんやりとした中間色が集まった、締め色のないアイシャドウパレットが結構あるんですよ。締め色でも透けていたり、ニュアンスカラーだったりする。そこで、今っぽさが出るんですよね。アイシャドウはできれば3年くらいで変えて欲しいですね。あと、ぼんやり塗った方が今っぽいです。
――すごい昔のアイシャドウも家にあります。だって使い終わらないんだもの。
山下:アイシャドウのパレットって質感とか色味が毎年変わってくるんです。今のベージュパレットと、5年前、10年前のベージュパレットは違うんですよ。5年前のアイシャドウパレットを使っていたら5年前の顔になります。
――なるほど。透け感、ニュアンスカラー、ぼんやり塗るのが今っぽい。
山下:そうですね。アイシャドウ用のチップや硬い毛のブラシよりも、柔らかいブラシを使うとぼかしやすいです。
――どこのブラシを買ったらいいのかわからないです…。
山下:高いブラシじゃなくても、柔らかいブラシならいいと思います。お気に入りのメーカーがあればそこで揃えてもいいし、例えばROSY ROSA(ロージーローザ)のアイシャドウブラシセットはドラッグストアでも売ってるところがあります。
◆1)濃い色→薄い色の順で塗っていく
山下:赤とブラウンのカラーをブラシにとって手の甲でなじませてから、二重幅よりも少し細めに、アイラインっぽく目の際に塗っていきます。上まぶたの中心から塗り始めて目尻まで塗って、目頭から中心まで塗ります。
――まず「薄い色をまぶた全体に」塗るのかと思ってました。濃い色が先なんですね。
山下:そう。なんで濃い色を先にのせるかというと、上から淡い色を重ねた方が、濃い色が柔らかく発色してナチュラルに仕上がるし、失敗が少ないからです。
あと、目尻よりも下までアイシャドウを塗ってしまうと目元がたるんで見えちゃうから、下まで塗らないようにしてください。
これに、さっきとは別のブラシを使ってパールピンクのアイシャドウをアイホールにぼかしていきます。ブラシを寝かせてアイシャドウを付けたら、寝かせたままでまぶたにのせてワイパーみたいに左右に動かします。まぶたの皮膚は動きやすいので、もう片方の手で引っ張っておくとやりやすいです。
◆2)下まぶたにも、涙袋の幅まで塗る
山下:下まぶたにも同じピンクのアイシャドウを塗っていきます。アイシャドウで目を囲むのはここ何年かトレンドでもあるけど、下まぶたにもアイシャドウを塗ると、中顔面が短く見えるんです。大人は頬がたるんで中顔面が長く見えやすいのでおすすめです。
――下もしっかり塗るんですね。
山下:下は涙袋の幅まで塗っちゃっていいです。最初にまぶたに塗ったのと同じブラウンとボルドーを混ぜた色を、下の目尻より5㎜ぐらい内側に少し入れると立体感が出ます。
◆3)まつ毛のビューラーは使っても使わなくてもいい
山下:次はビューラーでまつ毛を上げます。大日方さんは普段使わないんでしたっけ?。
――ビューラーは使っていないです。
山下:目の形にもよるし、方向性にもよりますね。縦幅を出して目を大きく見せたいならビューラーでグッとまつげを上げます。大日方さんは目がはっきりしているし、ヘルシーに仕上げたいならそのままでも大丈夫。
◆4)大人のアイラインはさりげなく
●使ったコスメ:Love Liner(ラブ・ライナー)「リキッドアイライナー」モカグレージュ
山下:ではアイラインを描いていきましょう。上まぶたの目尻側3分の1くらいから描きはじめて、横に抜く!もしラインの終わりが太過ぎたら、親指の爪先でスッとなぞれば修正できます。
アイシャドウと同じで、アイラインも下げると目元がたるんで見えるから、下げない方がいいですね。目の際から5㎜くらい出す感じかな。
――さりげなくて、どこにラインが入っているかわからない……。
山下:実はこのLove Linerのアイライナーは、色が透けているんです。だから“アイラインを引きました”って感じにならない。透けているとナチュラルだし描くのも簡単だと思います。
――昔はキャットラインみたいに跳ね上げたアイラインも流行ったけど、今はナチュラルなんですか?
山下:好みによるかな。韓国メイクが好きな若い人は、跳ね上げたアイラインを描いたりしますね。大人が元気にヘルシーに見せたいなら、さりげないラインがいいと思います。
◆5)マスカラは根元にしっかり、毛先は軽く
●使ったコスメ:LUNASOL(ルナソル)「フェザリーディファイニングマスカラ」モカブラウン
――次はマスカラですね。最近の流行りは?
山下:今はボリュームマスカラよりも、ロングマスカラとかセパレートマスカラが人気。太く束になったまつ毛ではなくて、ふわっと柔らかいまつ毛がトレンドです。色は、少し前にブラウンやボルドーなどカラーのマスカラが流行って、またブラックが戻ってきていると思います。
――下まつ毛のマスカラが色落ちしてしまう人におすすめのマスカラはありますか?
山下:ウォータープルーフの方が崩れない人と、お湯落ちするフィルムタイプの方が崩れない人がいます。たぶん、肌質や涙の出やすさで違うので、実際に試してもらうのがいいと思います。
マスカラは根元にしっかり塗って、毛先はふわっと軽く。今日はLUNASOL(ルナソル)のを使いました。
◆6)ダマにならないようコームでとかす
●使ったアイテム:Chasty(チャスティ)マスカラコームメタルN
山下:マスカラを塗ったらコームでとかします。
――とかしやすい!まつ毛がふわふわになる!
山下:このChastyのはコーム部分が金属製で厚みがないから、まつ毛の間に入りやすいんですよ。ダマになったマスカラもきれいになるし。
――これでアイメイクは完成ですね!マスカラを塗る前にティッシュオフもしていなかったし、ダマダマのまつ毛のまま生きてきました…。欲しいものがいっぱいあります。
◎山下智子さん
1979年東京生まれ。ヘアメイクアップアーティスト。女性誌、カタログ、広告、テレビなどで幅広く活躍中。田中みな実さん、宇垣美里さんなど女優やモデルからの支持も厚い。約10年前から個人向けのヘアメイクレッスンを続けており、2023年10月にパーソナルレッスンを行う「m.mood(ムード)」をオープン
Instagram:@tomokoyamashita_hairmake
<文・モデル/大日方理子 撮影/林 紘輝(扶桑社)>
【大日方理子】
(おびなた・りこ)スタイリスト。1979年生まれ、お茶の水女子大学卒。『Ray』などの女性誌やテレビでスタイリストを務める。きれいめからカジュアルまで、今の気分を取り入れたスタイリングが得意。骨格診断アドバイザー。猫背改善で身長149cm→151cmに。中学生の女の子がいる1児の母でもある。公式HP