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障がい者が婚活するとき、多くの人がぶつかる“高いハードル”とは。障がい者向けマッチングアプリの開発者が語る

女子SPA! 2025年2月6日 15時47分

恋愛・婚活コンサルタントの田中亜依です。700万円の費用を投じた10年間の婚活で、600人以上の男性とデートを重ねた末に結婚しました。“本気の婚活経験”を活かし、年間1000人以上の男女の恋愛サポートを行ってきた筆者が、婚活に「リアルに役立つ情報」をお伝えします。

障がい者に特化したマッチングアプリ「IRODORI(イロドリ)」の利用が広がっています。障がいを持つ方の恋愛では、障がいについて相手に打ち明ける際に困難を抱えるケースも多いといわれています。IRODORIは、「障がいを打ち明けるハードルがそもそもないアプリを作ろう」と開発されました。

運営代表の結城伊澄(いずみ)さんと、共同運営者の中西さんにお話を聞きました。

◆悩みを抱えた人が、人生を好転させるようなサービス

結城さんは製薬会社の営業として働いていた頃、医師や障がいを持つ方から障がいについての話を聞く機会がありました。障がいを持つ方が心を許せる友人や恋人を作る難しさについても、耳にすることが多かったといいます。

また、結城さんご自身も発達障害であるADHD(注意欠如・多動症)の可能性を指摘されたことがあり、同じように悩みを抱えた人たちが人生を好転させるようなサービスを作りたいと思ったことからIRODORIが生まれました。

――このアプリを作るにあたって、障がいを持つ方の出会いや結婚について、どのような課題を感じていましたか?

結城さん(以下、結城):障がいの特性に対する理解という点が、やはり課題としてありましたね。いいなと思える人に出会った時に、自分の障がいについて、どのタイミングでどういう形で伝えるのか悩まれる方は多いです。このアプリを作る前にアンケートをとったのですが、障がいを伝えた結果、拒絶されたりとか、うまくいかなくなってしまったりした経験がある方が結構いらっしゃったんです。

だったら、障がいを打ち明けるハードルがそもそもないアプリを作ろうと思って、できたのがこのアプリです。

――私(筆者)も婚活の相談を受ける中で「タイミング」の相談をされることがあります。例えば離婚経験者の方が、離婚していることを相手に打ち明けるタイミングなどです。その点、「離婚経験者向けのアプリ」を使うと離婚に対して理解があるユーザーが集まっているので、伝えるタイミングを気にせずに利用できます。

◆通常のマッチングアプリでうまくいかないことも

――障がいのある方が結婚を意識した時に、課題になることはありますか?

結城:現実的なところだと、年収がハードルになっている面はあると思います。年収が200万円以下の方も結構いらっしゃって、国からもらえる公的年金を考慮したとしても、誰かを養うとなると難しい場合が多いですね。

――障がいの種類や程度によっては働くことも困難な方もいらっしゃると思うので、難しい問題ですね。では、障がいを持っている方はこのアプリ以外だと、どのような出会いの場があるのでしょうか?

結城:障がい者同士の婚活パーティーですとか、有名どころのマッチングアプリを使っている方もいますね。

中西さん(以下、中西):ユーザーさんの中には、有名どころのマッチングアプリを使ってもなかなか出会えなくてIRODORIを使い始めたという方もいますね。マッチしても、障がいがあることを打ち明けたら連絡が来なくなってしまうという人も多くて、やはり障がいを打ち明けるハードルが高いと感じる人は少なくないようです。

◆文化の違いやクレーム、数々の困難を乗り越えて

――アプリを立ち上げるにあたって大変だったことはありますか?

結城:設立当初、私はITに関する知識がなくて開発会社さんとのやり取りも初めてだったので、進め方もわからず苦労しました。結局、開発会社も最初にお願いした会社から変更して、リリースまでに2年ほどかかってしまいました。

最初は海外の方が多い会社にお願いしていたのですが、日本とは文化や仕事に対するスタンスに大きな違いがあって。スケジュールやアプリの内容も含め、どこまで細かくやるのか、いつまでやるのかという認識にズレがあり、上手く進められませんでした。

あとは、クラウドファンディングをした際に、個人的な見解が色濃いクレームを受けたりとか。私の個人情報を特定してわざわざメッセージを送ってきた人もいて、ネット社会の闇というか、洗礼を受けました。

――それは怖いですね……。

◆様々な障がいをもつユーザーの、希望に答えて進化

中西:アプリに関して言うと、ユーザーさんが増えてくると、色々な障がいをお持ちの方が増えてきて、その分要望が増えていったんですよね。例えば「文字が読めないので読み上げ機能をつけてほしい」とか、「生年月日を入力する時に選びやすくしてほしい」などの声がありました。

その都度対応できるものは対応するようにして、読み上げ機能や音声入力などの機能を追加していきました。それから、文章を書くのも読むのも苦手という方もいるので、通話機能も追加しています。

大変な面もありますが、アプリを使う上でのユーザーさんの要望に関しては、できるだけ応えるようにして、使いやすいアプリに改善してきました。

◆男性ユーザーから最も多い“意外なクレーム”

――運営していく中でのトラブルや苦情などはありますか? 対応や改善点もあれば教えてください

結城:退会する時にアンケートをお願いするのですが、その時に改善してほしい点として多いのは、グループチャットの動作性ですね。

IRODORIには「コミュニティ」という複数のユーザーでやり取りできるグループチャットがあるのですが、動作が重くなってしまうことがあり、不満の声をいただきました。この点については開発会社と協力しながら日々改善に取り組んでいるので、今後もっと使いやすくなっていくと思います。

中西:男性に限って言うと「マッチしない」という苦情が一番多いですね。それで、マッチしないと言う方のプロフィールを見ると、写真に全然気を遣わない人が多いんです。一般的な意見として写真にもう少し気を遣うようお伝えするのですが、かなり詳しくアドバイスしても改善してくれるケースは稀で、難しい問題だなと思います。

――障がいの有無に関係なく、婚活における写真って本当に重要なのに、気付いていない人も多いんですよね……。

◆出会いが人生を変えるという体験を

――最後に、IRODORIを運営していく上で大切にしていきたいことや今後の抱負を教えてください。

結城:厳しい意見もいただいたりと色々と大変なこともあるのですが「このアプリで出会えて本当によかった」「このアプリがあって本当によかった」という声もいただくんです。私も親友と出会って、人生が変わりました。だから、出会いが人生を変えるという体験を提供して、そのように思ってくれる方を1人でも増やしていけるようにしたいと思っています。

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運営者の熱い思いが詰まったマッチングアプリ、IRODORI。今まで新しい出会いを見つけることが難しかった方にとって、人生が変わるきっかけになるかもしれません。ユーザーの不満や希望にも真摯に対応し続けることで、今後ますます使いやすく進化することが期待されます。

【IRODORI(イロドリ)】

障がい者やその理解者専用のマッチングアプリ。ユーザーからは「障がいを打ち明けやすい環境で、友達作りや恋愛、婚活ができる」と評価されている。完全審査制を採用しており、安全に利用できるのが特徴。これまでにダウンロード数は6万件を突破、累計マッチング数は15,000組以上に達し、結婚したカップルも誕生している。公式X:@irodori_info

<取材・文/田中亜依>

【田中亜依】
恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。公式ホームページ/Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019

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