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ジブリキャラにバルタン星人…雪景色に突如あらわれる “雪だるま”の完成度がスゴすぎる。作者本人を直撃すると

女子SPA! 2025年1月28日 8時46分

 新年も明けて、冬真っ只中! そんな今、絶好のお手本にしたい人がいます。

 雪だるま職人としにゃんさん(@mokomoko_2015)がXに投稿している雪だるまの数々は、まるで芸術作品のような完成度でした。

◆再現度の高い“雪だるま”の数々

●中トトロと小トトロとネコバスとチャネルヒカリ

●『となりのトトロ』のトトロ

●『となりのトトロ』のネコバス

●『風の谷のナウシカ』の王蟲

●『スター・ウォーズ』のジャバ・ザ・ハット

●『ドラゴンクエスト』のギガンテス

●『鬼滅の刃』の時透無一郎

●『ウルトラマン』のバルタン星人

 なぜ、こんなに雪だるまをつくっているのか? どうやってつくっているの? 気になることが山ほどあるので、ご本人に聞いてみました!

◆雪が降ると「どんどんつくれるぞ」とうれしくなる

――雪だるまづくりを始めたきっかけを教えてください。

としにゃん:東京に降雪があると渋谷のハチ公前にハチ公の雪像ができたり、都内で頻繁に雪像が出現した時期があったんですね。ちょうど、僕が住んでいるのは雪国の山形なので、「真似してみようかな」と2015年から始めました。

――山形だと、雪が積もっている期間も長いでしょうね。

としにゃん:早ければ11月末に降り始めて、3月いっぱいぐらいまでは残雪で遊べます。今シーズンは12月の頭からつくり始めました。

――雪が降ると多くの人は「大変だな」「面倒だな」という思いになりがちですが、としにゃんさんは?

としにゃん:さすがに生活に支障が出ると困りますが、僕はそんなに苦痛じゃないです。大変な方には失礼ですけど、どちらかというとプラスに捉えていますね。「どんどんつくれるぞ」みたいな(笑)。

◆雪だるまづくりにパン切り包丁やはんだごてを活用

――としにゃんさんの普段のご職業は造形関係ですか?

としにゃん:いえいえ。本当に一般的な会社員でして、造形とかとは全然関係ない仕事です。

――そうだったんですか! ところで、どんなふうに雪だるまを製作しているのでしょう?

としにゃん:雪って、しっかり固めておかないと形を作れないんです。だから、まずはホームセンターに売っている漬け物桶に雪を詰め、固めて、その塊を数段重ねて土台にします。その上に雪を盛っていき、スコップを叩きつけたり削ったりしながらイメージの形へ近づけていきます。園芸用の小さいスコップとか筆の持つ部分、変わったものだとパン切り包丁を使って、削ったり掘ったりの細かい作業をするときもありますよ。

――パン切り包丁も使うんですか!

としにゃん:あと、「溶かす」という作業をすることもあります。はんだごてを使って線を引くイメージですね。「削る」だけだと、雪は結構崩れちゃうんです。だから、溶かしつつ表情をつけるというか。特に、目の部分は細かいので「削る」だけでは厳しいんです。

――はんだごてまで……。たしかに、自然に溶けたらまずいですよね。

としにゃん:そうですね。でも、日差しが強かったり気温が高いとつくっている矢先に溶けちゃうんです。そうなると、もう形もでき上がらなくて。今月、『ハウルの動く城』に出てくる「荒地の魔女」をつくったのですが、この雪だるまは夏に砂浜に立てるパラソルで日を避けながらつくりました。傍から見たら「あの人、何やってんだ?」って思われたでしょうね(笑)。

◆「荒地の魔女」の制作時間は5~6時間にもおよぶ

――そのような作業を経て、作品が一つ完成するまでにどのくらいの時間がかかるのでしょう?

としにゃん:「荒地の魔女」は2~3日に分けて作業し、トータルで5~6時間ぐらいかかりました。ものの大きさにもよりますが、だいたいそんな感じです。

――10年の製作歴のなかで、雪だるまをつくるのはやはり慣れていきましたか?

としにゃん:そうですね。最初はひたすら雪を積み上げてスコップでつくっていたのですが、次第に土台からつくっていくことを覚えました。丸い形をつくるときは手だけでは難しいので、食器やボウルに雪を詰めて調理器具の型をそのまま流用することもあります。ホームセンターや100円ショップを回り、「これは使えそうだな」というのを物色したり(笑)。

そういうやり方にたどり着くまでは、長い時間がかかりました。いろいろ試行錯誤していてると経験則が増え、役に立っていくんです。

――先ほど伺ったパン切り包丁や漬物桶の活用も、経験を重ねて習得した技術なんですね。

◆『鬼滅の刃』『天空の城ラピュタ』『キン肉マン』などの雪だるまも

――10年の製作歴のなかで、会心の出来だった雪だるまはどれですか?

としにゃん:『鬼滅の刃』が流行った4~5年くらい前に下弦の伍の「累」というキャラクターを作ったのですが、これは約14万いいねにまで達しました。会心の出来でしたし、SNSの反応もいまだにこれは超えられません。

これとは別に、2018年には『天空の城ラピュタ』に出てくるロボット兵の雪だるまを作ったこともあります。『ラピュタ』で壊れたと思っていたロボットが動き出すシーンがあるのですが、その場面を再現した雪だるまは今も個人的に気に入っています。

――「今後、こういう雪だるまをつくってみたい」という構想があれば教えてください。

としにゃん:アニメ『キン肉マン』のシーズン2が始まったので、『キン肉マン』関係の雪だるまには着手しようかなと思っています。

――2024年12月にも、『キン肉マン』のベンキマンの雪だるまをつくっていましたよね。

としにゃん:あとは、『ゴジラ』など特撮系や『ポケモン』みたいな可愛い系のキャラクターも好きなので、そういうのもつくっていこうかなと思っています。

◆雪を素材にした物づくりにこだわりたい

――としにゃんさんは、昔からものを作るのがお好きだったんですか?

としにゃん:物づくりは嫌いではなく、粘土細工や羊毛フェルトをやっていた時期もちょっとだけありました。

――粘土や羊毛フェルトとは違い、雪って溶けるじゃないですか? つまり、作品として永久に残せるものではない。それが美しくもあり切なくもあるのですが、としにゃんさんが雪にこだわる理由はなんでしょうか?

としにゃん:住んでいるのが雪国ですし、体を動かすのにもちょうどいいので、冬の間の趣味として雪だるまはつくっています。あと、粘土造形をやっていた頃、僕は色をつけるのが苦手だったんですね。だから、形をつくって溶けたら終わりの雪は絶好の素材です。だから、これからも冬の間は雪で楽しもうかなと思っています。

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 言葉の端々からにじみ出ている「雪だるま職人」としての矜持、感じていただけましたでしょうか? つくり方は唯一無二だし、「溶けたら終わり」を良しとする潔さからは美学さえ感じます。雪は冷たいけれど、としにゃんさんの雪だるまに対する熱は熱かった!

<取材・文/寺西ジャジューカ>

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