女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「結婚」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2021年1月30日 記事は取材時の状況)
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「夫の帰宅が毎晩、深夜の1時、2時で、いつもスマホを手放さないんです……」そう打ち明けるのは西本ゆかりさん(仮名・35歳)。
夫の行動には、不倫やマッチングアプリなどの怪しい理由が隠されているように見えますが、実際はもっと面倒な事態(?)でした。スマホの依存性を指摘する医師が増えている昨今、スマホが夫婦関係にヒビを入れてしまうケースもあるようです。
◆深夜1時まで帰ってこない理由とは…
ゆかりさんと夫の彰さん(仮名・36歳)は職場結婚。二人は、ネットショッピングサイトを運営する企業に勤めていました。彰さんは営業で、ゆかりさんがページのディレクションを担当していたインテリアや、ペット用品の広告担当でした。
「彼は、お酒が苦手で、よく職場の飲み会では顔が赤くなっていました。それなのに、酔うと得意だというロボットダンスを踊ります(笑)。真面目そうな雰囲気と違って、よくしゃべる面白い人だなって気になったんです」
ゆかりさんが30歳のときに結婚。4年前に出産した後は、派遣社員として働いています。定時に終わるため、保育園の送り迎えもすべてゆかりさんがしているそうです。
「私が送り迎えも、お弁当作りも、夕飯のしたくも全部やっています。洗濯も毎日、急いで洗濯機を回して、干してから出社。ここ数年の睡眠時間は平均5時間ですね」
◆深夜帰宅はスマホゲームのせいだった
時短勤務で収入も多くはないため、夫に家事を頼みづらいといいます。
「夫の帰りは毎晩、深夜1時か2時。帰ってきても、台所で料理を犬のように食べて、シャワーも浴びず、そのまま横になって寝てしまいます……。『仕事が忙しくて平日は何もできない』って言うのを最初は信じていたけど、深夜3時を過ぎたときに、本人に問いただしてみると、毎晩、GPS機能を使った位置情報ゲームで何十キロも歩き回っていたようなんです」
彰さんは、もはや依存ともいえるほどゲームにハマっていたのです。
「毎晩終電だったのは、ほとんどがスマホゲームのせいでした。私が指摘すると『浮気しているわけではないからいいだろ』って今度は開き直ったんです。向こうは悪いことをしていないという意識なので、『早く帰ってきて』と連絡しても、『おまえの通知がうるさいせいでゲームに集中できないから、通知切った』っていうんです」
まったく呆れてしまう理由ですが、止める気配もなかったのです。
ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を、2019年にWHO(世界保健機関)が国際疾患に認定しましたが、この“病気”では?と思うぐらいに夫の行動はエスカレートしていきました。
◆娘のケガよりゲームを優先した夫に、怒り爆発!
「ある時、娘の腕が脱臼してしまったんです。そのときも電話してもなかなか出ず、こっちは救急車に乗っているのに『そんなことで掛けてくるな』と言って、その日もゲームして深夜まで帰ってきませんでした……」
さらに、彰さんの行動はエスカレートしていきます。
「結婚記念日にゲームの大きな大会があると言って、私に黙って、広島の旅行を勝手に予約していたんです。これには頭に来ましたね。夫がそのゲームに飽きるのを待っていたのですが、翌年は北海道で行われた大会にまた一人で参加していましたね」
こんな調子で、ゆかりさんの不満はどんどん溜まっていきました。ある日、疲れていたので、夫に娘の送迎を頼もうとしたとき、その怒りが大爆発してしまいます。
「夫の姿が見えなかったので、トイレを覗いてみると、個室の中でもゲームの画面を開いていました。私の用も聞こうとせず『うるさい』と言ってトイレの扉を勢いよく閉めた夫に腹を立て、バケツで扉を破壊しました」
◆コロナ禍で夫が変わっていき…
あまりの怒りでトイレのドアを破壊……。夫はさぞ驚いたことでしょう。しかし、それでも夫はゲームをやめませんでした。それ以降、1日のほとんどの時間、夫が仕事かゲームで家にいない家庭内別居状態が続きました。
「もう、家にいないほうがいいな、死んでくれたほうがましだなとすら思うようになってしまいました。そんなとき、コロナの影響で、夫がリモートワークになったんです。洗い物や洗濯物など少しずつ手伝ってくれるようになりました。娘とも一緒に寝るようになって、やっと愛情も芽生えてきたみたいです」
コロナ禍をきっかけに、久しぶりに夫の父親らしい姿を見ることができたゆかりさん。夫への気持ちもだんだんと変化していきました。
在宅時間が増えることで、“コロナ離婚”にいたる夫婦が多いことが話題になっていますが、今回のケースでは、時間が増えたことが仲直りのきっかけとなったようです。
「今思うと、夫も仕事のプレッシャーもあったのかもしれないです。お酒も飲まないし、発散方法がわからなかったのかも。もともとのまじめな性格が、どこまでもゲームをやりつくさないと気が済まなくさせていたのかもしれないです」
幸い彼は、治療が必要なほどのゲーム依存ではなかった模様。それとも家族との時間が、自然な“治療”になったのでしょうか。
<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/カツオ>
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「夫の帰宅が毎晩、深夜の1時、2時で、いつもスマホを手放さないんです……」そう打ち明けるのは西本ゆかりさん(仮名・35歳)。
夫の行動には、不倫やマッチングアプリなどの怪しい理由が隠されているように見えますが、実際はもっと面倒な事態(?)でした。スマホの依存性を指摘する医師が増えている昨今、スマホが夫婦関係にヒビを入れてしまうケースもあるようです。
◆深夜1時まで帰ってこない理由とは…
ゆかりさんと夫の彰さん(仮名・36歳)は職場結婚。二人は、ネットショッピングサイトを運営する企業に勤めていました。彰さんは営業で、ゆかりさんがページのディレクションを担当していたインテリアや、ペット用品の広告担当でした。
「彼は、お酒が苦手で、よく職場の飲み会では顔が赤くなっていました。それなのに、酔うと得意だというロボットダンスを踊ります(笑)。真面目そうな雰囲気と違って、よくしゃべる面白い人だなって気になったんです」
ゆかりさんが30歳のときに結婚。4年前に出産した後は、派遣社員として働いています。定時に終わるため、保育園の送り迎えもすべてゆかりさんがしているそうです。
「私が送り迎えも、お弁当作りも、夕飯のしたくも全部やっています。洗濯も毎日、急いで洗濯機を回して、干してから出社。ここ数年の睡眠時間は平均5時間ですね」
◆深夜帰宅はスマホゲームのせいだった
時短勤務で収入も多くはないため、夫に家事を頼みづらいといいます。
「夫の帰りは毎晩、深夜1時か2時。帰ってきても、台所で料理を犬のように食べて、シャワーも浴びず、そのまま横になって寝てしまいます……。『仕事が忙しくて平日は何もできない』って言うのを最初は信じていたけど、深夜3時を過ぎたときに、本人に問いただしてみると、毎晩、GPS機能を使った位置情報ゲームで何十キロも歩き回っていたようなんです」
彰さんは、もはや依存ともいえるほどゲームにハマっていたのです。
「毎晩終電だったのは、ほとんどがスマホゲームのせいでした。私が指摘すると『浮気しているわけではないからいいだろ』って今度は開き直ったんです。向こうは悪いことをしていないという意識なので、『早く帰ってきて』と連絡しても、『おまえの通知がうるさいせいでゲームに集中できないから、通知切った』っていうんです」
まったく呆れてしまう理由ですが、止める気配もなかったのです。
ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を、2019年にWHO(世界保健機関)が国際疾患に認定しましたが、この“病気”では?と思うぐらいに夫の行動はエスカレートしていきました。
◆娘のケガよりゲームを優先した夫に、怒り爆発!
「ある時、娘の腕が脱臼してしまったんです。そのときも電話してもなかなか出ず、こっちは救急車に乗っているのに『そんなことで掛けてくるな』と言って、その日もゲームして深夜まで帰ってきませんでした……」
さらに、彰さんの行動はエスカレートしていきます。
「結婚記念日にゲームの大きな大会があると言って、私に黙って、広島の旅行を勝手に予約していたんです。これには頭に来ましたね。夫がそのゲームに飽きるのを待っていたのですが、翌年は北海道で行われた大会にまた一人で参加していましたね」
こんな調子で、ゆかりさんの不満はどんどん溜まっていきました。ある日、疲れていたので、夫に娘の送迎を頼もうとしたとき、その怒りが大爆発してしまいます。
「夫の姿が見えなかったので、トイレを覗いてみると、個室の中でもゲームの画面を開いていました。私の用も聞こうとせず『うるさい』と言ってトイレの扉を勢いよく閉めた夫に腹を立て、バケツで扉を破壊しました」
◆コロナ禍で夫が変わっていき…
あまりの怒りでトイレのドアを破壊……。夫はさぞ驚いたことでしょう。しかし、それでも夫はゲームをやめませんでした。それ以降、1日のほとんどの時間、夫が仕事かゲームで家にいない家庭内別居状態が続きました。
「もう、家にいないほうがいいな、死んでくれたほうがましだなとすら思うようになってしまいました。そんなとき、コロナの影響で、夫がリモートワークになったんです。洗い物や洗濯物など少しずつ手伝ってくれるようになりました。娘とも一緒に寝るようになって、やっと愛情も芽生えてきたみたいです」
コロナ禍をきっかけに、久しぶりに夫の父親らしい姿を見ることができたゆかりさん。夫への気持ちもだんだんと変化していきました。
在宅時間が増えることで、“コロナ離婚”にいたる夫婦が多いことが話題になっていますが、今回のケースでは、時間が増えたことが仲直りのきっかけとなったようです。
「今思うと、夫も仕事のプレッシャーもあったのかもしれないです。お酒も飲まないし、発散方法がわからなかったのかも。もともとのまじめな性格が、どこまでもゲームをやりつくさないと気が済まなくさせていたのかもしれないです」
幸い彼は、治療が必要なほどのゲーム依存ではなかった模様。それとも家族との時間が、自然な“治療”になったのでしょうか。
<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/カツオ>