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実は“大物タレント”の父を持つ、朝ドラ出演の25歳俳優。困り顔の坊主頭が愛らしかったデビュー作も

女子SPA! 2025年1月29日 8時47分

 タレント・中山秀征の長男である中山翔貴は、2022年にデビューした新人俳優でありながら「俳優歴2年にして出演作は15本を超える」という売り文句がある。

 この出演数は単純に、さまざまな現場に呼ばれていることを意味しているが、実際彼はそれに見合った実力の持ち主である。

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、デビューから登板し続けることにポテンシャルを感じる中山翔貴を解説する。

◆演技の売りをシンプルに作る才能

 お笑いトリオ・ハナコの岡部大が初主演したドラマ『しろめし修行僧』(テレビ東京、2022年)で、岡部演じる修行僧・米田たくあんの弟・米田つぶあんを演じていたのが、中山翔貴だった。第1話でたくあんがラップを披露しているところに、つぶあんが入ってくる場面で初登場。

「兄ちゃん」と愛嬌たっぷりの第1声。つぶあんという名前自体、さらに困り顔の坊主頭が、なんとも可愛らしい。そのあと、父・米田こしあん(松平健)に呼びだされた兄に、弟が付き従う場面がいい。

 すっと正座してみせる、つぶあんの俊敏さが作品を活気づけている。動きの手際がいい。中山翔貴には、動くということだけで、デビュー作からすでに自分の演技の売りをシンプルに作る才能がある。

◆中山翔貴はアクション俳優

 その意味で、アクロバティックな動き(アクション)を特別必要としない中山翔貴は、根っから動けるアクション俳優なのかもしれない。彼の経歴を確認すると、その資質が案外見当外れではないことがわかるだろう。

 中山姓をもつ中山翔貴は、タレントとして長く芸能界で活躍し続けている中山秀征の長男である。れっきとした二世俳優というわけだが、小学生から打ち込んでいたのは野球だった。青山学院大学時代にはピッチャーとして活躍。東都一部リーグ昇格に貢献した。つまり、動くことの基礎体力は十分ある人ということ。

 大学卒業後、俳優の道に活路を見いだした中山翔貴は、上述した『しろめし修行僧』で俳優デビュー。所属事務所のプロフィールには「俳優歴2年にして出演作は15本を超える」とあり、ここにも明確な売りがある。

◆具体的な強みを得るきっかけ

 確かに新人俳優の売りとして、さまざまな作品歴が早いうちからあることは強みになる。でもそれだけだと、とりあえず動けるだけ動いて、たくさん現場経験があるということに過ぎない。この動ける才能がどう昇華されるのか。

 ムロツヨシ主演でスカウトマンの世界を描く『ドラフトキング』(WOWOW、2023年)は、俳優として具体的な強みを得るきっかけになった。中山翔貴が演じたのは、ドラフト1位指名されるピッチャー。第2回、凛々しい眼差しで記者会見に臨む表情が印象的である。

 鈴木亮平演じる主人公が弱小高校の野球部を育て上げる『下剋上球児』(TBS、2023年)にも出演している。第8話で5番ショートに選ばれて「はい」と誰よりもはきはきと答えるさわやか球児の顔があざやかだった。

◆デビューから登板中であり続けるポテンシャル

 俳優自身が実際に実力ある野球経験者だったことで、野球を題材にした作品でのキャスティング候補に挙がりやすいのだろう。オファーがどんどんくる。野球ドラマ作品を活路として特化していくことは戦略的でもある。

 一方で野球選手のイメージが固定されれば、同じような役ばかりが回ってくる。橋本環奈主演朝ドラ『おむすび』(NHK総合)でも第12週第56回から社会人野球の大型新人選手・大河内勇樹を演じている。

 この役がこれまでとひと味違うのは、カットのリズムに合わせた演技を的確にアウトプットしていること。練習中の大河内が、球を打つ場面。ちょうどそのタイミングごとにカット割りされた画面上、中山翔貴は丁寧にはつらつと演じ込んでいる。

 野球ドラマではない『わたしの宝物』(フジテレビ、2024年)での会社員役もなかなかいい。デビューから現在まで登板中であり続けることに大きなポテンシャルを感じさせる俳優である。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu

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