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「脱毛で損しがちな人」が怠っている“たった一つのこと”。脱毛に300万円以上かけた研究家が警鐘

女子SPA! 2025年2月4日 8時46分

 突然のしらせに「詐欺だよね?」「お金返して下さい」「なんでこっちが泣き寝入りしないといけないの?」と、元利用者から阿鼻叫喚のポストも相次いだ2024年12月のアリシアクリニック破産騒動。

 東京商工リサーチによると「脱毛サロンなどエステティック業」の倒産件数は、2024年1~11月で前年の88件を上回る99件にのぼったといいます。

 潰れかけの脱毛クリニックでは「サービスの悪化が目立つ」と話すのは、脱毛関連の情報を啓発するブログ「すっごい脱毛ブログ!」の運営者である脱毛研究家・六條かげりさん(@datumoushon)です。

 過去には「300万円以上」をかけて脱毛クリニックの施術を経験、累計1万件以上の相談にも応じてきた六條さんに、質の悪い脱毛クリニックに引っかからないための秘けつを聞きました。

◆ムダ毛1本でも「残っていたら即課金」で散財

 自身も過去に「脱毛クリニックで何度も失敗した」と明かす六條さん。その経験をもって、現在は「正しい脱毛の情報」を伝えようと尽力しています。匿名の質問サービスやSNS経由では、多くの相談も寄せられているそうです。

「私自身も、トラブルによる無駄な出費がたくさんありました。これまでに一番不満だったのはあるクリニックでの全身脱毛で、結果として膨大なシェービング(毛剃り)料金を取られたんです。

当時は、こちらが事前に剃った部位で剃り残しがあった場合に『クリニックによる毛剃り対応1部位500円』というルールがありました。素人の技術ではどれほど頑張っても完璧に剃るのは難しく、ムダ毛が1~2本残ってしまうことも多いです。

多くのクリニックでは1~2本程度であれば、現場でササッと施術してくれますし、むこうから『丁寧に自己処理してくれてありがとうございます』と感謝されることもありました。しかし、私の申し込んだクリニックではルールが厳密で言われたとおりにするしかなく、特に毛が濃かった施術初期には全身脱毛1回につき3000円以上を支払っていました。

現在は改善されて『合計10分までは剃り残し対応無料』となっていますが、当時は同様の不満を嘆くクチコミも多かったです」(以下、六條さん)

◆効果がないのに通い続けてしまうケースも

 一方、自身のブログ読者から相談を受けた中で一番気の毒だったのは、ハズレのクリニックに当たり「効果がないのに通い続けてしまった方」だといいます。

「効果がないまま通ってしまうのは、クリニックによって脱毛効果が薄い場合の対応が異なるためです。実際に相談を寄せてくださった方は、受けていた『蓄熱式』のレーザー脱毛で満足のいく効果を得られていなかったものの、クリニックを信じ続けてしまったために、余計なお金を支払い続けていました。

レーザーによる脱毛では、お客さんの毛質やクリニック側の技術、導入している機械の性能不足などを理由に、満足ゆく効果が得られないケースもあるんです。ただ、意図的なのか認識不足なのか『当院では、ここまでが限界です』と教えられないクリニックもあり、当然ながらどれほど通っても無駄になってしまいます。

これを理解していれば『どの機械でも効果は同じ』『最初は抜けが悪くても最終的には他のレーザーと変わらない回数で終わる』など、広告でよく見るうたい文句も嘘だと気付けるんですが。残念ながら、周知されていない印象です」

◆施術が不十分でも客側は言い出しづらい

 なぜ、サービスの質が悪いクリニックがあるのか。脱毛業界ならではの経営構造も、その理由にあると六條さんはいいます。

「アリシアクリニックの破産騒動でも取り上げられた前受金で拡大を図るビジネスモデルは、拍車をかけている一因だと考えています。ただ、それだけではありません。

悪質な広告がはびこっている現状もあり、どこかのクリニックが成功すると、他社も追随する傾向もあるんです。一時期は、契約の総額ではなく月額のみを大きく表示して、集客を図るクリニックも目立っていました。

また、施術が不十分であったとしても、お客さん側が不満を口に出しづらい現状もあります。せっかく施術を受けているのに『気分を害したくない』という気持ちの面もありますが、より深刻なのは『プランの残債を人質に取られている』という理由だと思います。

クリニックで働くスタッフの機嫌を損なうと、残りの施術をちゃんとやってくれないかもしれない。本来、よほどの無茶な要望を求めない限りは、お金を支払っているお客さん側にも納得いかない点を主張する権利はあると思います。ただ、定期的に通院する脱毛クリニックでは、たがいの距離感が近いため、言い出しづらい現状もあります」

◆脱毛の基礎知識があれば見破れる嘘も多い

 いわば“泥舟”かのような、質の悪いクリニックをみきわめるポイントは果たして、あるのでしょうか。六條さんは「少し知るだけでリスクは回避できる」と主張します。

「まず、脱毛の基礎知識は必須です。ネットで『脱毛の仕組み』と検索すれば、たくさんの情報が出てきます。例えば、VIOラインであれば、毛がしっかり薄くなるまでの期間はどれだけ早くても1年以上、長くて3年以上かかるといわれているんです。その周期に合わせた施術を行うのが本来のやり方で、知っておくと『全身脱毛5回。最短5ヶ月で完了』など、いわゆる『スピード脱毛』をうたったキャッチコピーは嘘であると見破れます。また、『最新の技術で期待大』などの誇張した表現には注意しておくべきです」

◆みきわめる力を養ってほしい

 クリニックの倒産が相次ぐ現在では「無制限脱毛も避けたほうが無難」と六條さん。過剰な広告費をかけている可能性がある、よく目にするクリニックほど「絶対に悪いとは言えませんが、黄色信号だと考えておくべき」とも、アドバイスします。

 だまされないためには、自分で自分の身を守るのも大切。六條さんは最後に、次のように語ってくれました。

「最近では『低価格』が定着しつつあるとはいえ、脱毛は安くとも数万円はかかります。信頼の置ける医療脱毛の先生から『事前に調べられる基礎知識すらない患者さんも多い』と聞いたこともありますが、よいクリニックをみきわめる力を養って、理想の“脱毛ライフ”を送ってほしいです」

<取材・文/カネコシュウヘイ>

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