日本テレビと読売テレビは4日、新たなお笑い賞レース『ダブルインパクト~漫才&コント二刀流No.1決定戦~』の開催を発表した。文字通り漫才とコント両方のネタを審査する大会で、出場資格は「2人以上」「プロアマ問わず」「芸歴制限なし」「ユニットも可」となっている。
『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)や『THE SECOND~漫才トーナメント~』(フジテレビ系)のような芸歴制限はなく、出場のハードルは低い。『M-1グランプリ』や『キングオブコント』などの歴代チャンピオンも出場可能なため、かまいたちやサンドウィッチマンといった各賞レースのチャンピオンの出場を期待する声がSNSに多く寄せられている。
◆松本人志なき今、誰が審査するのか?
「誰が出場するのか」だけでなく「誰が審査するのか」にも注目したい。『M-1グランプリ』や『キングオブコント』などの審査員は各賞レースの歴代チャンピオンが務めるケースが多い。だが過去に開催したことがない『ダブルインパクト』には当然まだチャンピオンはおらず、誰が審査員をやるのかは全く読めない。
『THE SECOND』では観客が審査するシステムを導入しているが、同様の採点方法を採用してしまえば『ダブルインパクト』の魅力が損なわれてしまいそうだ。審査員のコメントや着眼点も今では賞レースの醍醐味となっており、誰かに審査員を務めてほしいところ。
とりわけ各賞レースの第1回大会というものは、審査員が個性豊かな顔ぶれになりやすい。例えば、『M-1グランプリ』の初回は劇作家・演出家の鴻上尚史、元都知事の青島幸男などが審査員を務めた。『R-1グランプリ』(フジテレビ系)の初回はタレントの浜村淳、テレビプロデューサーの上沼真平、元体操選手の森末慎二など、様々な業界で活躍している人たちが並んだ。
◆審査員が芸人ばかりでは「滅びるよ」伊集院光も危惧
『M-1グランプリ2024』では、決勝の審査員9名全員が漫才師やM-1経験者だった。これについて、伊集院光は1月1日に放送された『あちこちオードリー』(テレビ東京系)内で、「M‐1の審査員っていつから、こんなに漫才の人だらけになったの?」「M-1に出たことある人たちで、しかもM-1がちゃんとステップになった人たちが全員、審査員でいいの?」と危機感を口にした。
さらに「見てる人も出てる人も、審査している人も、漫才通の人とかが『あそこ、もう1回天丼あってよかったよね』みたいな。『これは競技スタイルの漫才だから、早めにつかみの大きめの笑いを』みたいな。どんどん鋭角になっていく。滅びるよ」と発言。
たしかに審査員がその道のプロフェッショナルに偏ってしまうと、良くも悪くも多様性は失われやすい。視聴者が楽しめる漫才としての面白さでなく、競技テクニックばかりが重視されるのも怖い。これから始まる『ダブルインパクト』には、「審査員の顔ぶれが個性的」という独自の色がついてくれることを期待したい。
◆佐久間宣行や坂元裕二が審査員だったらワクワクする
ここからはお笑いファンの立場から、『ダブルインパクト』において「この人が審査員を務めたら面白そう」と思う人を芸人以外で挙げていきたい。
まずは前出の人物、『M-1グランプリ』の初回でも審査員を務めた劇作家・演出家の鴻上尚史。舞台の使い方やセリフの言い方など、劇作家特有の審査がなされればお笑いの新しい楽しみ方が見えてくるかもしれない。鴻上が手がける社会・文化や人生論のコラムもとても説得力と納得感があり、どのような言葉を出場者に伝えるのかも気になる。
次は『ゴッドタン』(テレビ東京系)などの人気バラエティ番組のプロデューサー佐久間宣行。長年バラエティ番組の制作に携わっており、そもそもどのような視点で芸人のネタを見ているのかは興味深い。またドラマや映画で多数のヒット作を生み出している、野木亜紀子や坂元裕二といった脚本家が審査員に加わるのも面白そうだ。ネタには当然台本があるため、セリフ選びやワードセンスなど、ネタの台本に対する脚本家ならではの解釈はぜひ聞いてみたい。
◆ミュージシャンやインフルエンサーの“新たな観点”
また、東京事変のベースを務め、ゆずやL’Arc〜en〜Cielなどそうそうたる有名アーティストのプロデューサーを務めてきたミュージシャンの亀田誠治も良いのではないか。Eテレの音楽教養番組『亀田音楽専門学校』では音楽理論をわかりやすく解説しており、ネタを“音”という観点から審査してほしい。
他にも、“視聴者代表”として若者から支持を集めているインフルエンサーが審査員になれば、伊集院が指摘したような大会の鋭角化は防げるのではないか。
とはいえ、現在は審査員も審査される時代。少しでも視聴者様が納得しない点数、発言をすれば炎上騒動に発展する。嬉しくはないが、ダブルインパクト』が『THE SECOND』のように、特定の審査員を設けず視聴者投票になる可能性も高そうだ。
<文/浅村サルディ>
【浅村サルディ】
芸能ネタ、炎上ネタが主食。好きなホルモンはマキシマム ザ ホルモン。
『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)や『THE SECOND~漫才トーナメント~』(フジテレビ系)のような芸歴制限はなく、出場のハードルは低い。『M-1グランプリ』や『キングオブコント』などの歴代チャンピオンも出場可能なため、かまいたちやサンドウィッチマンといった各賞レースのチャンピオンの出場を期待する声がSNSに多く寄せられている。
◆松本人志なき今、誰が審査するのか?
「誰が出場するのか」だけでなく「誰が審査するのか」にも注目したい。『M-1グランプリ』や『キングオブコント』などの審査員は各賞レースの歴代チャンピオンが務めるケースが多い。だが過去に開催したことがない『ダブルインパクト』には当然まだチャンピオンはおらず、誰が審査員をやるのかは全く読めない。
『THE SECOND』では観客が審査するシステムを導入しているが、同様の採点方法を採用してしまえば『ダブルインパクト』の魅力が損なわれてしまいそうだ。審査員のコメントや着眼点も今では賞レースの醍醐味となっており、誰かに審査員を務めてほしいところ。
とりわけ各賞レースの第1回大会というものは、審査員が個性豊かな顔ぶれになりやすい。例えば、『M-1グランプリ』の初回は劇作家・演出家の鴻上尚史、元都知事の青島幸男などが審査員を務めた。『R-1グランプリ』(フジテレビ系)の初回はタレントの浜村淳、テレビプロデューサーの上沼真平、元体操選手の森末慎二など、様々な業界で活躍している人たちが並んだ。
◆審査員が芸人ばかりでは「滅びるよ」伊集院光も危惧
『M-1グランプリ2024』では、決勝の審査員9名全員が漫才師やM-1経験者だった。これについて、伊集院光は1月1日に放送された『あちこちオードリー』(テレビ東京系)内で、「M‐1の審査員っていつから、こんなに漫才の人だらけになったの?」「M-1に出たことある人たちで、しかもM-1がちゃんとステップになった人たちが全員、審査員でいいの?」と危機感を口にした。
さらに「見てる人も出てる人も、審査している人も、漫才通の人とかが『あそこ、もう1回天丼あってよかったよね』みたいな。『これは競技スタイルの漫才だから、早めにつかみの大きめの笑いを』みたいな。どんどん鋭角になっていく。滅びるよ」と発言。
たしかに審査員がその道のプロフェッショナルに偏ってしまうと、良くも悪くも多様性は失われやすい。視聴者が楽しめる漫才としての面白さでなく、競技テクニックばかりが重視されるのも怖い。これから始まる『ダブルインパクト』には、「審査員の顔ぶれが個性的」という独自の色がついてくれることを期待したい。
◆佐久間宣行や坂元裕二が審査員だったらワクワクする
ここからはお笑いファンの立場から、『ダブルインパクト』において「この人が審査員を務めたら面白そう」と思う人を芸人以外で挙げていきたい。
まずは前出の人物、『M-1グランプリ』の初回でも審査員を務めた劇作家・演出家の鴻上尚史。舞台の使い方やセリフの言い方など、劇作家特有の審査がなされればお笑いの新しい楽しみ方が見えてくるかもしれない。鴻上が手がける社会・文化や人生論のコラムもとても説得力と納得感があり、どのような言葉を出場者に伝えるのかも気になる。
次は『ゴッドタン』(テレビ東京系)などの人気バラエティ番組のプロデューサー佐久間宣行。長年バラエティ番組の制作に携わっており、そもそもどのような視点で芸人のネタを見ているのかは興味深い。またドラマや映画で多数のヒット作を生み出している、野木亜紀子や坂元裕二といった脚本家が審査員に加わるのも面白そうだ。ネタには当然台本があるため、セリフ選びやワードセンスなど、ネタの台本に対する脚本家ならではの解釈はぜひ聞いてみたい。
◆ミュージシャンやインフルエンサーの“新たな観点”
また、東京事変のベースを務め、ゆずやL’Arc〜en〜Cielなどそうそうたる有名アーティストのプロデューサーを務めてきたミュージシャンの亀田誠治も良いのではないか。Eテレの音楽教養番組『亀田音楽専門学校』では音楽理論をわかりやすく解説しており、ネタを“音”という観点から審査してほしい。
他にも、“視聴者代表”として若者から支持を集めているインフルエンサーが審査員になれば、伊集院が指摘したような大会の鋭角化は防げるのではないか。
とはいえ、現在は審査員も審査される時代。少しでも視聴者様が納得しない点数、発言をすれば炎上騒動に発展する。嬉しくはないが、ダブルインパクト』が『THE SECOND』のように、特定の審査員を設けず視聴者投票になる可能性も高そうだ。
<文/浅村サルディ>
【浅村サルディ】
芸能ネタ、炎上ネタが主食。好きなホルモンはマキシマム ザ ホルモン。