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「年末には億の金が入る」…夫の「詐欺被害」が止まらない 始まりは池袋の街頭、悪質商法のわなに

カナロコ by 神奈川新聞 2023年12月3日 19時54分

 架空の投資話を持ちかけられて送金したものの、業者との連絡が取れなくなる「悪質商法」の被害が後を絶たない。アプリなどを悪用する手口が増加しており、自治体の担当者は「安易に信じてはいけない」と警鐘を鳴らす。

 川崎市内の60代女性が夫の異変に気付いたのは、2020年12月のことだった。クレジットカードの利用履歴を見ると、120万円が銀行口座から引き落とされていた。使った記憶は、全くなかった。夫に尋ねると、1カ月ほど前に東京・池袋の街頭で声をかけられたと話し始めた。

 外国為替証拠金取引(FX)のチャートが表示されているパネルを眺めていたところ、近くの事務所へ促されたという夫。FX投資の説明を受けているとクレジットカードの利用限度額を調べると言われ、信用して渡してしまった。その時は何をされたか分からなかったが、後に利用履歴で120万円が無断で使われていたことが判明した。

 夫はこの時期から、「宝くじが当たる」「支援金を受け取ることができる」「投資モニターに当選した」といったネット上の勧誘を信用するようになった。

 登録すると、事業者を名乗る人物からメールで「メンテナンス代が必要」「登録料を取り戻すには追加金が必要」などと連絡を受け、そのたびに貯金を切り崩していたという。支払いの際は、コンビニでプリペイドカードを購入して決済することもあった。

 夫がごみ箱に捨てていたメモには「6~12月、70万円投入→戻ってくる」「12月入会、2年で50万円。300万円出そうとしているところ。現在残高1億3千万円」「10~12月現在残高24億5千万円」などと記載されていた。女性が問い詰めると、夫は「年末には億の金が入る」と答えた。

 もちろんそんな大金が入金されることはなく、取り戻すどころか数々の業者と連絡が取れなくなっていった。夫が数百万円を投じた業者の電話番号にかけると「現在使われておりません」と自動音声が流れた。 

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