神奈川県小田原市が地元物産を海外に売り込もうと10月に米国でポップアップストアを開いた際、参加した守屋輝彦市長が同行職員の航空運賃の3倍以上となるビジネスクラスで渡航していたことが7日、分かった。市長による“トップセールス”の触れ込みでストア参加には約800万円の公費が投じられたが、現地参加したのは市内2社のみで売り上げ額も数十万円にとどまる。神奈川県内では世論に配慮し航空席のランクを下げる首長も多い中、事業の費用対効果を巡り批判の声も上がる。
守屋市長は10月28日から2泊4日で米サンフランシスコを訪問。同行した職員はエコノミークラスで航空運賃と宿泊費で計26万円だったのに対し、ビジネスクラスだった守屋市長は計97万円だった。食費などを含め市長と職員3人で計約220万円の旅費となったが、そのうち半分が市長の経費だった。
ストアは小田原産の木製品や小田原提灯(ちょうちん)、箱根寄木細工などをアピールするため、街の一角にあるジャパンタウン内のホテル1階にオープン。約80品目が並び、2日間で約900人が立ち寄った。
市は市内事業者に現地での協力を求めたが、参加したのは木製品メーカー2社のみだった。展示した商品の注文を会場で受け付けたが、注文は60件程度にとどまり、市は売上額を明かしていない。市担当者は「一人親方の職人が多く、渡航までできる人は少なく残念」と説明した。
守屋市長はストアのオープンセレモニーでテープカットに参加。現地の投資家や起業家らと「海外から見た日本の現状」などについて意見を交わしたという。