すでに存在しない自民党支部の掲示板などに神奈川県小田原市の守屋輝彦市長の政治活動用ポスターが貼られていた問題で、市選挙管理委員会が「公選法に抵触するおそれがある」とした市議会答弁が市内部の打ち合わせで「違法合法の判断はしない」と改変されていたことが12日、分かった。打ち合わせでは守屋市長が不満を漏らし、翌日に鳥海義文副市長と市選管の井原義雄委員長が面談。その後、答弁が差し替えられたことから、関係者からは「選管の独立性への圧力では」と疑問の声も上がっている。
直前に改変されたのは12日の小谷英次郎氏(志民・維新の会)の一般質問に対する市選管の答弁。問題を巡っては守屋市長のポスターが公選法で認められていない方法で市内数百カ所に3年以上も貼られていたことが発覚し、守屋市長側が8月に一斉撤去した。その後、政治団体主催の演説会告知の名目で新たなポスターに張り替えた。
関係者によると、市選管職員が作成した当初の答弁案では昨年8月に問題が発覚したポスターについて、ボードに貼られ、印刷者の氏名などの記載が不十分だったことから「公選法に抵触するおそれがある」と指摘。新たに張り替えられたポスターについても「演説会弁士の氏名や顔写真が氏名の普及宣伝ととられる恐れはある」と言及した。
しかし、差し替えられた答弁では違法性に関する言及は削除され「公選法に定めた掲示方法について掲示責任者に指摘した」と表現が後退。新しいポスターについても「(候補者などの)特定人を目立たせるなどの普及宣伝と取られないよう注意する必要がある」と明確な言及を避けた。