同僚から馬乗りで殴られ、上司に5時間叱責されることも─。神奈川県小田原市がパワーハラスメントを繰り返した職員の処分を3年以上放置した問題を巡り、市が2022、23年に実施した職員アンケートで、職場での暴力のほか手当や休暇が認められない嫌がらせなどのハラスメント被害が訴えられていたことが14日、分かった。
相談窓口に訴えても調査もされず、被害者の声を“黙殺”する組織体質も指摘。回答には「ハラスメントがなかった職場はない。弱肉強食、弱い職員は辞めるか、療養休暇」と心の叫びがつづられている。
アンケートは22年に全職員(3702人)を対象に行われ、1791人が回答。市消防本部も23年に2回行った。全体アンケートでは回答者の43%に当たる775人がハラスメントを「過去と現在に受けたり見聞きしたりした」と回答。複数回答でパワハラが690件、セクハラが229件あったとし、「上司や同僚、相談窓口に相談したが解決していない」という回答も149件に上った。
「未解決」とされたハラスメントでは管理職による隠蔽(いんぺい)が横行。パワハラからうつとなり職員が退職したケースでは退職届で加害者の実名を入れて「パワハラで仕事を続けられなくなった」と告発したが、職場では全く関係のない理由で「メンタルが弱った」と周知されたという。
別の回答でも「退職の本当の理由がカムフラージュされ、また新たに同僚がつらい目にあい、朝の更衣室で涙する姿も目撃した」と記されるなど、加害者が処分されないことで被害が連鎖し続ける実態が明らかになった。