県内で忘年会や新年会が復調傾向だ。新型コロナウイルスが5類に移行して初めての年末年始。少人数開催が根強いものの、エリアによっては大人数も復活、営業を再開した店もある。ただ、全般的に大人数の宴会はコロナ禍前の水準にまで戻ったとはいえず、企業は集客に知恵を絞る。
「皆さん、今年はお疲れさまでした!」、「乾杯!」…。横浜市中区の関内駅周辺では飲食店からにぎやかな声が聞こえてくる。各店で宴席が開かれ、活気ある年末の姿が戻りつつある。飲食店「ポン吉」(同)では、10~12月の予約件数がコロナ禍前の2019年と比べて1割増えた。中でも10人以上の宴会の予約が前年と比べて伸びており、12月は30人以上の貸し切り予約が4件あるという。同店は「忘年会を目的とした利用は多い。1月の新年会(の予約)も徐々に入っている」という。
横浜中華街の華正樓(同)は今年10月に本店の営業を再開した。本店は200人以上の宴会に対応できるが、新型コロナの影響で予約がほとんどなくなり休館していた。宴会は営業を継続していた新館で受け付けていたが、5類移行で予約が増え部屋が足りなくなることもあり、本店の再開を決めたという。週末を中心に予約は増え、年末年始は既に本店も予約で埋まっている日もある。担当者は「大人数の会議や観光客などが回復したことで予約が増えている」と喜ぶ。
宴会の需要増とともに、ビールの消費も増えている。キリンビール横浜工場(同市鶴見区)によると、「一番搾り」の業務用の12月1~7日の出荷実績は瓶は前年比約3割増、たるは同約2割増という。12月の製造は、瓶とたる合計で同約1割増と増産を予定する。「5類移行後初の忘新年会を楽しんでいただき、ビールとともにひと時を過ごしてほしい」と担当者はアピールする。