自民党安倍派(清和政策研究会)のパーティー券収入隠しを巡る議員会館への家宅捜索、柿沢未途前法務副大臣の公選法違反容疑での逮捕と、年の瀬に活発化する東京地検特捜部の動きに自民党がいらだちを募らせている。
27日の東京地裁判決が大川原化工機(横浜市都筑区)を巡る同地検の起訴などを違法と断じたことを引き「検察は他の事件をかぶせ『捏造(ねつぞう)批判』を隠そうとしている」(閣僚経験者)との風評拡散も見られる。検察への恨み節と党総裁として後手後手の岸田文雄首相への不満を交え、世論の矛先をずらすのに必死なようだ。
「捏造隠し」との指摘に、法務省や捜査関係者の間からは「個々の捜査は独立して行われており、捜査着手の判断は法と証拠に基づき適切に行われている」(同省幹部)と反発の声が上がる。「ニュースの扱いに大小はあっても判決自体が消えるわけではない」(同)との「もっともらしい説明」(党職員)も広がるなど、政治と司法の情報戦の様相も呈してきた。
自民いらだちの背景は27、28日と続いた議員会館への家宅捜索が松野博一前官房長官ら「安倍派5人衆」ではなく別の議員の部屋に入ったこと。「公的な場がガサ入れ対象となっただけでも衝撃だが、本命とは別ルートからの着手へと広がったことも深刻。今後は疑惑の本丸(5人衆)への家宅捜索が続き連日マスコミにたたかれるかも知れない」(自民幹部)からだ。