自民党安倍派(清和政策研究会)を中心としたパーティー券裏金事件を巡る対策立案のため岸田文雄首相(同党総裁)が立ち上げた政治刷新本部が、開始早々から「脱派閥」と「派閥容認」の2派に真っ二つの状態となっている。
最高顧問で無派閥の菅義偉前首相(衆院2区)が11日の初会合で「派閥を解消しないと国民の信頼を得られない」と明言したことがきっかけ。「無派閥は少数で、孤立無援になる」との首相周辺の楽観論を覆し党内外で「派閥無用論」が広がり始めている。
同本部メンバーの国会議員38人のうち10人が安倍派。無派閥は、批判を受けて自派会長を一時的に下りた岸田首相を含め同数の10人だ。安倍派をはじめとした派閥議員が多数を占めていることで「容認派優勢」の見方があった。しかし、世論の逆風が強いこともあって「会合でも容易に意見表明ができない」(派閥所属のメンバー)状態に陥っているようだ。
もともと安倍派が多数を占めたメンバー構成に党内からは「始める前から終わっている」(閣僚経験者)との批判も相次ぐ。同本部関係者は「青年局や女性局役員経験者からの人選でたまたま安倍派が重なった」と釈明。しかし、学校になぞらえた「校則を守っていない生徒に校則を作らせようとしている」(同)といった疑念が渦巻いている。