富士山を遠望する相模原市緑区の里山を中心に、山紫水明の風景を描いた「鳥瞰(ちょうかん)図」が完成した。企画・制作したのは同市の観光振興に力を注ぐ相模原商工会議所副会頭の原幹朗さん(75)=北辰企業社長。絵図には市内外の山々や河川のほか、各地の特産品や名所が描かれている。原さんは「絵図にある各地域の人々と連携しながら、広域観光を実現したい。鳥瞰図がその第一歩になればうれしい」と語る。
タイトルは「奥さがみ 道志・桂川 散策絵図」。奥さがみは旧津久井郡4町(城山、津久井、相模湖、藤野)の地域を指す。絵図には奥さがみの里山を中心に、富士山麓の山中湖に水源を発する桂川(相模川)や、山梨県道志村から相模原市緑区まで流れる道志川の水域が立体的に描かれている。
特徴的なのは絵図の区域が相模原市に限らず、山梨県と東京都を含む5市4町4村にまたがっていることだ。原さんは「この区域設定こそが鳥瞰図制作のきっかけであり、目的だった」と話す。
鳥瞰図の構想が生まれたのは3年前、東京五輪がきっかけだった。同市も舞台になった自転車ロードレース競技のコースは東京、神奈川、山梨、静岡と1都3県にまたがったが、それぞれの自治体が作成したマップはその自治体内のみのコースを掲載したものが大半で、コースが分断されてしまっていたという。
東京から富士山麓までの景色の変化と雄大な地形はコースの大きな魅力だ。「こうした映像やマップを観光資源として世界に発信する大きなチャンスだっただけに、非常に残念だった」と原さん。かねて広域観光の必要性を感じていたこともあり、広域にまたがる鳥瞰図を発案した。