コンピューターゲームの対戦をスポーツ競技として捉える「eスポーツ部」創設に向けて県立西湘高校(神奈川県小田原市酒匂)の生徒たちが汗を流している。まずは同好会設立へ“部員”25人を集めたが、認めてもらうためには十分な活動実績を示さなければならず、同好会から部活への昇格となればさらにハードルは高くなる。生徒たちは「自分たちは文化部でなく運動部。大会を勝ち進んで優勝し、部への昇格が大きな目標」と日々の研さんを重ねる。
午後4時過ぎ、特別教室に生徒5人が集まり、eスポーツ専用のノートパソコンをつないでゲーム画面を立ち上げた。eスポーツの全国高校対抗大会(ステージゼロ)の競技種目にもなっているシューティングゲーム「ヴァロラント」だ。5人が1チームとなり銃撃戦の練度を上げる。
eスポーツ振興を図る小田原市もeスポーツ部創設を後押しし、2023年11月にはモデル校として5台の高性能パソコンや機材を無償貸与。それまでスマートフォンで週1回だった練習は、回数もプレイできるタイトルも増えた。
eスポーツ部の呼びかけ人は自らもアーケードゲーム好きという情報科の永石健人教諭(29)。運動部の活発な同校で「どうしてもスポーツが苦手な生徒たちが埋もれがち。そんな生徒にも活躍できる場所をつくりたい」と授業の合間に生徒たちを勧誘した。
ただ、県内でもeスポーツ部のある公立高校はほとんどない。部設立へ向けて、練習に励む傍ら周囲のeスポーツへの先入観を除こうと教員向けの体験会も開き、同年3月にチーム戦略バトルゲーム「ポケモンユナイト」を使った市主催の大会に生徒3人と初めて出場した。
同4月には学校側に同好会設立を申請したが、判断は保留。1年間の活動実績が評価されて同好会設立が認められれば、県西部で初めてとなるeスポーツ部に向け大きな一歩となる。