能登半島地震で震度5弱を観測した石川県内灘町は深刻な液状化の被害に見舞われた。家々は傾き、地中から噴き出した砂などが至る所に堆積。1メートル近く隆起し、路面がめくれ上がった状態の道路もある。「この町にはもう住めない」「移住者が減ってしまう」。県都・金沢市に隣接するベッドタウンが、足元から顕在化した地盤のリスクにあえいでいる。
天井に亀裂が入り、その裂け目から屋根瓦やほこりがこぼれ落ちていた。1階の和室は床が盛り上がって畳がめくれ、歩くことさえおぼつかない状況だ。
地震から5日後の今月6日、日本海に面した内灘町の西荒屋地区。傾いた築約60年の木造2階建ての自宅で、会社員川辺洋行さん(64)が嘆いた。「断水しており、風呂にも入れない」
住み続けることが困難になり、知人宅への避難も強いられた川辺さんは「落ち着いたら、自宅を取り壊して更地にするしかない。老後の生活が不安」と声を落とした。