能登半島地震の被災地・石川県では、現在も多くの人が避難所での生活を余儀なくされている。輪島市の避難所で医療支援に当たった医師と能登町への医療物資支援に取り組んだ逗子市内の会社役員の2人が活動を振り返った。避難所では支援が必要な物資についての情報共有がままならない状況で「圧倒的なマンパワー不足」だったという。
「さかい内科・胃腸科クリニック」(神奈川県鎌倉市雪の下)で院長を務める内科医の酒井太郎さん(54)は500人以上が避難した輪島市立輪島中学校で、1月14日から17日まで医療支援に携わった。東日本大震災、熊本地震の被災地で医療支援を行った経験から、課題と感じたのは避難所運営に関わる人の少なさだったという。
避難者のリストはあっても、広い学校内のどこに誰がいるのか把握できていなかった。支援物資は次々と運び込まれていたが、仕分けができず避難所で何が足りないのか、情報共有もままならなかったという。
避難所を出て行った人の荷物は片付けられておらず、地震で割れたガラスや崩れた壁もそのまま。届いた段ボールベッドも組み立てられていなかった。「圧倒的なマンパワー不足。避難しているのは自宅を失って疲れ切った高齢者が多く、避難者自身が避難所運営を担うのは難しい」と懸念する。