神奈川県は8日、2024年度当初予算案を発表した。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う対策費の大幅な縮減で、一般会計は昨年の知事選後の本格予算に比べ7.8%減の2兆1045億円で2年連続の減少。それでも過去3番目の規模となった。税収の堅調な推移が見込まれることなどから、県債の新規発行額は3年連続で減少の見込み。財政健全化に努めるとともに、少子化に歯止めを掛ける子ども関連施策や脱炭素社会への取り組みなどに充当する。予算案は13日開会の県議会第1回定例会に提出する。
一般、特別、企業会計の総額も4.1%減の4兆5117億円で7年ぶりに減少した。黒岩祐治知事は会見で「(40年の神奈川を見据えて新たに策定する)総合計画に掲げる施策を着実に推進するための予算として編成した」と述べた。
一般会計歳入の6割強を占める県税は0.2%増の1兆3356億円を計上。当初予算額ベースでは過去最大で、好調な企業収益を反映して法人2税(県民税、事業税)が4.4%増、個人県民税も政府の定額減税の影響を受けるものの、賃上げによる個人所得の増加で1.3%増を見込む。
借金に当たる県債の新規発行額は289億円減の1074億円に減少。うち臨時財政対策債の発行は300億円で、01年度の制度開始以降、2番目に小さい規模となる。
24年度末の県債残高は2兆8820億円に減少する見通し。県は23年度末までに同残高を2兆円台とする目標を掲げたが、1年遅れで達成を視野に入れる。
歳出に占める義務的経費の割合は80.5%で8.3ポイント上昇。新型コロナ対策費が政策的経費に含まれていたためで、4年ぶりに8割を超えた。退職手当の増加などで人件費が6.3%増の5230億円、高齢化の進行などで介護・医療・児童関係費が4.7%増の4672億円に膨らんだ。
喫緊の課題である「子ども・子育て支援」に1806億円を配分。30年度の温室効果ガス排出量を13年度比で半減する中期目標の達成に向け、脱炭素対策に153億円を計上した。共生社会の実現や生活困窮者支援に914億円を充てる。
地域交通の確保策として、一般ドライバーが自家用車を使い有償で客を運ぶ「ライドシェア」を三浦市で夜間帯に導入するための実証実験費用も計上。政令、中核市に対する重度障害者医療費や小児医療費など6事業の県単独補助金の補助率をそれ以外の市町村と同等に引き上げる措置(約30億円充当)も盛り込んだ。
【2024年度当初予算案】
一般会計 2兆1045億円(7.8%減)
特別会計 2兆2469億円(0.4%減)
企業会計 1603億円(2.2%減)
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総 計 4兆5117億円(4.1%減)
※1億円未満切り捨てで、合計が一致しない場合がある
※カッコ内は2023年度6月補正後との比較