全国的に空き家の増加が問題となっている中、相模原市は空き家の発生と悪化の未然防止に力を入れている。先月には民間企業と協定を結び、市内にある空き家の解体費や土地の売却額を無料で算出できる取り組みをスタートした。市は「家族間などで『住まいの終活』について話し合っておくことで空き家の発生を防げる。対応次第では次に生かすこともできる」とし、早期の対応を呼びかける。
居住目的のない空き家は全国的に増え続け、この20年で1.9倍に増加した。総務省が2018年に実施した調査によると、相模原市内にある売却や賃貸の対象にならない空き家は1万400戸。市民からの相談や苦情を受け、市が対応している空き家は昨年末時点で220戸に上り、倒壊の危険がある「特定空き家」は3戸あるという。
市が空き家の対策に力を入れる背景には、昨年12月施行の改正空き家対策特措法がある。特定空き家の前段階となる物件を新たに「管理不全空き家」とする規定を新設。所有者が自治体の改善指導に従わず、勧告に至った場合、特定空き家と同様に固定資産税の軽減対象から外れることとなった。
同法は状態が悪化する前に活用や撤去を促すが、空き家が発生する原因は所有者の高齢化や転勤、相続などさまざまで、対策は個々で異なる。