一般ドライバーが自家用車を使って有償で客を運ぶ「ライドシェア」の実現を心待ちにしている人が、神奈川県三浦市にいる。三崎地区の夜間タクシー不足に危機感を抱き、4年前から導入を提唱し続けてきた寺田一樹市議(無所属)だ。市内では間もなく実証実験が始まる予定だが、寺田さんは「実験で終わっては意味がない」と話し、定着させるための公的支援の必要性を説く。
寺田さんがライドシェアを市議会で初めて取り上げたのは2020年3月の一般質問。運転手不足のため三崎地区で夜間タクシーが減少していることを指摘し、国家戦略特区を活用して規制の撤廃に努め、タクシー会社の管理下で導入するよう提案した。だが市の答弁は「具体的な相談があったら検討し、支援していきたい」と素っ気ないものだった。
22年夏、市内に営業所を持つタクシー会社の一つが午後7時以降の営業を取りやめた。その年の12月の市議会で、寺田さんは「地域経済の衰退が始まっている」と警鐘を鳴らし、導入を強く促した。それでも市は「まずタクシー事業者の意見を聞き、他自治体の事例を調査することから始めたい」と答えるにとどめた。
昨年9月の市議会でも「市が実施主体となって取り組まなければ解決しない」と訴え、地元関係者と協議するよう迫ったが、市は「夜間タクシーの減少に対してライドシェアを活用した事例は他自治体で確認できず、協議する予定はない」と突っぱねた。