2024年度予算案の衆院通過に向け、審議不足を指摘する声が国会内で強まっている。少子化対策財源確保のため公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」を巡る政府答弁が「1人当たり月平均500円弱」から「1千円超え」へと倍増するなど説明不足が目立つからだ。予算委員会では26日の審議を加えても通算69時間で、採決の目安とされる70時間台に届いていない。29日の公聴会後の審議積み増しは避けられない状態だ。
予算委での説明において支援金の額は「みるみる倍増中」(立民議員)だ。岸田文雄首相は今月6日に「粗い試算だが」との前置きで「28年度は加入者1人当たり月平均500円弱になると見込む」と答弁。「支援金を導入してもそれ以上の賃上げがあり国民に実質的な負担が生じない」との説明を繰り返した。
ところが加藤鮎子こども政策担当相は21日、日本総合研究所の西沢和彦理事の試算を引いた立憲民主党の早稲田夕季氏(衆院神奈川4区)から「負担額は加入している医療保険制度や所得によっては500円を超すのではないか」と指摘されると「可能性はある」と認めた。翌22日には立民の石川香織氏から「国民負担が1千円を超える可能性があるのでは」とただされると「可能性としてはあり得る」と答弁。「500円弱」が2週間ほどで「1千円超え」に膨らんだ格好だ。
26日の予算委では立民の岡本章子氏が「支援金ではなく負担金だ。正直に国民に頭を下げてお願いすべきことだ」と指摘した。しかし首相は「賃上げに伴い実質負担は生じない」などと反論。「1千円超え」についても「世帯負担であって500円弱の個人単位の負担とは物差しが違う」と突っぱねた。岡本氏から「早稲田さんも石川さんも『それなら個人単位でいくらになるのか』を問うてきた。でも説明しない。私にも答えないのか」と詰め寄られたが、「法案審議までには整理する」とかわした。