3月7日はサウナの日-。近年のサウナブームを受けて、激戦区の横浜周辺ではサウナを起点に多くの人が訪れている。各施設では人気のイベント開催や飲食店との連携などで、街の活性化につなげる動きもある。
「約800人訪れる日もある。年代問わず利用いただいている」。横浜駅のスカイビル14階スカイスパYOKOHAMA(横浜市西区)を運営する国際企業の郷地健人主任は話す。近年のサウナブームに加えて新型コロナウイルス感染症の5類移行で利用者が増えているという。
同施設は100人以上収容できる大型サウナ室「サウナシアター」で実施するイベントや、最大14時間利用可能(平日)などの取り組みで人気を集める。「周辺はサウナ施設が多い。個性を表現することが選ばれる要素だ」
ビジネスホテルのレンブラントスタイル横浜関内(同市中区)では、1人やカップルで利用できる完全個室のプライベートサウナを2022年から運営、部屋には2人掛けのサウナや水風呂を設置する。「認知は広がり、安定的な利用がある」と同ホテルの浜谷浩之支配人。
◆中華街誘客にも
温浴施設情報サイト「ニフティ温泉」には、サウナを伴う温浴施設が横浜では65施設記載され、サウナを観光の目的の一つとして訪れる人もいる。
同サイトを運営するニフティライフスタイル(東京都)の川名結有編集長は「横浜周辺はサウナ激戦区」と捉えている。音楽と組み合わせたサービスや18歳以上限定施設など、他地域と比べてオリジナリティーを取り入れるところが多いという。
サウナ後に食べるご飯「サウナ飯」やサウナを巡る「サウナ旅」などに合わせたサービスの提供も増えている。「街とコラボレーションした企画やサウナグッズを充実した催しなども目立つ」と川名編集長。
服飾雑貨店「チャイハネ」などを展開するアミナコレクションは、コロナ禍で減った観光客を中華街に呼び戻そうと、「HARE-TABI SAUNA&INN」(同市中区)を23年4月にオープン。男性浴室には蒸気機関のような水車型サウナストーブや、中華街の老舗漢方薬局『更生堂』から取り寄せた漢方を水風呂などに入れる。
同店のサウナ利用のレシートを一部の中華街飲食店で提示すると、オリジナルのサウナ飯が食べられるサービスも展開する。
浜銀総合研究所(同市西区)の遠藤裕基上席主任研究員は「横浜は日帰りの観光需要が多い。サウナが集積すれば人が集まり、相乗効果で飲食店などにも人が訪れる。サウナとコラボレーションした新サービスなどが生まれ、街の活性化につながる」と話す。県観光協会の望月淳会長も「横浜のサウナを起点に人が集まれば、他の地域への周遊に訪れるきっかけとなる」と期待する。