相変わらずのタフガイが寒さも吹き飛ばした。
横浜DeNAは8日の日本ハムとのオープン戦(横浜)で4―4で引き分けた。八回に5番手でオープン戦初登板を果たしたウェンデルケンは1回無失点の好投。昨季61試合に登板してブルペン陣を下支えした頼れる助っ人が、来日2年目を迎えようとしている。
早朝には雪も降った極寒のハマスタ。右腕は試合前にノースリーブ姿で練習し、ゲームでは半袖姿で登場した。その意図を本人に尋ねてみると、「投げやすさの問題さ。投げるときにアンダーシャツなどを着たくないタイプなんだ。投げ終わったらしっかりジャケットを着ているよ」。確かに出身の米・ジョージア州は温暖な気候で、特別寒さに強いわけでもやせ我慢でもないという。マウンド上では2奪三振をマークするなど、調整は順調のようだ。
昨季は長年チームに在籍していたエスコバー(カブス)から助言を受け、新しい環境に順応した。今季はケイやジャクソンといった新外国人選手たちに「できる限りアドバイスをしている。でも野球のことよりは、日本の街や正しい電車の乗り方などさ」と日常生活でのサポート役を買って出ている。このあたりの外国人選手同士のニューカマーへの面倒見の良さは、球団の伝統と言ってもいい。
チームを去ったエスコバーとは昨季終盤にこんな会話もあった。「互いの去就が違ってくるということは感じていた。『けがをせず頑張ろう』というやり取りがあった」と明かす。最近は連絡を取り合っていないというが、「僕らはプロ。それぞれやるべきことが分かっている」と言葉にせずとも、入れ替わりの激しい厳しい世界を共に過ごした絆は色あせない。
ウェンデルケンは異国の地になじむすべを知っており、それは成功の鍵を握る重要な能力の一つでもある。日本語も積極的に覚え、最近のお気に入りフレーズは「エブリデイ・タノシム」だそう。その言葉通りに助っ人たちの先頭に立って、万全なシーズンを迎えてくれるだろう。