揚げ物料理などに使った食用油(廃食油)を家庭から回収し、航空燃料の原料にする試みが横浜市で始まる。従来の燃料との置き換えを進めることで、二酸化炭素(CO2)の排出量削減につなげる狙いだ。取り組みを主導する日本航空(JAL、東京都)は、6月からの本格運用に向けて同市と協定を結び、市民に協力を呼びかけていく。
植物由来の廃食油などから精製する航空燃料は「SAF」と呼ばれる。従来の燃料と比べ、原材料の生産から燃焼に至る過程でCO2排出量を大幅に削減できるため、脱炭素化の手段が乏しい航空業界の切り札として注目を集めている。
JALはイオングループとの連携により、スーパー「イオンフードスタイル鴨居店」(同市緑区)に廃食油の回収ボックス1基を設置。来店者に廃食油の取り置きを呼びかけ、6月5日に回収を始める。設置店舗は順次、拡大を図っていくという。
廃食油は誰でも持ち込める。ペットボトルで保管すると、容器に汚れが付いてリサイクルが難しくなることから、同社は「マイボトル」の利用を推奨。回収専用ボトル(容量1リットル)も作り、1本220円で販売する。
集まった廃食油は、燃料開発を手がける京都市の企業に売却する。この企業と日揮ホールディングス(横浜市西区)などが設立した新会社が、堺市で建設中のプラントでSAFを製造する。