プレハブ小屋などの建築物を無許可で設置するケースが横浜市内で後を絶たない。市は事故や火災の原因になりかねないとして撤去や是正を求めているが、「除却は所有者任せ」のため、思うように改善されないのが現状だ。1月には、是正指導してきた同市戸塚区内のマンション屋上で火災が発生し、違反建築物のプレハブ小屋などが燃えた。出火原因は不明で屋上以外への延焼はなかったものの、市建築局違反対策課の担当者は「事故や火災を防ぐためにも、消防や警察と連携して注意喚起していく」と話している。
同区内の4階建てマンションで火災が発生したのは、1月23日午後3時過ぎ。黒煙が上がり、屋上を炎が包み込んだ。現場に居合わせた近隣住民の男性は「屋上には覆いかぶさるように小屋が立っていて、火事になったら大変なことになるんじゃないかと心配していた」と眉をひそめ、不安そうに炎の行方を見つめた。
約150平方メートルの屋上には大部分を占めるようにプレハブ小屋が設置されていたが、市の許可は得ていなかった。同課はこれまで所有者の男性に再三にわたり書面で改善を求めてきたが、男性は「費用がない」と応じてこなかったという。
警察や消防によると、出火原因は分かっていない。男性は今月15日、神奈川新聞社の取材に「(自分自身)やけどはしたが、もう回復している。プレハブなどは火災後に撤去した。火が周囲に燃え移らず、迷惑をかけずに済んだ」とほっとしたように語った。