全国で観光イベントなどを主催する日本観光振興協会は神奈川県鎌倉市や市観光協会などでつくる「日本遺産いざ鎌倉協議会」と協力し、公共交通機関を使って効率よく日本遺産に登録された鎌倉の名所を観光できる四つのモデルルートを策定した。参詣、武士道・仏教、文化人、女性というテーマを設定し、さまざまな場所を1日で巡ることができるよう工夫が凝らされている。
市内はJR北鎌倉駅周辺、鶴岡八幡宮周辺、鎌倉大仏(高徳院)周辺の“ゴールデンルート”と呼ばれる3カ所に観光客が集中しており、新たなルートを提案することで観光の分散化や新たな魅力を発信する狙いがある。地域の交通事業者などと約2年かけて選定した。
鎌倉文化人の足跡をたどるルートは北鎌倉駅をスタート。島崎藤村らが投宿していた円覚寺、夏目漱石の俳句で知られる建長寺、鶴岡八幡宮を巡り、鎌倉宮で昼食を取る。小説家の永井龍男が作品の舞台とした瑞泉寺、源実朝が歌会を開いていた永福寺跡や旧諸戸邸を巡る。
さまざまな時代の女性の生活や考えに思いをはせるルートでは、女性が駆け込めば離縁できる寺法が明治時代まで残っていた東慶寺、鎌倉唯一の尼寺の英勝寺、北条政子が開いた寿福寺、与謝野晶子の歌碑がある鎌倉大仏などを観光できる。
どのルートも公共交通機関の周遊パスなどが利用でき、1日で多くの日本遺産を巡ることができる。同協会の担当者は「鎌倉の新たな魅力発信や分散型観光につながれば」と話している。
詳しいルートは、市内観光ポータルサイト「鎌倉観光公式ガイド(https://www.trip-kamakura.com/)」で紹介されている。