日本を代表する建築家黒川紀章氏(1934~2007年)の傑作として知られ、22年に解体された集合住宅「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」(東京都中央区)のカプセル5個を利用した宿泊施設が今秋、長井海の手公園「ソレイユの丘」(横須賀市長井)にオープンする。現在、鎌倉市の不動産会社「エンジョイワークス」によるプロジェクトが進行中で、同社の担当者は「中銀カプセルが複数置かれるのはソレイユの丘だけ。滞在できるのも世界で唯一」と話しており、国内外の注目を集めそうだ。
東京・銀座8丁目にあった同ビルは1972年に建設され、建物や都市の「新陳代謝」を提唱した黒川氏らの建築理論「メタボリズム」の象徴だった。箱状の住宅用「カプセル」を140個組み合わせ、25年ごとに交換する構想だったが交換されることはなく、老朽化のため解体された。
解体後、カプセル140個のうち23個は「同ビル保存・再生プロジェクト」として保存・修復され、現在は国内外の美術館での展示などで貸し出しや譲渡されている。円い窓が特徴的なカプセルは幅2.7メートル、奥行き4.2メートル、高さ2.55メートル。今回は同社が同プロジェクトから5個を借りて、宿泊施設として再生させる。