庁舎が完成した2020年から空き状態が続いている神奈川県庁東庁舎(横浜市中区日本大通)12階のレストランスペースを巡り、店舗設置・運営事業者の選定がまたも不調に終わった。新型コロナウイルス禍や資金繰りを理由に選定事業者による辞退が相次ぎ、「三度目の正直」を試みた今年1月の再募集では年間賃料を下げるなど条件を見直したが、手は挙がらなかった。県議会関係者からは「このままでは空間の価値を毀損(きそん)しているだけ。心配した通りの結果になった」との声が漏れる。
県庁本庁舎などの「横浜三塔」や横浜港が見渡せる地上47メートルの展望レストランスペース。黒岩祐治知事はこれまで「素晴らしいロケーション。レストランとして活用できれば、海外からの客を招くパーティー会場などにもなるのではないか」と募集に熱を入れていた。
県庁舎管理課によると、1回目(20年3月)の募集は新型コロナ感染拡大の影響で、2回目(22年3月)は資金調達のめどが立たないことを理由に、それぞれ事業者が辞退した。スペースは内装設備がない“スケルトン”状態で、初期投資費用が高額になる懸念から、3回目(24年1月下旬)では新たに換気設備を取り付け、年間賃料の下限を約2120万円から約930万円引き下げるなど「精いっぱいの金額」(同課)で臨んでいた。結果は、入札参加の申請はあったものの、実際の入札は0件。今後の募集はまだ決まっていないという。