心身の機能が低下し、一人での外出に不安を覚える高齢者の買い物を地域で支える「スローショッピング」が横浜市で始まった。地域のボランティアが商品選びや支払いなどをサポートし、スーパーは周囲の目を気にせず会計ができるように専用レジなどを用意。買い物の「バリアー」を減らすことで、高齢者が自ら出かけ、地域と交流する機会を生み出そうとしている。
「小麦粉は詰め替え用もあるけれど、どっちがいい」。17日、栄区のイトーヨーカドー桂台店。オレンジ色のバンダナを首に巻いたボランティアが二つの商品を手に女性(90)に声をかけた。女性は「ありがとう」と商品を受け取り、「安心して買い物ができる。とても助かっています」と笑顔を見せた。
スローショッピングでは、ボランティアが高齢者とともに店内を回り、商品選びや支払い、袋詰めなどを手助けする。専用レジも設置し、参加者は自分のペースで支払いができる。購入品はボランティアが自宅の玄関まで運んでくれ、この日は4人が利用した。
なぜ、スローショッピングが必要なのか。市桂台地域ケアプラザの勝呂朋子所長は「買い物をしたくても1人ではなかなかできないという相談を受けてきた」と明かす。高齢になると認知機能などが低下し、似たような商品から必要なものを選べなくなったり、会計で戸惑ったりするなど買い物のバリアーは増える。「ヘルパーに買い物を頼むこともできるが、自分の目で商品を見たり、支払いをしたりする機会をつくりたかった。店舗に並ぶ商品で季節を感じることができるし、地域の人とも交流ができる」と意義を話す。