横浜市教育委員会がいじめ防止対策推進法に基づく重大事態として取り扱う方向で検討している子どもの自殺事案が、市立中2年の女子生徒がいじめを苦に自死した2020年3月以降に起きたことが関係者への取材で分かった。女子生徒の事案では学校と市教委が同法違反に該当する対応を繰り返したことが明らかになっている。関係者は「女子生徒の事案後、市教委が即座に再発防止策をまとめて各校に徹底させていれば、その後の自死事案を防げた可能性がある」と指摘、後手に回る市教委の対応を問題視している。
女子生徒の事案では、第三者組織の調査によって、学校と市教委のずさんな対応が明らかになった。
生徒はからかいなどの被害を担任教諭に相談したが、同法に沿った組織的対応はなされず、クラスで孤立を深めた末に不登校になった。
同法では不登校や自死の要因にいじめが疑われる場合、速やかに重大事態調査を行うよう求めている。自死後にも遺族はいじめ被害を訴えたが、市教委が重大事態と認定したのは自死から約7カ月後だった。
学校や市教委のこうした対応について、第三者組織が今年3月に報告書を公表。市教委はその後の市会常任委員会などで、同法違反に該当する対応があったことを初めて認めた。関係者は「市教委が報告書を待たずに『自死をなぜ防げなかったのか』『法に基づく対応を怠った学校と市教委の過ちは何か』などを自ら検証し、再発防止策を打ち出していれば、他校で自死事案が起きるのを防げたのではないか」と指摘する。