過密日程が続くJ1横浜Mで、リーグ全試合に出場しているのがMF山根陸だ。2列目も、守備的MFも器用にこなす20歳。「将来的には中盤の三角形のどこでもできるというのが一番いい。そうじゃなきゃ生きていけない」と熾烈(しれつ)なポジション争いに挑んでいる。
「より競争も激しくなってくるし、気は抜けない」。29日の全体練習を終えた山根は、そう言って眼光を鋭くした。植中、榊原といった若手が結果を残し、喜田、渡辺皓も復帰間近。トレードマークの向上心はなお一層高まっている。
欠場したのはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の1試合のみ。変幻自在に中盤の形を変えるキューウェル流にあって、状況に応じて適宜役割を遂行できる能力は価値を高めている。象徴的だったのが東京VとのJ1開幕戦だった。
スタートは「4─1─2─3」の逆三角形。後半の頭から中盤を正三角形にすると、以降も選手交代のたびに形は変化。その間、山根はインサイドハーフ、トップ下、ボランチ、はアンカーと目まぐるしく動いていた。
あれから2カ月。まだ進化の途上であると自覚する。「アンカーは昨年のボランチっぽい感じがあるイメージなので、どっちかというとインサイドハーフの方をもっともっと高めていくのが必要」。実戦を通じてトライアンドエラーの好循環を回している。