神奈川県内4番目の自動車ナンバー「湘南」を交付する神奈川運輸支局湘南自動車検査登録事務所(平塚市東豊田)が今年、開設から30年を迎える。1980年代中頃から「湘南ナンバーで走りたい」という若者を中心に平塚、藤沢、茅ケ崎などに「湘南ナンバーで走ろう会」などの市民団体が発足、活発な運動が行われた。交付開始から30年。かつて若者の夢だった「ブランドナンバー」はすっかり地域に定着し、「日常」になった。
当時の神奈川新聞や藤沢市教育委員会発行の「湘南の誕生」(2005年)によると、地元気運の高まりから1987年から88年にかけて湘南地域の各市議会が湘南ナンバーの創設を求める意見書を相次いで採択。さらに、87年12月の県議会本会議の一般質問で、長洲一二知事(当時)は「湘南ナンバーができると、全国で一番の人気になるだろう」とし、実現に積極的な姿勢を示していた。新ナンバー交付の事務所候補地に挙げられた平塚市も誘致運動を展開した。
同事務所によると、湘南ナンバーが創設されるまでの県中西部では相模ナンバーが交付されていた。しかし、この地域での自動車保有車両数の増加が著しく、円滑な検査登録業務を行える限界に達したことや、さらに増加が見込まれる状況となったことから、相模ナンバーの地域を2分割することで適正な業務の処理体制を確立するとともに、地域住民の利便性向上を図ったという。
これまで相模ナンバーであった地域の自治体にとって大きな関心事となったのは、この新しい湘南ナンバーの管轄地域がどこになるのかという点だった。
最終的には、運輸省(当時)が新事務所の処理能力と各自治体の車両登録台数などを基に線引きを行い、北は秦野、伊勢原市、山北町、南は藤沢、茅ケ崎、平塚市、西は湯河原町までの7市11町を湘南ナンバーの区域として決定した。94年10月31日が交付開始日となったが、混乱などを避けるため同28日に申請受付の順番を事前に決める抽選会が開かれた。