2027年に上瀬谷通信施設跡地(横浜市瀬谷、旭区)で開催される国際園芸博覧会(園芸博)の終了後を視野に入れ、地元農家が新たな作物や栽培法に挑んでいる。大学と連携したアスパラガス栽培やイチゴの大型観光農園など、効率化や高収益化を図り、市の支援も受けながら試験的な取り組みを始めた。
上瀬谷通信施設跡地にある畑などで3月下旬、地元農家12世帯がアスパラガスの苗を植え付けた。
「穴を深めに掘って定植することで凍霜害を防ぐことができ、難しい作業も不要だ」
明治大学の元木悟教授は企業と協力して開発した新栽培法「採りっきり栽培」を、学生とともにオリジナルの機材を使いながら、説明。同栽培は定植した翌春に芽生えた若い茎を収穫する。早期の定植により、極太サイズの収穫が可能で、病気まん延のリスク軽減や収量安定にもつながるという。
1カ月後。地権者で構成する旧上瀬谷通信施設まちづくり協議会農業振興部の岩崎良一副部会長(41)は「強風や低温が続いた日もあり、葉先が白く枯れた苗もいくつかあったが、根元は順調に生育し収穫に影響はないようだ」と手応えを感じている。「5月まで定植後の管理がほぼ必要なく、重労働の作業もないので女性も参加しやすい」と導入に前向きだ。
高収益化や効率化に向けた模索とともに、先端技術の活用や農地集約への動きも出ている。