横浜市中区の今はなき老舗洋食店「梅香亭」のハヤシライスが、25、26の両日に同区の山下公園などで開催される開港記念イベント「ハマフェスY165」で復刻販売される。みりんの利いた甘みのあるルーの味に、名だたる作家や音楽家らも行き交った昔日の記憶が重なる。
「もう少し甘く、色はもっと焦げ茶色に…」。3代目オーナー棚橋桂太郎さん(87)が、時折笑みを浮かべながら感想を伝えた。4月上旬、2011年末の閉店当時のまま残る店舗で行われた試食会の一幕だ。復刻に挑むのは、地域の企業や団体でつくる「関内活性会」。関内の懐かしい味を後世に伝えようと企画し、ハマフェスに出店する。
調理は、活性会メンバーの飲食業「エイト」が担う。メモ程度のレシピしか残されていなかったが、他店の料理人の力も借り、徐々に往時の味に近づけた。ラードをフライパンで溶かし、小麦粉を混ぜて黒褐色になるまで焦がす。「時間も手間もかかるが、濃厚でとろみのあるルーになる」と棚橋さんは説明する。