代走のスペシャリストの座をつかみ取る―。今夏の支配下登録を目指す横浜DeNAの3年目、村川凪外野手がイースタン・リーグで13試合に出場し、打率3割6分8厘と好調だ。昨季同リーグで盗塁王に輝いた足だけでなく、バットでも猛アピールを続けている。
14日のファーム日本ハム戦(横須賀)。「1番・右翼」で先発出場し、3安打2盗塁とリードオフマンの役割を十二分に発揮した。中でも自賛したのは三回だった。
中前打で出塁すると、続くオースティンの右中間二塁打で快足を飛ばし、ギリギリのタイミングで本塁に生還した。「求められるのは盗塁だけじゃない。『村川じゃないとかえってこられないな』という場面を増やしたい」
村川に走塁への嗅覚を高めてもらうため、ファームのベースコーチは、際どいタイミングになりそうでも腕を回すのが決まり事となっている。
村川は育成選手ながら2月の春季キャンプはA班(1軍)でスタートを切った。「キャンプでアピールし、オープン戦で結果を残して開幕を1軍で迎える」。そんな青写真を描いた矢先、3日目で左太もも裏の肉離れで離脱した。「心が折れかけたではなく、折れた」という失意の村川を救ったのが、石井琢朗チーフ打撃兼走塁兼一塁ベースコーチだった。
「焦らないで。待っているよ」という言葉をかけられた。「僕の中で励みになった。ここで終わってはいけないと思った」と地道なリハビリに励み、4月中旬に実戦復帰を果たした。